あこがれの機関車 (わくわく世界の絵本)

  • 小峰書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (1ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784338235044

作品紹介・あらすじ

父さんは言う。「汽笛が遠ざかってもその音は昼も夜も一日中鳴りつづけ、おまえの心に語りかけるのさ。」コレッタ・スコット・キング賞を3回受賞しているアンジェラ・ジョンソンの感動的な言葉とロレン・ロングの際立ったイラストが素晴らしい作品を作り上げている。本書は、男の子が大好きな機関車と歴史に残る機関士への憧憬を描き、悲劇的だが、人の気持ちを奮い起こさせる。ヒーローの死とヒーローの登場、夢の消滅と復活を描いているが、それ以上に読者に"希望"を持ち続けていくことの強さが語られている。ゴールデン・カイト賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • 表紙に大きく描かれた機関車を見上げる少年と同じ「あこがれの機関車」への気持ちを持つ自分に気づき、この本を手に取った。

    主人公である黒人少年のヒーローは機関士のケーシーだった。
    線路沿いの綿花畑で働く少年は、機関車へあこがれの思いを寄せることによって、夢や希望を持ち続けていた。

    しかし少年はヒーローを失ってしまう。
    嵐の夜、列車の衝突事故が起こる。ケーシーは黒人の助手シム・ウェップに飛び降りて逃げろと言い、自分は最後までブレーキを握ったまま死んでしまった。

    「ねえ、これでなにもかも終わりなの」と、父親に聞く少年。

    「いいや、終わりはしないさ」大きくて広い世界について、父は話す。

    少年は、他にもヒーローがいると気付く。このときから、少年自身がヒーローになる道を歩きはじめたのだろう。

    大切なことは失ったかのようにみえてもなくなったわけではない。
    目に見えなくても耳に聞こえなくてもいつも心に語りかけてきて、強く生きる力になる。
    一生心にある。

    この話は実際にあった事故を元にしている。
    場所は20世紀初め、ミシシッピ・デルタ地帯。線路沿いの畑で長時間働き続ける黒人たちがいた。
    アイルランド人ケーシーと助手の黒人シム・ウェップが一緒に働く巨大な機関車が走る姿は、差別を受けてきた人たちにとって希望の象徴であったという背景がある。

    絵本に描かれた機関車の迫力がすばらしい。

  • 機関車。

  • 実在した人物に思いを馳せる当時の黒人たちの気持ちを、少年の気持ちとして絵本にしたもの。

    巻末に実際にあった事件について説明が加えられているので、先に読んでおいた方が理解を得やすい。

  • 機関車好きな子どものために、図書館で借りた絵本。
    読み聞かせているうちに、私のほうがのめり込みました。
    外国の絵本は、私は大好きです。
    こういう内容のものが特に。
    子どもだけではなく、大人にも強く訴えかけてくる内容。
    実際、子どもには難しすぎる内容かもしれません。
    でも子どもには子どもなりの解釈があり、世界観がある。
    だからそれでいいのですね。

    正直、この絵本の内容には、始めドキッとしました。
    なんでわざわざそんなことを書くのか、と。
    でも感じて欲しい。何かを。
    何でもいい。
    絵本はただそれだけのものであり、それがどれほど
    子どもの計り知れない豊かな心を形成する一部と
    なっているのか。
    わからないけど、量とか大きさではないんだろうな・・・
    そんなことをチラッと考えたりした1冊でした。

    すばらしい絵本でした。

  • 思わず泣いてしまう一冊です。

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