バッドボーイ (Y.A.Books)

制作 : Walter Dean Myers  金原 瑞人 
  • 小峰書店
3.29
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本棚登録 : 13
レビュー : 5
  • Amazon.co.jp ・本 (263ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784338144100

作品紹介・あらすじ

この社会のどこに、ぼくの居場所があるのだろう。どうやったらそこにたどりつけるのだろう。スポーツに夢中な悪ガキが文学とであい、自分の進む道に悩み、挫折し…黒人作家のメモアール。

感想・レビュー・書評

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  • 普通、知らない人物の自伝は読まないもので、この本を読む人も少ないだろうと思う。
     私も図書館で素通りしつつあったとき、もしかしてこの人Love that boyの詩人かも?と思い、手に取った。Love that boy も、シャロン・クリーチのLove that dog(『あの犬が好き』)で知ったんだけど。
     アメリカでは小説家、詩人として有名な人らしい。でも、それを知らなくても自分とは何者かに悩み、将来に希望が見いだせない若い人には共感できる本だと思う。
     著者は黒人の父と白人の母との間に産まれた。育ててくれたのは父の前妻のドイツ系とネイティブアメリカンのハーフの女性とその女性の再婚相手の黒人。つまり、他人。多動で手が出やすい少年だった著者に、この養父母は深い愛情を注いでくれた。乱暴だったのは発語に障害があったせいもあるだろう。問題児ではあったが、頭が良く、読書が好きな著者は、普通の黒人は行かない進学校に通うことになる。しかし、この進学校に行ってから著者の苦しみが始まる。まだ人種差別が激しく、黒人で知的な職業についている人が周りにおらず、目標を見いだせなかった。両親も、所謂当時の「黒人の仕事」(肉体労働、下働き)しかしたことがなく、悩みを理解してもらえない。おまけに貧しいため、高校でみんなが着ているジャケットやセーターも買えない。運動神経は良く、スポーツクラブにスカウトされても道具が買えないから諦める。科学が苦手で勉強についていけなくなり、バイトは肉体労働、学校に友達もできず、結局学校から足が遠のく。友達は殺人の前科で観察処分の麻薬の運び屋フランクだけ。ポケットにナイフを忍ばせてかなり危ない橋を渡ることになる。
     本は、そんな著者が学校をやめてベトナム戦争に志願する場面から、いきなり作家として成功をおさめた現在で終わっており、読むことと書くことをやめなかったことが良かったと結ばれている。
     しかし、本当の地獄はこのあと(ベトナム戦争と、ベトナムから帰って低賃金の職を転々とした時代)だったのではないかと思う。人殺しを学んだという兵士の時は、若い読者にはキツすぎるから。
     自分が黒人としてどう生きるかに悩む姿は、日本人の若い人には想像がつかないかもしれないが、親が想像もできない仕事で生きたいと思うのは、地方の学歴の無い親の元に育った、東京住まいの学生には意外にリアルかも。
     進路やアイデンティティに悩む若い人に薦めたい。

  • マイヤーズって、こんな苛烈な少年時代を過ごした人なのか。めっぽう頭はいいけどとにかく落ち着きがなくてけんかっ早く、手が先に出てしまう。体も大きいから、何かにつけて大人から目の敵にされる。
    それでも節目節目で才能を信じて励ましてくれる先生に出会ったり、何より両親が、彼のことを理解しないまでも心から愛してくれたから、どうにか生き延びて、読書と書くことの才能を捨てずにいられたのかもしれない。それにしても、父が文字を読めないことを知ったのが大人になってからだったというのも驚き。そんな基本的なことを家族に秘密にするのって、苦しくないか?

    黒人で、ロールモデルがないこともマイヤーズ少年をひどく苦しめた。道なき道を切り開いていくことの苦しさよ。

  • 著者の自伝。
    まるで物語のように読ませる。
    時代や環境は全然違う。
    特に、黒人であることの精神性が、これほど複雑なものであるとは思っていなかった。
    でも、ティーンの抱える悩みの根源は一つなのだ。
    自己の肯定。
    それは他者と自分、双方から得ることが必要なのだろう。
    しかし、よくこれだけのことを記憶している。
    私には、こんなに残っていないように思う。
    ある意味、人生の財産を持っていないことに気づいて哀しくなった。

  • 少し前に読了。小峰書店のY.A.Booksシリーズ。
    訳が悪い。12ページで「妹のイモジーン」と書いてあるのに、16ページではウォルターは「マイヤーズ家の末っ子」となっていて、あれ?と思っていたら、55ページでは「いちばん下はイモジーン」。やっぱり妹なのか、と思うと118ページでは「姉のイモジーン」。どっちだ!
    それと、これは私が勝手に思い込んでいただけかもしれないけれど、著者の自伝ということが文体からあまりうかがえなくて、半分くらい読むまで創作だと思っていた。YAシリーズとして出したからかもしれないけれど、一人称が「ぼく」より「私」の方が内容に合っていたのじゃないかしら。訳者あとがきに書かれているようなマイヤーズの原動力も、少なくともこの訳書からは感じられなかった。もう少し誠意をもって訳してほしい。
    YAというより一般向けに出した方がよかったのじゃないかな、という気がしなくもない。

  • 著者が17歳になるまでの自叙伝です。
    こういう類の話はあまり好きじゃないので手を出さないのですが、何となく手に取ってみたら面白そうだったので読んでみました。
    今は少なくなってきましたが、少し昔まではアメリカに限らず世界的に人種差別が酷かったそうです。
    著者も肌が褐色だという事で間接的に差別を受けていたようでした。
    でも、黒人として生まれてきて良かったと胸を張って言った著者がとても凄いと思いました。

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