うさぎのくれたバレエシュ-ズ (えほん・こどもとともに)

著者 :
  • 小峰書店
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本棚登録 : 968
感想 : 83
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  • Amazon.co.jp ・本 (1ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784338069113

作品紹介・あらすじ

バレエきょうしつにかよいはじめて、5ねんもたつというのに、そのおんなのこは、おどりがじょうずになりませんでした。たんじょうびにも、たなばたさまにも、おんなのこのねがいは、たったひとつだけでした。「どうか、おどりがじょうずになりますように」するとあるあさ、ふしぎなこづつみが、おんなのこのところに、とどいたのです。

感想・レビュー・書評

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  • 春のあたたかな空気と風が感じられる絵本。

    バレエ教室に通って、五年になるその女の子は、踊りが上手じゃありませんでした。
    女の子は、お正月にも、お誕生日にも、七夕様にも星に願います。
    「どうか、おどりがじょうずになりますように」
    すると、ある日、不思議な小包が届きます。
    開けてみると、一足のピンクのバレエシューズが転がり出てきました。メッセージカードにはこう書いてあります。
    「おどりがじょうずになりたいおんなのこへ やまのくつや」
    そのバレエシューズを履くと体が軽く感じられ、足がひとりで跳ね上がって、思わず外に飛び出した女の子の耳に遠い風の声が聞こえてきました。
    「おかあさん だれかがよんでいるわ。あたし、ちょっといってくる」
    そういうと、山の方に駆け上がって行きました―――。

    桜やチュチュのピンク色の愛らしさ。
    青や黄色、緑、紫を使った夜空の色。
    銅版画で描かれた繊細で儚い描線。
    抱きしめたら壊れそうなので、そうっと包んであげたいおはなし。

    • nazunaさん
      5552さん、
      懐かしい絵本です。先年結婚した娘が、「あの本、まだあったら送って」と言ってきたのが、この「うさぎのくれたバレエシューズ」で...
      5552さん、
      懐かしい絵本です。先年結婚した娘が、「あの本、まだあったら送って」と言ってきたのが、この「うさぎのくれたバレエシューズ」でした。ほんと青とピンクの淡く夢のようなグラデーションと優しいものがたり。安房直子さんの世界にぴったりですね。
      こどもたちと一緒に読んだ本たちは、いつまでも手元においてあります。
      2022/03/13
    • 5552さん
      nazunaさん
      娘さんが先年結婚されたんですね。
      おめでとうございます!
      こちらの絵本を送ってきてほしい、と仰られたとのこと。
      き...
      nazunaさん
      娘さんが先年結婚されたんですね。
      おめでとうございます!
      こちらの絵本を送ってきてほしい、と仰られたとのこと。
      きっと、娘さんの中に大切な記憶として根付いているんでしょうね。
      昔読んだ絵本が実家に保管してあるって、嬉しいでしょうね。
      春の風に吹かれたように爽やかで温かな気持ちになりました。
      ありがとうございます。

      2022/03/14
  • いつもの図書館にあった、安房直子さんの絵本。

    南塚直子さんの絵は初めてだったのですが、何か、ほのかに光り輝いているように見える、蛍光色の感じと、滲ませた色合いとが上手く重なり合って、安房さん、特有の幻想的な雰囲気を醸し出していて、それと、後半の日暮れ時の、ちょっと物寂しく儚い雰囲気とが、また切なく、対照的な効果をあげているように思われました。

    それから、終盤のお家の描写が、また素敵で、お家の端々にまで、星が瞬いているような、色も様々で、こんな描写の仕方もあるのですね。

    また、物語は、好きなものに向かって、一生懸命な女の子に夢を与えるといった、一見、受動的な話にも思われるが、全て、女の子自身の意思で行動しているところが重要な点であるとともに、安房さんの物語特有の、幻想的な美しさの後に、ふと現実に立ち帰ってしまう、なんとも言えない哀愁感には、やるせないものもあるが、この絵本の場合、幻想ではなかった証拠も存在し、また会える思いを抱かせてくれるような、終わり方も好きです。

  • 今年の干支のウサギ絵本

    「どうか、おどりがうまくなりますように」女の子の願いはたった一つです。
    するとある朝、女の子のところに<やまのくつや>からピンクのバレエシューズが届きます。
    女の子は呼ばれるように山に向かいます。
    そこではうさぎのくつやが、桜の汁で染めた布で30足のバレエシューズを作っていました。
    女の子はくつやを手伝います。バレエシューズを取りに来たのはうさぎのバレエ団です。。
    バレエ団は踊ります、軽やかに、高く。おんなのこも一緒に踊ります。軽やかに、高く、どんどん高く、揺れて、回って、風になり蝶になり…。
    家に帰ってからおんなのこは踊ってみます。あのときの感じで、風のように、蝶のように。

    絵本全体が繊細な色で塗られた銅版画の絵でいっぱいです。
    見開きいっぱいのキラキラの星、桜の花、バレエシューズを履くうさぎたち。
    幻想的な山の様子から、夢から醒めたように家に帰りますが、あのときの気持ち、優しさ、喜びは体に残っている。最後のページの抑えるような空の色と、その下で咲き誇る桜の大木の輝きが、心の中の情熱のようで幻惑的です。

  • 桜色が淡く柔らかく透明感があり目が気持ち良いです。お話も優しい世界。

  • もうすぐ娘のバレエの発表会。
    バレエは好きだけれど、緊張感が怖いのか、バレエに行くたびに泣く。(でも、最近保育園に行くときも泣く)
    そこで、バレエが素敵!と再確認してほしいと思い、借りてきた。

    が。。。実は、間違えて、「大型本」というのを予約してしまったらしい。紙芝居よりも大きくて重い本にびっくり。予約本を取りにいったおじいちゃん、苦労して持って帰ってくれたらしい。すみません・・・

    でも、その分、絵が大きくて、とてもきれいです。
    ストーリーがどうってことないけれど、バレエのガーリーで華やかな感じがとても現れていて、素敵な本でした。

    うちの娘にも、うさぎさんが現れて、素敵なシューズをくれるといいなぁ・・・。とりあえずは、発表会用のサテンシューズが魔法のシューズかもよ?と言ってあります。

  • 一生懸命やるだけじゃなくて
    わくわく楽しみながら
    好きな気持ちを大切にしながら成長していくこと
    おとなになって
    仕事や趣味をするときにもとても大切なことだなと思います。

  • 南塚直子さんの銅版画で描かれた淡い桜色の絵が綺麗。

  • 踊りが上手になりたい女の子の所に届いた、山の靴屋さんからのバレエシューズ。女の子がそのシューズを履いて、靴屋さんのシューズ作りを手伝い、うさぎバレエ団の仲間に入って、風のように、蝶のように、花びらのように一緒に踊ります。
    春らしさがいっぱいの美しい風景! どうすれば上手に踊れるのか、女の子は心から分かったことでしょう。バレエに限らず、お稽古ごとをしている人も。

  • 春の夜の不思議で怪しく美しい感じが画面いっぱいに広がって、なんだか甘い匂いまで漂ってきそう。
    かわいいだけではなくて、最後に女の子が逃げ帰ったように、少し不気味な感じが春らしい。
    うさぎも女の子も、のびのびと楽しそうに踊っている様子が良かった。
    お話の語り口も優しくて、みんなに愛されてきたのがよくわかる絵本だった。

  • バレエをならっている女の子。なかなか踊りが上手になりません。「どうか、おどりがじょうずになりますように」女の子は祈りました。ある日、女の子に不思議な小包が届きました。中はバレエシューズと〈山のくつや〉からのカード。女の子はバレエシューズを履いて山へと駆け出しました。


    子供の頃自分が好きだった絵本。淡い色合いが好きで内容はともかく表紙はよく覚えている。
    不思議な雰囲気が長女には少し怖かったみたい。確かに得体が知れなくてちょっと怖いよな。

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著者プロフィール

安房直子(あわ・なおこ)
1943年、東京都生まれ。日本女子大学国文科卒業。在学中より山室静氏に師事、「目白児童文学」「海賊」を中心に、かずかずの美しい物語を発表。『さんしょっ子』第3回日本児童文学者協会新人賞、『北風のわすれたハンカチ』第19回サンケイ児童出版文化賞推薦、『風と木の歌』第22回小学館文学賞、『遠い野ばらの村』第20回野間児童文芸賞、『山の童話 風のローラースケート』第3回新見南吉児童文学賞、『花豆の煮えるまで―小夜の物語』赤い鳥文学賞特別賞、受賞作多数。1993年永眠。

「2022年 『春の窓 安房直子ファンタジー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

安房直子の作品

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