妖花魔草物語 (Sunnyside Books)

  • 小峰書店 (2024年3月12日発売)
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本 ・本 (200ページ) / ISBN・EAN: 9784338287272

作品紹介・あらすじ

伝説の植物マンドラゴラ、食虫植物のウツボカズラ、神秘的な月下美人など、世界各地の植物にまつわる、不気味で不思議な物語10篇を収録。妖しくも美しいカラーイラストも時空を超えた恐怖の世界へといざないます。

感想・レビュー・書評

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  •  この装丁…この雰囲気すごく好きだし、なんか見たことないですか??乙女の本棚シリーズも手掛けていらっしゃる、まくらくらまさんの作品です!表紙だけでなく、挿画もスゴくいいんです…。作者は廣嶋玲子さん、「ふしぎ駄菓子屋」が代表作ですよね!(読んだことはないけれど…)。この作品の対象年齢は小学5,6年生〜らしいけど、これ子どもたちが読んでいいものなのか??確かに、文字は大きいしルビもふってあるけれど…内容は、タイトル通り、人を惑わす不思議な植物を題材にしていて、かなりオトナ向けかと感じました。だからこそ、まくらくらまさんの装丁、挿画が生きるんですけどね^^;

     この作品は10編の短編集で、連作にはなってはいません(短編ごとの紹介は省略します)。
     ・処刑台のマンドラゴラ
     ・幽霊芝
     ・悪魔の時計草
     ・誘惑のウツボカズラ
     ・朧の月下美人
     ・潮騒の人魚草
     ・朧の月下美人
     ・死香のジャスミン
     ・嫉妬の青真珠草
     ・脇役のかすみ草
     ・夢紡ぐもの
     タイトルからして不穏な感じでしょ?はい、不穏で妖しく人間の醜い心に植物がとりっていくようなストーリーが多かったです。純真な子どもたちには読ませたくないような…。最後の「夢紡ぐもの」だけちょっと違った、いいお話でしたけどね!でも、私的にはこの作品、すごく好きです!!ブラリーさんのレビューのおかげで、この作品のことを知ることができました。ありがとうございました。

    『魔力を秘めた植物は、人の心に根をおろす。
    花で惑わし、香りで操り、毒の蜜でかき乱す。
    (だが、ときには絆を結び、かけがえのない友となる。)
    千の芽、万の葉しげらせて、植物たちはあなたを見ている。』

    • かなさん
      1Q84O1さん、おはようございます。
      この表紙に、そそられるでしょう(*´▽`*)
      もうずっと見ていたいっ!!
      1Q84O1さん、おはようございます。
      この表紙に、そそられるでしょう(*´▽`*)
      もうずっと見ていたいっ!!
      2025/02/21
    • かなさん
      まきさん、おはようございます。
      表紙もいいけど、この作品中身もお気に入りです♡
      私好みの作品でした!
      まきさん、おはようございます。
      表紙もいいけど、この作品中身もお気に入りです♡
      私好みの作品でした!
      2025/02/21
    • かなさん
      ぴこさん、おはようございます。
      ぴこさんは、妖しいのはお好きかな??
      私はこの手の作品が好きなんですよね(^^)
      ぴこさん、おはようございます。
      ぴこさんは、妖しいのはお好きかな??
      私はこの手の作品が好きなんですよね(^^)
      2025/02/21
  • えー児童書なのに、人間の黒い感情を混ぜ込んだ、この禍々しい感じは良いのかしらと思いつつ、ついつい読んでしまうのが廣嶋玲子さんの魔力…
    装丁が美しすぎます‼️

    • かなさん
      プラリーさん、こんにちは!
      装丁、まくらくらまさんじゃないですかぁ(*´▽`*)
      私、まくらくらまさん、大好きなんです♪
      こちらの作品...
      プラリーさん、こんにちは!
      装丁、まくらくらまさんじゃないですかぁ(*´▽`*)
      私、まくらくらまさん、大好きなんです♪
      こちらの作品も、いつか読ませていただきます。
      ありがとうございます。
      2024/05/25
  • ちょっと怖い短編集。一番印象に残った話は、王様に恋人を取られてしまった話。銭天堂の作者なので、さくさく読める。

  • ふらりと入った本屋で見かけて、装丁の美しさに思わず手に取った。
    表紙はビリジアンの地に金の箔押し。西欧アンティーク調の植物画と、髑髏を抱えて婉然と微笑む妖艶な美女。
    手に取ってみて「えー!!」とびっくり。推奨年齢小5・6と帯に書いてある。この装丁で児童書かい!? 今どきの小学生はゼイタクだな〜と内心唸りながら、パラパラ中をめくってみる。
    第一章を数ページ読んで、ぱたんと本を閉じた。読書歴◯十年の直感なめんな。これ以上立ち読みする必要などない。これ絶対面白いやつだ。今すぐレジへGO!

    …というわけで、今この美しい児童書が私の手元にあるわけです。

    物語は独立した10の短編から成っています。以下、あらすじをご紹介(オチは伏せてます)。
    ----------------------------------
    1 処刑台のマンドラゴラ 
    古都バイエルンの若き植物学者オットーは、万能の霊草マンドラゴラを手に入れるため恐ろしい計画を立案する。冤罪で処刑された人間の血を養分として育つマンドラゴラ、その生贄として彼が選んだのは、かつて彼の求愛を拒んだ美しい娘アガーテだった。彼女に魔女の濡衣を着せて処刑台に送り込んだオットーが得たものは…

    2 幽霊芝(ゆうれいし)  
    むかし東の大国に黒天山という山があり、そこに自生する幽霊芝なる茸を食すと頭脳明晰になるという噂があった。丹宗玄は凡庸な青年であったが、超難関の臣試に合格したい一心で幽霊芝を食したところ、はたして臣試に首席合格。前途洋々と思われたが…

    3 悪魔の時計草 
    ロンドンで放蕩のあげく死病に侵された青年は、親から事実上勘当され、療養の名目でノースヨークシャーの屋敷に厄介払いされた。死を待つのみの青年の前にひとりの紳士が現れて、時計草の苗を彼に渡し、花一輪ごとに彼の寿命を伸ばすことができるという。ただし花を咲かせるには、生き物の死骸を土に埋めなければならない…

    4 誘惑のウツボカズラ 
    ヴェネツィアの美青年ロドリーゴは恋の名手。自分に陥せない女はいないと豪語する彼の前に、奇妙な老人が現れて賭けをしないかと誘う。ある商人の屋敷に異国人の女奴隷がいて、絶世の美女だがどんな男にもなびかないことで有名だ。もし彼女を陥せたら金貨をやると老人は言う。自信満々で受けてたったロドリーゴが見たものは…

    5 朧の月下美人 
    大萩の大臣の末息子、朧丸は眉目秀麗、頭脳明晰でありながら、人の世にあっては禍いをもたらすという託宣を生下時に受け、離れに幽閉されて一生を終える定めであった。朧丸を哀れに思った両親は、唐帰りの高僧から世にも珍しい花の種を譲り受け、せめてもの慰みにと朧丸に渡す。一年に一度、満月の夜に一夜限り咲くという、その花に魅せられた朧丸は…

    6 潮騒の人魚草 
    アイルランドの漁師町に乱暴者の少年がいて、荒れた生活を送っていたが、ある日小さな人魚が一匹、潮溜まりに迷いこんでいるのを見つける。少年は人魚を自分だけのものにしたくて、甘言を弄して手なずけたうえで、瓶に閉じ込めて家に持ち帰った。しかし翌朝少年が見ると、人魚は死んでしまっていて…

    7 死香のジャスミン 
    アラビアの調香師セリムにはザイナブという恋人がいて、将来を誓いあった仲であったが、おしのびの国王に見そめられたザイナブは、後宮へ召し上げられることになってしまう。王に逆らう者は死刑ゆえ、セリムは泣く泣く運命を受け入れ、ザイナブの好きなジャスミンの香水を調合し、せめてもの手向けにと渡したが…

    8 嫉妬の青真珠草 
    伯爵夫人、狛王院桜子には久胤という優しい夫がいて、申し分のない生活を送っていた。だがある日、久胤が若い女と腕を組んで夜の街を歩いていたと友人から聞かされ、桜子は激しく動揺する。心から久胤を愛しているがゆえに嫉妬に駆られた桜子は、客のあらゆる悩みに最適な「薬」を処方してくれるという妖しい薬屋「夕霧堂」の扉を叩く…

    9 脇役のかすみ草
    美しいが驕慢な性格のベラは、心優しい友人ジェニーの婚約者アランを略奪し、結婚にまでこぎつけた。自惚れの強いベラは自分の象徴である豪華な薔薇と、ジェニーの象徴である地味なかすみ草で髪や式場を飾り、自分が主役であることを参列者に見せつけるつもりであった。しかし結婚式当日、奇妙なことが起きる…

    10 夢紡ぐもの 
    メアリーは奇妙な夢に悩まされていた。小さな少女が毎晩夢に現れ、悲しげな顔でメアリーを見つめるのだ。夜毎に少女は成長し、娘になり婦人になり遂には老婆となってしまった。あなたは何を訴えたいの?教えて…!メアリーの呼びかけに老婆は一粒の実を与え、それを食べたメアリーはあることを思い出す…
    ---------------------------------

    時代も国もさまざまな物語だが、共通するのは不思議な植物が出てくること。でも、それらを妖花魔草と呼ぶのは語弊があるかもしれない。植物はただそこにあるだけで、自分勝手な目的やよこしまな欲望のために植物を利用し、それらを毒草たらしめているのは他ならぬヒトである。
    ある植物を毒草と呼ぶか薬草と呼ぶかは人の都合にすぎないように、妖も魔も人の心が生み出すもの。妖魔の物語を人が好むのは、それが人の心の物語であることを無意識に知っているからなのだ。

    児童文学とはいえなかなかの読みごたえだった。これほどの作家さんの存在を知らなかったとは不覚、何処の御方で…と調べたら、なんとあの「銭天堂」の作者さんじゃないか!大御所じゃん!そっち方面はノーチェックだったわー。
    児童文学、やっぱり侮れないねえ。*

  • 出てくる植物に魅了されるみたいに読んだ。
    自業自得、というような話もあれば、やるせなさが残る話もあり、全体的にほろ苦い。でもそれが出てくる魔草の雰囲気にぴったりで脳内でその美しさを想像して楽しかった。そして最後のお話にあたたかな気持ちになって、ほこほこな気持ちで本を閉じた。
    やっぱり廣嶋さんのお話好きだなぁ。

  • 昔話の雰囲気で、植物を基底におき、人の欲望が何かを引き起こす様を語るお話。一話は短く(10~20ページ位)簡単に読める。文中に挿絵あり。ルビは中学年以上程度。少し不気味で、結果も良くないものが多く、そこがまた、子ども心を喜ばせそうな本だった。

    「処刑台のマンドラゴラ」
    バイエルンのオットーという学者は植物の研究にのめり込み、遂には禁書に惹かれ、無実の人間が処刑されたら台の下にマンドラゴラが生えると知る。
    「幽霊芝」
    東の大国で臣試があり、大変難しいが役職につける。丹宗玄も試験に受かりたいが能力足りない。そんなとき、幽霊芝というキノコを食べると賢くなるという話を聞く。
    「悪魔の時計草」
    ロンドンにいた、ある青年の日記より。不摂生などで身体壊し、田舎で家族にも見捨てられている。ある日紳士から不思議な育て方をすれば寿命延びる花が咲く時計草を貰う。
    「誘惑のウツボカズラ」
    ベネツィアのロドリーゴはいつものように女を口説く。どうやら貿易商の女奴隷はふるいつきたくなるような美女らしい。
    「朧の月下美人」
    京の都の大臣は大変愛らしい赤子を持つが、占うもの全てが、殺すべき凶相だと言う。夫婦は完全に隔離した蔵で息子を育てるが、不憫でたまらない。17の時唐帰りの僧に見て貰うと、郷は消せないが寂しさを埋められると種をくれた。
    「潮騒の人魚草」
    アイルランドの八歳の少年は身勝手でわがまま、冷酷。周りからも忌み嫌われいつも一人。そんな時浜辺で、潮溜まりに取り残された小さな人魚を見つける。
    「死香のジャスミン」
    昔のアラビアにハサンという調香師がいた。幼馴染のザイナブは美しく結婚間近だったが、何百人も王妃を持つ王に見初められてしまう。王が飽きるのを待つつもりだったが、予想外に王はザイナブを寵愛し、ついには王妃の嫉妬をかう。
    「嫉妬の背真珠草」
    狛王院久胤は三十歳で立派な人物と評判。妻の桜子も誇らしく思っていた。しかし、隠し子がいるようだと他のひとに吹き込まれ、桜子は裏返しの憎しみから言われるままに毒を盛る。
    「脇役のかすみ草」
    ベラは美しく大輪の赤いバラのよう。ジェニーの婚約者を奪う。かすみそうのようなジェニーを馬鹿にする。披露宴の花もかすみそうはいらない、全て大輪のバラ。しかし、披露宴でとんでもないことが起きる。
    「 夢紡ぐもの」
    三十歳のメアリー・スミスは小学校の教師という仕事にも暮らしにも満足していたが、夢に悩まされていた。女の子が出てきて、訴えてくるが、誰かわからない。女の子は少しずつ年をとっていく。もう、間に合わないと訴える。ああ、そうだ。これは子どもの時名前をつけるほど大好きだったあの…。

  • 978-4-338-28727-2
    c8393|1800E

    妖花魔草物語
    2024/03/10 第1刷発行

    作者:廣嶋玲子(ひろしま れいこ)
    画家:まくらくらま
    発行所:株式会社小峰書店


    目次
    処刑台のマンドラゴラ
    幽霊芝
    悪魔の時計草
    誘惑のウツボカズラ
    朧の月下美人
    潮騒の人魚草
    死香のジャスミン
    嫉妬の青真珠草
    脇役のかすみ草
    夢紡ぐもの
    --

    児童書です。でも怖かったなぁ。

    嫉妬の青真珠草では 路地裏の怪しげな薬屋がでてくる。
    店主はなんとなく、十年屋を思い出させた。(十年屋の方は怖くないのだけれど)店の雰囲気は、なにかで読んだことが有るお話に似ていると…。「銀獣の集い」の中にでてくる「たまごの管理」をするところを思い出しました。
    同じ作者さんでしたね。(銀獣の方は思い出すのに時間がかかりましたw。すごく怖かったのを覚えていたのに。)

    ジューンベリーの白雪姫 良かったね。

  • ダークに振り切った廣嶋玲子作品、最高なんだよな〜!耽美幻想もの。
    まくらくらまさんのイラストがまた美しすぎる。雰囲気ばっちりあっていて最高です。

    妖しい花、植物に魅入られたひとたちの短編集。昔語りのようにすすみます。かなり短めの話がたくさん入っていて読みやすいのでは。お得。
    相変わらずこの系統の廣嶋さんは容赦ないので、幸せな児童文学を想像しているひとはやめたほうがいい。
    (めちゃくちゃ褒めている)

  • ゾワっとする感じ。
    不思議な世界だ。

  • 【収録作品】
    処刑台のマンドラゴラ
    幽霊芝
    悪魔の時計草
    誘惑のウツボカズラ
    朧の月下美人
    潮騒の人魚草
    死香のジャスミン
    嫉妬の青真珠草
    脇役のかすみ草
    夢紡ぐもの

    魔力を秘めた植物のもたらす(人間にとっての)悲劇。
    悪夢のようだが、不気味な美しさがある。

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著者プロフィール

神奈川県生まれ。『水妖の森』で第4回ジュニア冒険小説大賞、『狐霊の檻』で第34回うつのみやこども賞受賞。作品に『送り人の娘』、『おっちょこ魔女先生』、『盗角妖伝』、「怪奇漢方桃印」シリーズ、「秘密に満ちた魔石館」シリーズ、「十年屋」シリーズ、「鬼遊び」シリーズ、「妖怪の子預かります」シリーズなどがある。

「2023年 『ふしぎ駄菓子屋 銭天堂1・2・3(3冊セット)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

廣嶋玲子の作品

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