光草 (Y.A.Books)

  • 小峰書店 (1998年10月1日発売)
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本 ・本 (158ページ) / ISBN・EAN: 9784338144025

感想・レビュー・書評

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  • 児童文学評論261のぼちぼち便りで紹介されたピウミーニの新作『ケンタウロスのポロス』、ずっと前に読んだ光草を思い出して再読することにした。

  • オー・ヘンリーの「最後のひと葉」のような話。病気の少年のために部屋一面に景色の絵を描く絵描きと少年の交流。景色が変わっていき、少年の命と同じように景色がひとつずつ消えていく。

  • 2021/3/1

    973||ピ (3階文学)

    日差しが少しずつ暖かくなり、春が近づいている今日このごろ。ぽかぽか陽気の日には出かけたくなります。でも、世の中には日の光を浴びることができない病があります。
    この物語の少年は、外に出ることも日に当たることもできない不治の病をかかえています。そんな少年のため、部屋中を絵と色で飾ってほしいと一人の画家が屋敷に呼ばれます。
    画家は少年と心を通わせながら、壁一面に描いていきます。想像はふくらみ、山や海、大草原がどんどん広がっていきます。
    優しさや美しさにあふれた物語です。

  • トルコに住む絵描きのサクマットは、太陽の光を浴びることができないという奇病の持ち主マドゥレールのために、彼の部屋(三部屋の続き部屋)の壁一面に絵を描く仕事の依頼を受ける。
    父である太守ガヌアンは、母に死に別れ自身も奇病を患う息子を不憫に思っているが、マドゥレールは素直で明るい少年。
    マドゥレールとサクマットはすぐに意気投合する。

    二人は一緒に本を読み、多くを語らい、絵の題材のイメージを共有する。
    何か月も何か月もかけて、二人は山、海、草原の絵を描く。

    しかしマドゥレールの体調が悪化し、残された時間はあまり多くないと分かった時にサクマットがしたことは…。

    この作品に出てくる子ども(マドゥレール)は素直で子どもらしく、サクマットやガヌアンはそれに対してあくまで大人である。
    自分の悲しみよりもマドゥレールを思いやる二人の大人が、いいんだよね。

    タイトルの光草は、実は2か所にしか出てこない。
    しかしその光草が、人の生死を、生きることの意味を考えさせてくれる。

    「冬の夜には、もう光草は輝かないのかい?」
    「でも、星があるよ、お父さま。」
    「星は遠いが、光草は近いよ。」
    「そうかな、お父さま?星も、光草も、同じだとは思わない?同じものだとは……。」
    「同じなのかい?」
    「うん、お父さま。同じなんだ」

    抜き出した、この父子の会話だけを読んでも、何のことかわからないだろう。
    でも。
    物語の終盤で交わされるこの会話に、どれだけこの父子の愛情が込められていることか。

    号泣。

  • 日の光に当たれない病の少年マドゥレールと、彼のために部屋の壁を風景で埋め尽くす仕事を請け負った画家サクマットの美しい寓話。

    なぜ彼は最後に筆を置いて海に行ったのかなぁ。

  • 2016.05.29

  • ゆっくり味わうように読むと、自分の頭の中の"絵"が動いていく。
    とてもきれいなお話。お気に入りの一冊になった。

  • 友達おすすめの本。すごく綺麗な作品でした。
    トルコのとある町で有名な画家サクマットが、奇病で外に出たり光を浴びることのできない少年のために、2人であれこれ楽しく想像を繰り広げながら部屋の壁に絵を描いてあげるというお話。

    「部屋の中」という世界しか持っていなかった少年がどんどん描きあがっていく壁一面の風景画を見ながら世界を広げていく感じがとてもよかった。絵に見えない部分にも蛇がいたり家畜泥棒がいたりするんだという少年の発言になるほどなぁと思った。

    絵の船がだんだん近づいてくるというのにはびっくりしました。しかしこのアイデアを生かして、世界はとどまらずどんな物にも時は流れ、刻々と変化していくものなのだということを教えてくれる。
    閉じこもっていた少年は、そんな時の流れを絵を通して体験してすごく幸せだったんじゃないかと思います。

    ストラリスコ~光草~のシーンは感動しました。

    途中、哲学的だなぁと思える箇所がいくつか。
    大人が読んでも楽しめる作品だと思います。

  • トルコの絵かきと不治の病にかかった少年とが
    織り成す世界。
    部屋から出られなくても、自由に空想や創造力で
    いろんな所に出かけ、物語の世界で遊ぶ少年。
    そして、お話しを広げっ放しでもなく
    死期が近づくにつれ、風呂敷を畳むかのように
    現実との折り合いをつけるかのように
    お話しも壁の絵も変化していった。
    2人の友情、信頼、創造の楽しさ。たくさんの発見。
    きれいなものがたくさん散りばめられた
    とても素敵な物語でした。

  • 中学の時に読んでものすごい感動した。
    これは本当にお勧めの一冊。

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著者プロフィール

1947年、北イタリアの小邑エードロ(ブレッシャ県)に生まれる。教師、俳優などの職業を経て、78年に作家としてデビュー。子ども向けの小説、童話、詩、戯曲など著書は数多い。現代イタリアを代表する児童文学者の一人。

「2014年 『逃げてゆく水平線』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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