ミムス: 宮廷道化師 (Y.A.Books)

  • 小峰書店
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感想 : 28
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  • Amazon.co.jp ・本 (550ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784338144315

作品紹介・あらすじ

囚われの王子フロリーンの生きのびる道は、宮廷道化師になることでしかなかった。誇りを捨て、敵の王の笑いを得て活きる。笑いこそが最後の武器であった。

感想・レビュー・書評

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  • 道化が主人公という物語の設定が変わってて面白い。
    とても読みやすく、翻訳物が苦手で読まず嫌いな人には非常におすすめだと思う。
    もちろんそうじゃない人にも。

    ストーリーに寄り添いながらレビューを書こうとするんだけれど、
    なぜだかどうにもうまくまとめることができないんだなこれが…。
    どの場面も、少しでも触れるとズルズルとネタバレしそうな予感。

    それだけ話がしっかりと構築されていると共に、
    なんかバレちゃうのがもったいないって思う気持ちがあるのかも。
    全体的にそんな感じにさせる作品。

    しかしミムス、ある意味サムライ。二君に仕えず的な。
    あ、ちょっとネタバレしてしまったかな。もったいない(笑)。

    ちなみにボクの中でミムスは嫌な時のスネ夫だった(笑)。
    でも時々良い時(主に映画)のジャイアンだったり…って、なんの話だ。

  • 良かったです。帯を読んでいたから中盤までずっとびくびくしていた…

    後半は王子的にはうまく行き過ぎてこわかったけど…

    やはりタイトル通り主役はミムスだ!と思う。道化の仮面と、その下にあるけものみたいな生命力が恐ろしい。
    欲を言えば、王子がなぜアリックスとの婚約に意欲的なのか理解できない…道化服を見るだけで吐きそうになったり夢にうなされるのに…道化が道化であるように、王子は王子でしかないってことなのかな…でも、ラストも良かったです!

  • 王子が宮廷道化師にされる話。結構分厚い。道化を演じることは並大抵ではできない。

  • まあファンタジーなんだろうけども、どこまでリアルに近づけてるんだろうな…??

  • 子ども向け小説なんですよね、これ。でも、なんだか濃密な閉塞感のある物語で、読んでてけっこうしんどかったです。でもまあ、読み応えがあったと思います。【2021年3月1日読了】

  • 思春期の少年を主人公に、中世ヨーロッパの架空の国どうしの争いが描かれているという点では、『王への手紙』に似ているが、こちらはより時代考証などが綿密に行われている上、王子が策略にはまって、父である王と家臣を人質にとられ、敵国の宮廷道化師となるという設定が暗く、更に師匠の道化師が敵か味方か、聖か邪かわからない複雑な人物である点でも、『王への手紙』より深い内容となっている。

    宮廷道化師といっても、先日読んだ『ベラスケスの十字の謎』の道化師たちのように、ある程度の身分が与えられ、衣食住のレベルは庶民よりずっと上の扱いを受けている道化師とは違い、芸をする動物たちと同じ塔の粗末な部屋で、藁を寝床にし、一日粥を一杯しか与えられないという生活。絶えず飢えに苦しみ、道化をして褒められた時に与えられる食べ物を、それこそ動物と同じように貪り食う。王の機嫌を損ねれば容赦ない拷問を受ける。時に下品な踊りや見世物を王子が敵国の王のや家臣たちの前で行わねばならない屈辱。
    育ちがよく、 知的で柔軟性があり、能力の高い主人公だからこそ、その苦しみは凡人よりも深く、激しい。それが読者にもリアルに伝わってくる。
    更に、敵対する国どうしの問題、王の娘との交流、友情、父王の処刑が迫る中果たして助けがくるのかといったサスペンス要素もあり、最後まで目が離せない。
    師匠のミムスだけでなく、敵国の王も冷酷な敵キャラといった一面的な描き方はせず、家族には愛情を注ぎ、家臣には慕われる人物として描く。どこに身を置くか、どの視点で見るのかによって、人間も出来事も変わるのだというメッセージが様々なエピソードから伝わってくる。
    憎しみや暴力に、憎しみや暴力で対抗する限り、真の平和が訪れることはないという
    メッセージも。

    映像化しても面白そうだが、ミムス役はかなり上手い役者がやらないと、多面的な深い魅力を伝えるのは難しいだろう。
    翻訳は、たくさんの言葉あそび、駄洒落、掛詞などがあり、本当に大変だっただろうと思うが、日本語としても無理のないものになっている。
    久々に満足できるYA作品だった。

  • 始まりは少し単調。
    でも、主人公の王子フロリーンが、道化としての初舞台を踏むあたりから俄然、面白くなっていく。
    そして、話が進むにつれて、単調と思われた前段が鮮やかに蘇り、物語に活かされていく流れは、お見事。
    道化師という存在には、あまり馴染みが無いので、理解不能な面もある。しかし、ミムスという確固たる存在に圧倒され、フロリーンの葛藤に巻き込まれていく。
    王が復讐に燃えることで派生する災厄の恐ろしさと滑稽さを道化に集約させる。鮮やかなラスト。
    児童書としては大著ながら、これはなかなかに名作では。

  • 児童書、ファンタジー。
    子どもの時に読んだなら、「ああ、良かった」という感想で終わったかもしれませんが、いろいろと人生経験を積んで読むと宮廷道化師ミムスの分かり難い優しさや道化師としての矜持に心動くものがあります。過酷な運命を負わされた王子フロリーンのカッとなって後先考えずに“やってしまうこと”、その始末をしながらも見守ってくれているミムスの存在があったから、フロリーンも踏ん張れたのだと思います。

    残酷な表現もあるけれど、現実はそういうこともあり、苦難に耐え人の助けを借りながら己の力でピンチを打破していくそういう姿を描く児童書を、少年少女に読んでもらいたいなぁと思います。
    大人が読んでも人生について考えるきっかけになりると思いますので、お薦めです^^  

  • とてもおもしろかった。
    ついあとがきをチラ読みしてしまったので、
    王子が道化師にされる話、という前提で読み始めたために、
    ヴィンランドで捕らわれの身になるまでが
    ああ~~っとなんともいえない気持ちのまま読んだ。

    結構早い段階でフロリーンがミムスに対し、肯定的な感情を持ってくれたので、辛い状況ではあったものの、
    どこか救いがあってよかった。
    ミムスはどこか初めからフロリーンに対し、同情的、というか、命じられたことはやる、という義務感だけじゃないようで、そのへんはどういう感情なのかなーっと思った。
    王子にしちゃあ、なかなかおもしろいぞ、というような
    興味、が最初なんだろうか?

    途中、救助の光がみえつつも、最後の最後まで
    本当に助けがくるのか、来たとして、成功するのか?っと
    ずっと不安だった。
    なんとか成功したものの、あのラストの
    ミムスの役割はすごい。
    言葉だけで王の命を救ったのだ。

    にしてもやはりミムスがヒドイ扱いをうけているのは確かであり、そこから抜け出すチャンス掴もうとしないミムスを理解はできないが、ただ彼はもうそう在ることを
    受け入れている(?)んだろう。

    物語はめでたしめでたし、でなく、
    長く辛い捕らわれの日々は王と王子の心に深い、深い傷を残している、という描写が印象的。
    それもまたいい経験だった、と言えるほど軽いもんじゃないんだろう。
    それでもフロリーンにとって忌避するべきものだけではない、というのが最後のミムスへの手紙で分かる。

  • 敵対するテオド王に父王フィリップを囚われ、自身は道化(ミムス)の身分に落とされた王子フローリン。先輩ミムスを師匠として本意でないながらも道化の修行を始める。

    「上から見るのと下から見るのは大違い」というキーフレーズが出てくる。出来事でも人物でも、角度を変えてみると全く違った面が見えてくる…善悪も、悲喜も、簡単にひっくり返る。師匠ミムスは、最後まで名前がわからないまま。名前なんて意味ないからね。

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