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本 ・本 (157ページ) / ISBN・EAN: 9784338287210
作品紹介・あらすじ
突発性難聴をわずらった中学二年生の結は、耳が不自由になったことを親友にも打ち明けられずにいた。そんな悶々とする日々のなかで、両耳のまったく聞こえない今日子さんや、手話サークルとの出会いをつうじて、新しい一歩を踏み出していく。
日本児童文学者協会、第17回長編児童文学新人賞受賞作。
感想・レビュー・書評
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中学2年の始業式の朝、結の耳鳴りが始まった。一月経っても消えないので、母に告げ病院に行くと突発性難聴と診断される。病院を替えながら2ヶ月治療に通ったものの、回復は難しいと診断される。友人にも伝えられぬまま、不自由さと疎外感と不安に押しつぶされそうだった彼女は、公園で楽しそうに手話会話する姿を見て、関心を持ち、サークルに見学に行く。そこで突発性失聴の今日子と出会い、彼女の理解とたくましさに救われるのだった。
片耳の難聴に悩みながらも、それを機会に聴覚障害者の世界を知り、成長する少女の姿を描く物語。
*******ここからはネタバレ*******
YA世代の本には設定がとても複雑なものが多いですが、この本は実にシンプル。主人公の悩みは自らの難聴に対する不安とそれに伴う人間関係。
それだけに前半の、難聴が回復不可能と診断されるまでの過程に胸が痛みます。
反面、もう治らないとわかった後の悩みは人間関係で、傍目からはわかりにくいし、自分でも何をどうしてもらったらいいのかわからないもどかしさが伝わってきます。
聴覚障害者の世界を知った後の彼女は、非常にたくましくなって、理解者を得ることの大きさがわかります。
シンプルで、かつ、聴覚障害者の教科書みたいなところもあって、物語としては物足りないかも知れませんが、主人公は中学生だし、私は、こういうのもアリじゃないかなって思います。 -
「わたしの空と五・七・五」が好きなのに著作追ってなくて遅ればせながら読んでみた。
突発性難聴を患って片耳の聞こえ悪くなった結。日常の色んなことに、聴力の弱さが絡んでくて生きづらくなる。その描写がとてもリアルで共感できた。
私は身近な人3人が突発性難聴を連続で患い、一人は難聴になった。うつらない病と言われているが、あんな連続になったときはなにかウィルスでも関係しているんじゃないかと思った。耳鳴りが治まらなくなったら即受診すれば治る確率の高い病気なので、そのことだけでも周知されると良いなぁと思う。この主人公も、一月放置していて、早く病院行って~と読みながら知り合いに話しかけるような気持ちになった。 -
ある朝始まった耳鳴りに、いつかは治まると思っていた結。長く続いたので病院に行くと、片耳だけ「突発性難聴」と診断された。
治療を続けるも先が見えず、友だちにも打ちあけられなくて悩む結は、手話サークルに出あう。
「突発性難聴」は、すぐに治療すれば治るのだそうだ。この物語を読んで、ひとつ知識を身につけられた。 -
突発性難聴になった主人公の戸惑いや努力がリアルに描かれている。
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急に変わってしまった日常、家族への遠慮と後悔。
これからどうなるのか、自分はどうしたいのか、周囲にどうして欲しいのか、悩みと向き合うお話。
人はそれぞれ身体や心、目に見えるもの見えないものに悩みを抱えている。その悩みを受け入れて生きていくには、また人それぞれの過程がある。
でも、ひとつだけ共通点があると私は思う。
それは、人との出逢い。
出逢いが何かが変わるきっかけになる。そう感じた。 -
自分だってなる可能性が無いわけじゃないし、耳が不自由な人の苦しみにも気づけましたが、小説としての面白みが欲しかったです。多分これはすごい“リアル”なんだと思います。
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突然右の耳が聞こえなくなった中学2年生の結。みんなの話がわからなかったり、バスケでパスができなかったり、いろんな不自由さを感じながら、それを友だちに打ち明けることができない。そんなとき、手話サークルの今日子さんと出会う。自分と同じ体験を共有することで、小さな一歩を踏み出す勇気が…。
周りのともだちも大人たちも魅力的ですが、主人公の結がまっすぐで気持ちがいい。応援したくなる物語。 -
中学2年の始業式の朝、突然耳鳴りが始まった女の子が主人公。
突発性難聴と診断され治療をするものの、治ることなく片耳の張力を失ってしまう。
物語は日常生活での苦労や、手話サークルへの加入と同じ環境の人たちとの出会いと進んでゆく。
そして感動のラスト。
究極的にはパンフレットを広めたいと言うことなんだけど、読み終わったら検索してしまった。
そしたら本当に存在していた。
本の中で紹介しないところが憎い。
折角だから載せておきます。
http://sai-deaf.org/wp-content/uploads/2016/04/7d445db9bfd2a6019eb168bd15ed4b3a.pdf
著者プロフィール
森埜こみちの作品






コメントでは、はじめまして。
私の拙い感想に、いつも沢山の「いいね」をありがとうございます。
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コメントでは、はじめまして。
私の拙い感想に、いつも沢山の「いいね」をありがとうございます。
ご自宅で家庭文庫を開いてらっしゃる、とプロフィールを読んで、ただただ凄いなぁと思っております。
あきよしうたさんのブクログの本棚も参考にさせて頂いております。
ここ2、3年で生徒の活字離れが急激に進み、悩みは尽きません。
これからもどうぞ宜しくお願いします。
コメントとこちらこそたくさんの「いいね」ありがとうございます。
中学校で司書をされているんですね。
私が...
コメントとこちらこそたくさんの「いいね」ありがとうございます。
中学校で司書をされているんですね。
私が書くレビューの多くは、市のこども図書館が発行する選書本の編集のためなんですが、一緒に活動するメンバーにも中学校の司書さんがいるんですよ。
そして、うちにも中学生と高校生の娘が三人おりますが、こちらの活字離れも進んでいます(涙)。
今は本よりも動画がいいみたいで……。
なので、私は、自分の楽しみのために読んで、後は、彼女たちが感想文を書く本に迷ったときに適当なものを選んであげられたらいいのかなって感じで取り組んでいます。
YA向けの物語って、こどものものよりも複雑でおもしろいし、大人のものよりも読後感がいいので気に入っています。
最近のトレンドも取り入れられているので、私自身が勉強になります。
家庭文庫は、娘たちが嫌がるので、今は開店休業中で、時々図書ボランティア仲間にお貸しする程度なんですよ。
私は今、図書館から頂いた掲載候補本を読むのでいっぱいいっぱいなんですが、手が空いたら、ロニコさんの本棚にある面白そうな本たちにも手を出してみたいと思っているところです。
こちらこそ、どうぞよろしくおねがいします。