グラタンおばあさんとまほうのアヒル (どうわのひろばセレクション)

著者 :
  • 小峰書店
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本棚登録 : 195
感想 : 24
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  • Amazon.co.jp ・本 (119ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784338245050

作品紹介・あらすじ

グラタンざらの黄色いアヒル。おさらの絵だとおもっていたら…まあ、ふしぎ、ピョンととびだした!?おさらのアヒルはふしぎなアヒル、どんなとこにもいけるアヒル。まほうのことばをとなえて、目をつぶってしんこきゅうを3かい。すると…。

感想・レビュー・書評

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  • ああ、安房さんだー…安房さんだー…。
    グラタン皿に描かれた黄色いアヒルが、お皿から出てきたり、エプロンのポケットから色々出したりする、という出だしはとても微笑ましいのだけど、人の甘えや愚かさにピシャリと厳しくあるのを見て、これぞ安房さんだ、としみじみ。
    でも弱きもの、とりわけ弱くても他者を思いやる者への眼差しはどこまでも温かいのもまた安房さん。
    3話目の子どもの話は泣いてしまった。
    良かった…。
    いせひでこさんのイラストもとても素敵。

  • 敬愛する安房直子さんの作品。
    挿し絵がいせひでこさんなので、豪華なことこのうえないですね。

    「グラタンおばあさん」というのは、とにかくグラタン大好きで、暇さえあればグラタンを作っているほど。
    そのおばあさんが気に入っているグラタン皿に描かれているのが「まほうのアヒル」。
    黄色いアヒルで、エプロンをしているというのです。
    まほうの言葉を唱えると、どこにでも行けて何でも出してくれる。それでタイトルになっているんですね。

    安房直子さんの作品にしては珍しく、主役のアヒルさんが腹を立てたり抗議したりします。
    魔法の力に頼り切って怠け者になったおばあさんを見捨てて、アヒルさんが行ったところは、「刺繍をする奥さん」と、「男の子と一緒に」という続きの章になっています。
    でも最後はやっぱりおばあさんの元に戻ります。再会の場面が良いですよ。

    グラタンの描写がとっても美味しそう。
    何よりいせさんの描く表紙が素敵です。
    1,2年生向けとなっていますが、大人もじゅうぶん楽しめます。

  • グラタン好きなおばあさんは、とてもすてきなグラタン皿を持っています。
    まん中にアヒルの絵がかいてあって、おばあさんはいつも
    アヒルに話かけながらグラタンを食べます。

    かぜをひいてしまったおばあさんが買物に出かけられずに困っていたら、
    お皿のアヒルが自分のポケットからほうれん草を出して、
    これでグラタンをつくってと言いました。

    おおよろこびのおばあさんは、それから元気になってもずっとアヒルに
    グラタンの材料を出してもらっていました。
    そのうちアヒルはだんだんうんざりしてきて、ぼくがいるとおばあさんの
    ためにならないと、お皿から飛び出して家を出て行ってしまいました。

    町へ行ったアヒルは、こんどは金物屋さんに並んでいたヤカンの絵の中に
    入ってみました。
    そして若い奥さんに気に入られて、買われていきました。
    しかしその奥さんは、ヤカンを火にかけたまま忘れることが多くて・・・。

  • ・娘(5)受け:良し。(音読してたら寄ってきた。後日、また読みたいと言った。)
    ・グラタンを作って食べたくなる。作ったことはないが。
    ・主人公のアヒルが出会う大人たちが、わりと欠点だらけ。そして更正するのはもうひとりの主人公のおばあさんだけ。世の中甘くない。
    ・絵は可愛い。黄色が良い。

  • アヒルと、ホウレンソウのグラタンが出てくるお話。
    子供のころに何かで読んで(単行本ではなかった)、ホウレンソウのグラタンがおいしそうで、母にねだって作ってもらった。
    当時は簡単に作れる市販のグラタンソースがなかったのか、小麦粉をフライパンで炒るところから作ってもらったっけ。冬、丸い筒形の石油ストーブの上でフライパンを温めながら木のしゃもじで丁寧に小麦粉をかき混ぜるのが私の仕事で、それからしばらく待つと、母の手でオーブンからアツアツのグラタンが出てくる。暖かい記憶がよみがえります。
    30年以上経ってもいまだにホウレンソウは大好物。
    自分では面倒くさいのでグラタンは作らないけれど。

    図書館で何げなく手に取って、この話だ!と大興奮。
    しゃべれるアヒルがなんだか冒険をして、帰ってきておばあさんとホウレンソウのグラタンを食べる、としか覚えていなくて、多少記憶違いはあったけれど、また読めてうれしい。
    大人になった今となっては、「グラタンってどんな食べ物?」なんて不思議に思ったりしないし、おばあさん以外の登場人物のその後の方がグラタンよりも気になったりする。
    今子供はいないけど、子供がいたとして、このおはなしを初めて読んで面白いよ、って勧めてあげるかもわからない、かわいいおはなしだね、って終わってしまうような気もする。
    でも、子供だった私に、間違いなく幸せな記憶を一つ作ってくれたおはなし。

    大人が思う子供に読んでほしい本ではなくて、子供が自分で読んで記憶に残る本って確かにあるんだな、と実感。
    最近図書館での読み聞かせを始めて、子供のためにどんな基準で絵本を選んだらいいんだろう、と悩んでいる自分に、少しだけ子供目線を思い出させてくれたような気がします。

  • 小さい頃何度も何度も読んだ本。
    最近図書館で再び出会いました。

    グラタンが食べたくなります。

    グラタン皿の底に絵が書いてあるお皿が欲しくなります。

    絵の雰囲気も柔らかくてステキです。

  • 魔法のポケットがついたエプロンを付けた、
    かわいく陽気な黄色いあひる。
    あひるは、おばあさんの家を出て旅に出るけど
    それがけっこう長い旅で「あひるはどうなってしまうんだろう」・・と読んでいて心配になる。
    ラストはハッピーエンドでとってもあったかくて、
    読んでいて読者もあひるといっしょに
    心からホッとします。
    そして、おばあさんが丁寧に作ったあつあつのグラタンを、
    あひると一緒に食べたような、
    満たされた気持ちになりました。いい本だなぁ。

    話の途中で出てくるたんぽぽとあひるの絵柄のやかんが
    とってもかわいい。私もほしいなぁ。
    でも、私もやかんを火にかけたまますぐ忘れてしまう人なので、あひるは飽きれてうちを出て行ってしまうだろうなぁ。

    いせひでこさんの絵もとっても素敵です。

  • 想像していたお話と少し違ったけど
    物語と挿絵が良くあっていてとても素敵な
    お話に思えた。

    短い話しながらも良くも悪くも人間が描かれていて
    いいなぁと思った。

  • いせひでこさんの絵が素敵。色彩にも癒される。

    グラタンが大好きなおばあさん。そしておばあさんの家のお皿に描かれた黄色いアヒルのお話。

    おばあさん=いい人 みたいな思い込みをいい意味で裏切られる。誰でも甘やかされると怠け者になってしまうんだなぁと。それは歳関係ないんだなぁと、おばあさんに親近感を覚えたり。。

    小学校2年生くらいから

  • グラタン皿に描かれたアヒルが、グラタンの好きなおばあさんのためにエプロンからグラタンの具を出してあげているうちに…
    いつも一緒にいると、いいところも嫌なところも見えてくる、そんな普通のことに気づかせてくれるお話。

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著者プロフィール

安房直子(あわ・なおこ)
1943年、東京都生まれ。日本女子大学国文科卒業。在学中より山室静氏に師事、「目白児童文学」「海賊」を中心に、かずかずの美しい物語を発表。『さんしょっ子』第3回日本児童文学者協会新人賞、『北風のわすれたハンカチ』第19回サンケイ児童出版文化賞推薦、『風と木の歌』第22回小学館文学賞、『遠い野ばらの村』第20回野間児童文芸賞、『山の童話 風のローラースケート』第3回新見南吉児童文学賞、『花豆の煮えるまで―小夜の物語』赤い鳥文学賞特別賞、受賞作多数。1993年永眠。

「2022年 『春の窓 安房直子ファンタジー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

安房直子の作品

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