〈標本〉の発見 科博コレクションから

  • 国書刊行会 (2023年11月28日発売)
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本 ・本 (160ページ) / ISBN・EAN: 9784336075635

作品紹介・あらすじ

日本随一のコレクション数を誇る国立科学博物館――美しい標本、それぞれのストーリー。
科博の研究者14名がこだわり選んだ、絶滅種、絶滅危惧種を中心に150種超。

四季折々の自然豊かな環境に、生物多様性を誇る日本列島。トキ、ニホンオオカミ、ニホンカワウソ、クニマス、冬虫夏草、タガメ……美しいカラー図版に、それぞれの種にまつわるエピソードを添えて、絶滅の物語、復活の物語、科学の最前線を知る。
種の保全につながる標本を「再発見」し、未来につなげる、日本列島の生物多様性をさぐるヴィジュアルブック。
※国立科学博物館の企画展「発見! 日本の生物多様性」(2021年)を再編集して成書化。
※恐竜を含む古生物、岩石・鉱物、理工学機器類の標本は扱っていません

【「はじめに」より】
 国立科学博物館は、ヒトを除く現生生物だけで約450万点の標本と生きている植物を保有しています。すべての標本には採集から研究への活用に至るまで豊富なストーリーが伴っているはずですが、点数が膨大なために掘り下げて紹介できる機会はなかなかめぐってきません。本書では「日本の生物多様性保全」を切り口に、それを考えていくうえで重要な役割を担う標本を厳選しました。
 1章(ⅰ)では、日本において絶滅判定を受けた生物を紹介します。2章(ⅱ)では、いったん絶滅宣言が出されたものの野生個体が再発見された種を紹介します。3章(ⅲ)では、絶滅寸前種(絶滅危惧種の中でも、特に絶滅のおそれの高いもの)をとりまく状況を生物群ごとに見ていきます。4章(ⅳ)では、ヒトの営みに翻弄されて生息状況が大きく変わってしまった生物をとりあげます。5章(ⅴ)では、標本とリビングコレクションが互いに補い合って生物多様性保全に貢献している事例を見ていきます。最後の6章(ⅵ)では標本を活用した新展開をいくつかの成功事例で紹介します。

〈監修・執筆者〉
◎海老原 淳
国立科学博物館植物研究部陸上植物研究グループ研究主幹
◎遊川知久
国立科学博物館植物研究部多様性解析・保全グループ長
◎中江雅典
国立科学博物館動物研究部脊椎動物研究グループ研究主幹
◎細矢 剛
国立科学博物館植物研究部植物研究部長
◎吉川夏彦
国立科学博物館動物研究脊椎動物研究グループ研究員
◎神保宇嗣
国立科学博物館標本資料センター副コレクションディレクター
【国立科学博物館動物研究部】
井手竜也(陸生無脊椎動物研究グループ研究員)
川田伸一郎(脊椎動物研究グループ研究主幹)
田島木綿子(脊椎動物研究グループ研究主幹)
西海 功(脊椎動物研究グループ研究主幹)
長谷川和範(海生無脊椎動物研究グループ研究主幹)
【国立科学博物館植物研究部】
奥山雄大(多様性解析・保全グループ研究主幹)
田中法生(多様性解析・保全グループ研究主幹)
保坂健太郎(菌類・藻類研究グループ研究主幹)

感想・レビュー・書評

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  • 国立科学博物館が所有している標本の一部を掲載。テーマは「日本の生物多様性」。既に絶滅してしまった標本や、絶滅危惧種の標本掲載はもとより、標本からのDNA採取方法について最新技術の紹介もされている。生きものを現在進行形で人類が絶滅に追い込み続けていることは、目を背けてはいけない事実の一つだ。ニホンオオカミの剥製を見ると、身が引き締まる思いだ。トキが絶滅したことによるトキウモウダニの絶滅、カエルツボカビ病を保菌したニホンオオサンショウウオなど、標本があったからこそ判明したこともたくさんある。標本に関する本『標本バカ』も読んだことがあるが、いくらあっても困らない研究用標本と、展示用に見栄えがする展示用標本が使い分けられているのはこの本から初めて知った。
    標本化するのもすごい技術だ。煮たり、皮を縫ったり、虫に食べさせたり…。いつか日の目を見ることがあるかも知れない研究成果に備えて、科博にはたくさんの標本が今も出番を待っているのかと思うと、財産としてしっかり守っていかなければと思う。クラファンで多額の資金がたくさん集まったことも記憶に新しい。この施設を大切に思う人たちの気持ちの表れだと痛感した。

  • 国立科学博物館は、生きている間に一度は訪れてみたい場所のひとつです。

    絶滅危惧種と聞いて思い浮かべるのは、動物や昆虫ばかりでしたが、そうだよね、植物だって、そうですよね。

  • 国立科学博物館の研究者が選んだ、絶滅危惧種を中心とした標本を美麗な写真で紹介しています。絶滅してしまってもう二度と見られない生き物の標本から、努力の結果復活を果たした生き物、標本の果たした重要な役割、その歴史など、見所がたくさんな一冊です。

  • 第30回京都ビブリオバトル(仮) テーマ「ほうち」で紹介した本です。
    2025.3.22

  • めちゃくちゃおもしろかった!!
    まず表紙がいい!このフォントもこの余白も、左上の科博のロゴの感じも最高。

    中身は植物が多い印象で、表紙から動物標本の本だと思い込んでた自分はそこだけがちょっと残念だった。
    でも内容は濃いし、解説の日本語も綺麗で読みやすくて、さすが科博…!

    特に良かったのは
    トキに添い遂げて絶滅したトキウモウダニ
    コウヨウザンカズラ
    シマクモキリソウ
    シムライノデ
    ツクバハコネサンショウウオ

    何よりコラムが充実してた!
    "標本の情報は「在データとはなっても不在データにはならない」"
    "標本の蓄積は、見逃されていた「新種」の発見につながる"
    こういう話大好き。

    植物標本に残されたサナギからDNAを取り出す方法と、植物のDNA非破壊抽出法は、もう凄すぎて感動しかありません。
    恐竜研究に興味があって、ある講演で「研究のためにどうしても必要だけど、貴重で美しい化石を自分の手で破壊しなくてはいけないジレンマ」というお話を伺っていたので、古生物界にも早くこんな革命が起きてほしいと強く願った。

    トリを飾るQ&Aがまた粒揃いで…!
    特に好きなのはこの3つ。
    「標本」と「リビングコレクション」の違い
    標本を良い状態で保つ工夫
    展示されている標本と研究用の標本の違い

    2つ目は、自分も資料の保管に多少なりとも携わる仕事なので、科博ともなればさぞや…と畏敬の念でいっぱいに。
    最後のもお気に入り。科博の展示物って、エースの子以外は曝涼的な意味でもローテしてるのかなとか暢気に考えてたので、かなり衝撃だった。

    クラファンで科博の現状を知って、支援したい!しなきゃ!と思って今も寄付を続けてる。
    全体からしたらものすごーく微々たるものではあるけど、こんな研究の一助になれてるのかと思うと心から嬉しい。

    自然科学分野が好きな人には絶対読んでほしい。
    もちろん科博ファンにも!

  • 請求記号 460.7/Ko 49

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著者プロフィール

監修:国立科学博物館(こくりつかがくはくぶつかん)
東京上野にある国立科学博物館は、明治10年に創立された日本で最も歴史のある博物館のひとつであり、自然史・科学技術史に関する国立唯一の総合科学博物館。シロナガスクジラの実物大オブジェが目印。「科博」の通称で親しまれ、休日にはたくさんの親子連れが訪れる。

「2023年 『ぐんぐん考える力を育むよみきかせ むしのお話20』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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