- 本 ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784339013733
作品紹介・あらすじ
【読者対象】
本書は,さまざまなデータの分析や解析に利用される可視化技術に興味をもつ,幅広い読者を対象としています。可視化に関する専門的な技術を学びたい大学生や大学院生,研究者だけでなく,高校生や社会人など,様々な読者が事例を通して可視化を知ることができる内容となっています。
【書籍の特徴】
本書では,実際にどのように可視化が利用されているのかを,「科学・文化・社会」の三つの分野に分けて,実用例を交えて紹介しています。流体の可視化に始まり,有形文化財のディジタル保存,ソーシャルメディアデータの可視化など多岐にわたる実用例を掲載していますので,単なる技術としてだけではなく,実社会でどのように可視化が役立っているのかを知ることができます。本書で取り扱う三つの分野を,それぞれが独立した章として構成していますので,興味がある分野から読んでいただけます。
【各章について】
1章では,可視化の歴史などを踏まえて,本書の構成について詳しく説明します。
2章では,空気や液体などの流体の可視化を中心に,自然科学分野における可視化事例を掲載しています。
3章では,有形文化財をディジタルデータとして永久保存する方法を通して,人文科学分野における可視化の利用例を紹介します。
4章では,実世界の物理空間に依存しないようなデータを扱う社会科学における可視化事例を紹介します。
【著者からのメッセージ】
「可視化」は,自然現象や人体の観察や分析に古くから利用されてきました。コンピュータの登場により,以前は人間が手描きで画像にしていたものが,現在ではコンピュータを用いて容易に可視化することができるようになりました。大規模かつ複雑なデータが当たり前のように生成されている現在,それらのデータの分析・解析には,「可視化」は必要不可欠な技術です。一方,どのような場面で「可視化」がどのように利用されているかは,一般的にはあまり認識されていません。本書に掲載しているさまざまな事例を通して,多くの読者の方に「可視化」に興味を持っていただければ幸いです。
感想・レビュー・書評
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読者モニターレビュー
https://www.coronasha.co.jp/np/resrcs/review.html?goods_id=8056
【 N/M 様(業界・専門分野:総合情報学[情報科学])】
掲載日:2023/10/24
本書は「メディアテクノロジーシリーズ」の3巻目に位置する書籍である.本巻では「可視化と科学・文化・社会」ということで,可視化の技術についての記述がなされている.
特徴としては,よく理系の専門書にみられる多数の数式の羅列よる難解さは,本書では見られない(全く数式がないという意味では決してない)ので,読み物的に,目次を閲覧して気になった可視化例を好きな順序で読んでいくことができる点が挙げられる.
1章では,本書が扱う可視化とはどのような歴史を辿ってきたか,そもそも可視化とは何なのかという定義から解説されている.その際に,可視化に関する応用事例を,大学などの高等機関において分類される,「自然科学(所謂「理系」)」,「人文科学」,「社会科学」という3つの学問分野に分けて言及されている.
2章〜4章では,それぞれの学問領域において,各種可視化の事例が多く紹介されている.その中でも情報科学分野に関連するものとして「2.5
科学技術分野におけるVR/AR/MR/XRの活用」や「4.3 インターネットと可視化」,「4.4 マルチメディアと可視化」,「4.6
人工知能と可視化」は大変興味深いものがあった.特に,「4.3
インターネットと可視化」では,Webサイトへのアクセス履歴からどのページがいつ頃,どの程度閲覧されているかなどのビッグデータからデータマイニング(Webマイニング)することで傾向を可視化でき,また,SNSへの情報拡散行動を可視化することで,今何かと問題になっている,自身によって都合のいい情報が多くレコメンドされる「エコチェンバー現象」などの解決策にも繋がるだろうと個人的には思われた.
本書には数多くの図表が使用されていて,一部に関しては本書の最初のページ(口絵)に多くがカラー図表で記載されている.また,口絵に記載されていないものも含めて本書のWebサイトの関連資料にも公開されている.ただ,WordファイルをHTML形式のファイルに変換の上,JPEG形式の画像での公開になっているので,所々見にくい箇所もあり,できれば細かい部分を詳細に確認する意味でも,画像劣化の少ないPNG形式などにしていただけると嬉しく思う.
【 高見 玲 様 LINEヤフー株式会社(業界・専門分野:Web)】
掲載日:2023/10/24
本書は「情報を描く」手法の応用事例を「自然科学・人文科学・社会科学」の学問体系の観点から紹介しています。実空間にマッピングできるデータを扱う科学的可視化(SciVis)と、そうでないデータを扱う情報可視化(InfoVis)は別々の学問として探求されてきましたが、近年では両者の境界は曖昧になりつつあり、一方の技術が他方に援用される機会も多いです。各体系の研究者がそれらの歴史的背景や事例を解説した上で、最新トピックとして「AIを活用した可視化」や「AIを理解するための可視化」の事例も示されています。学術領域を横断した広範な知識と応用能力が求められる現代において、ビジネス事業者のデータ活用業務のアイデアを拡張できる点で、学術的のみならず実用観点でも価値がある書籍であると言えます。 -
請求記号 007/Ta 65