車夫2 (Sunnyside Books)

著者 :
  • 小峰書店
4.12
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本棚登録 : 194
感想 : 16
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  • Amazon.co.jp ・本 (335ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784338287128

作品紹介・あらすじ

にぎわう浅草を舞台に、車夫の世界に飛びこんだ少年と、周囲の人たちとの心のふれあいを描く――さわやかな成長の軌跡、第2弾!

感想・レビュー・書評

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  • 2冊目は「家族」がテーマな気がしました。

    子がいない老夫婦、
    これから新しい家族を迎えるための準備をしてる家族、
    今はもう家族という形ではないけど繋がりを保ち続けようとしている人、
    父親が再婚する予定で新しい家族の形を受け入れようと奮闘中の女子高生。

    そして、自分を置いて出ていった母親への許せない思いを持ちながらも幸せを願い、新たに自分の居場所・幸せを築いて行こうと前を向く、主人公走くんの成長の描かれ方が……素敵。

    前半で「ガイドブックを暗記してもしょうがない、上手くなくたっていい、おまえのことばでちゃんとしゃべろよ」とお客さんへの対話サービスの極意を教えてもらったと、走くんが振り返るシーンがあります。
    物語の最後、母親への素直な気持ちを言葉にしているところで、回収された感じがして、ぅぁぁぁ!と悶えました笑

    家族ではないけれど、作中で丁寧に描写される、想いあいの関係性。読んでいて浄化されていくきがしました。

    できる限り少ない後悔で済むように、一瞬一瞬を大切に、素直に、生きていこうと思える、ハートフルなお話でした。

    __________________
    ○効率よくスマートに生きようなんて今は思わない。生きるということは余計な事や、くだらない事や面倒なことばかりで無駄なことの連続だ。その中で俺たちは多分、みっともなく何かにしがみつきながら生きているんだと思う。それでいい。いいのだと、最近思えるようになった。

  • めっちゃ泣いた。
    いとうみくさんのこの手の話、YAというより大人向けだと思うんだけど。

    走ちゃんが、みんなが少しずつ成長していくのかみえて、とても嬉しい。

  • シリーズ2作目。
    お話はつながっているけど、短編になっているので読みやすい。一度読みだすと引き込まれ、先が気になりやめられない。
    中心人物は入れ替わる。誰も幸せいっぱいってわけじゃなく、それぞれ事情があって、大人には何かしらの後悔も付きまとってる。
    それでも、人力車に乗ったことで、何かに気づいたり、慰めになったり、思い出になったり、きっかけになったり。
    ほんの少しでも前向きな気持ちに、しあわせな気持ちになれるのなら。やりがいのある仕事なのだと思う。
    走は、やけに大人びているけれど、自分のことになると別なんだろうな。きっと3巻目で進展があるんじゃないかな。

  • 車夫1の時よりも、どの章をよんでもす〜っと心に入ってきた。今回は「親子」の一冊だったな。

  • 走はお客さんのことに深く立ち入らないし、自分のことも多くは語らない。両者の事情を知る読み手としては、もどかしさもあるのだが、そこがいいのだろう。踏み込むとしたら、それは覚悟をもって行うときだろう。
    最後のハッピーバースデー、無事出産したおかみさんを祝おうとする場面で終わる。その前までの母親との再会の話が重すぎて、気持ちが晴れなかった。
    今後、走はどうなっていくのだろう。


    「ーー頼んだ。あの声は……。」
    「あいつは笑ってた。笑ってオレにたすきをつないだ。信じてくれていたから。」
    走の走るフォーム
    (つなぐもの)

    「観覧車に乗ると、オレは無意識に地上で待ってくれている人を探してしまう。」(ストーカーはお断りします)

    「それでも、思いを伝えないよりはいい。いまできることは、それくらいなんだから。効率よくスマートに生きようなんて思わない。生きるということは、余計なことや、くだらないことや、面倒なことばかりで、ムダの連続だ。そのなかでオレたちはたぶん、みっともなくなにかにしがみつきながら生きているんだと思う。」
    (幸せのかっぱ)

    「あっ、えっと、後悔していることに気づいたら、そこからやり直すチャンスがあるってことじゃないかと思うんです」
    「琴枝の手のひらをすり抜けていく花びらは、私が拾いあげればいい。拾いあげて、その手のひらにのせる。」
    (願いごと)
    なんて嫌なオヤジなんだ。もうすぐ死んでしまうかもしれない妻を怒鳴るなんて。心配するあまりだったのだろうけれど。今までずっとそうしてきたから変わることはできないのかもしれない。でもそんな自分のことを気づいて良かった。花びらを拾えないことを怒るのではなく、自分が花びらを拾って差し出せばいいのだ。そんな簡単なことなのに、難しい。

    「でも、あんなふうに年をとって、だれかと笑っていられるってすごいと思うんです」
    「ふつうでいるって、いろんなことがあっても、ふつうでいつづけるって、すごいなって思うんです」
    (やっかいな人)
    車夫1の第一話に登場した中学生だった女の子が高校生になって再登場する。尾行した父と父の恋人は結婚することになっていた。
    大丈夫ということばの使い方は難しい。でも走くんの「大丈夫です」は安心できる。

    小峰書店
    https://www.komineshoten.co.jp/search/info.php?isbn=9784338287128

    文春文庫
    https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784167914899

    中江有里
    https://books.bunshun.jp/articles/-/5466

  • 心に沁み渡るエピソードがあっという間に読了させてくれた。

  • 前作よりよかった。

    次も楽しみ。

  • 前作に引き続きおもしろかった。走の成長と、周りの人やお客さんの人生も見れてよかった。乃亜の続きが読めたのもよかったな。設定はなかなか重いし、人によっては解決策のようなスッキリとした終わり方はしないけど、そんな風に少しずつ、何かに救われて生きているんだよなって感じた。
    人力車にますます乗ってみたくなった。

  • 前作同様、さらりとしてるのに泣ける。
    余命宣告された奥さんが旦那さんと人力車に乗る話がよかった。
    乃亜との今後もあるのかな?
    お母さんとはいつかきちんと会える日が来るとよいな。

  • 「靴ずれの」悠木乃亜、余命宣告を受けた奥さんと乗る成見信忠等心に響くストーリーがいっぱい。

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著者プロフィール

神奈川県生まれ。『糸子の体重計』で日本児童文学者協会新人賞(2013年)、『空へ』で日本児童文芸家協会賞(2015年)、『羊の告解』でうつのみやこども賞(2019年)『朔と新』で野間児童文芸賞(2020年)、『きみひろくん』でひろすけ童話賞(2021年)、『あしたの幸福』で河合隼雄物語賞(2022年)、『つくしちゃんとおねえちゃん』で産経児童出版文化賞(2022年)を受賞。そのほか、『かあちゃん取扱説明書』『二日月』『チキン!』『カーネーション』『ぼくんちのねこのはなし』『よそんちの子』など、話題作を多数発表している。全国児童文学同人誌連絡会「季節風」同人。

「2022年 『バンピー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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