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Amazon.co.jp ・本 (264ページ) / ISBN・EAN: 9784339013788
作品紹介・あらすじ
○読者対象
本書は、理工系のみならず、文系や芸術系でテクノロジーに興味のある学部生、大学院生を主な読者対象としています。また、音楽だけではないサウンドに興味はある社会人、テクノロジーを用いた音の表現やデザインの進路を検討している高校生も対象となるでしょう。
○書籍の特徴
本書は「サウンドデザイン」というキーワードの下、様々な音のデザインに関連するトピックについて各専門分野の研究者によって書かれたものです。私達の耳に届き、イメージを想起する音のデザインは、映像やビデオゲームなどにおける臨場感の演出や情報伝達という役割があります。しかし、それ以外にも楽器やインスタレーション、建築という場で新しい体験をもたらし、文化を生み出す機能もあります。音を客観的に捉える「耳」を養うこともサウンドデザインの範疇と言えます。それらを含めた音という不可視なメディアが生み出すサウンドデザインの世界を概観することを試みました。
○各章について
本書は、サウンドデザインの事例や研究に触れる6つの章から構成されています。独立した章なのでどの章から読んで頂いても構いません。
第1章では、ビデオゲームにおける効果音制作にまつわる事柄、そして未来の可能性について解説します。
第2章では、インタラクションを伴った「共遊楽器」がもたらすマルチモーダルな体験について解説します。
第3章では、「音のメディア考古学」と題するアプローチ方法でかつてのサウンドアートを「発掘」し、「解釈」して蘇らせたプロジェクトを紹介します。
第4章では、建築においてデータを音楽で表現するサウンドデザインについて論じます。
第5章では、音を表す定量的な数値・尺度などを理解する能力を獲得するプログラムについて解説します。
第6章では、映画、アニメをはじめとする商業のサウンドデザインを対象として、その概念と研究について紹介しています。
○著者からのメッセージ
現在、生成AIのブームが全世界的な潮流となっています。音についても作曲をはじめとした様々な音の処理を人間に代わりAIが担う試みが多数登場してきています。おそらく様々な部分がAIによって自動化、効率化していくことが予想され、それはサウンドデザインの分野も例外ではありません。しかし、本書で数多く挙げられている、サウンドデザインの原理原則や人間自身の手や思考によって構築されたサウンドデザインの事例、研究対象に目を通して頂ければ、人間の発想の豊かさ、地道な試行錯誤の末に創り出されるものの価値に気づくでしょう。そして、それらを踏まえた上でのAIの機能性との住み分け、または共存への道筋やヒントを見出すことができるかもしれません。これまでのサウンドデザインのみならず、これからのサウンドデザインについて考えてみたい方々にも本書を手に取って頂きたいと願っています。
感想・レビュー・書評
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コロナ社HPレビュー全文へのリンク https://www.coronasha.co.jp/np/resrcs/review.html?goods_id=8349
【 西山 陽巳 様 株式会社BabyJam(業界・専門分野:音楽系)】
掲載日:2024/12/13
デジタルオーディオの基礎知識だけでなく、音響技術の文化的背景にも触れながら「音」から視覚や聴覚、建築に至るまで幅広い実例を通して「サウンドデザイン」というものを網羅的に知ることのできる著書となっておりました。特に感覚代行技術の概念モデルに関しては聴覚の可能性をより広げ、既存の概念や感覚、枠組みに捉われない新たな文化や作品の創出に寄与できるものだなと感じ、今後の発展に期待したいと感じました。
また、エンターテイメント領域における音響技術の発展はより作品への理解度を高め、臨場感や没入感を演出する上で重要な要素となっていることを再確認することができました。
全体を通して音から得られる情報がもたらす可能性に関しての理解と期待値が高まる内容となっており、今後にも注目したいと思わせられる1冊でした。
【 高木 創 様 (有)デジタルサーカス(業界・専門分野:録音・整音技師)】
掲載日:2024/11/13
「サウンドデザイン」とは分野を特定しないかなり曖昧な言葉である。映像作品に於ける「サウンドデザイン」の真髄は、観賞者の記憶を呼び覚ます「鍵」として音響を構成するところにある、と自分は考えて作品制作に臨んでいるが、本書では「サウンドデザイン」という表現の方略を多角的に提示する点に於いて、玩具箱をひっくり返して床一面に音のおもちゃを展開したような視点で「音響」を捉える面白さに満ちている。
専門の枠内で論じられる「音響」への認識を改める良書であると深く思った。
【 わかめごはん 様(業界・専門分野:情報学、音響学)】
掲載日:2024/11/12
音に関する幅広いテーマが一冊に凝縮された本書は、サウンドデザインを学ぶ私にとって、とても頼れる一冊です。音の物理や知覚の解説にとどまらず、ゲームやアートなど実際の事例も豊富に紹介されており、楽しく読み進められる構成になっています。サウンドデザインの基礎から応用まで、多様な視点で「音」を捉える内容が詰まっており、日々の研究や創作への刺激にもなる本です。音の世界の奥深さに触れられる、貴重なガイドブックといえます。
読者モニターレビュー【 ころすけ 様(業界・専門分野:オーディオ)】
掲載日:2024/11/08
この本は、音響や音楽制作に関わる人々にとって、実用的で理論的な視点から役立つ一冊です。サウンドデザインの基礎から応用までを網羅し、音響の物理的性質、心理的影響、録音技術、編集手法、さらには最新のデジタル音響技術の活用まで、多岐にわたる知識を整理して紹介しています。
各章では理論だけでなく、実際のプロジェクトで活かせる実践的なテクニックも多数取り上げられており、特にサウンドエフェクトやBGMの制作に興味のある読者にとって非常に価値のある内容となっていると感じました。著者は業界で培った経験をもとに、現場で直面する具体的な課題とそれを乗り越えるためのアプローチを提示しています。
視覚的に理解しやすい図解や実例を使用しているため、初心者でも専門的な知識をスムーズに習得できる点が魅力です。また、技術的な側面に偏らず、音がもたらす感情的な効果や聴衆への影響といった感性的な視点についても論じている点も秀逸です。
理論と実践、技術と芸術がバランスよく調和しているため、音響エンジニア、映像制作者、ゲームデザイナーなど、幅広い分野でサウンドデザインを追求したい方々におすすめできる一冊です。
【 山口 直彦 様 東京国際工科専門職大学(業界・専門分野:情報学)】
掲載日:2024/10/31
「目覚ましがわりにタイマーセットしたラジオから情報番組のオープニングテーマが流れてくる。牛乳を取り出した冷蔵庫のドアがパタリと閉まる。友達から届いたLINEの通知音に急かされるように家を出る。エンジン音を響かせて颯爽と駆け抜ける自動車を横目に最寄駅へ駆け込み、発車メロディが鳴り止むギリギリで電車へ滑り込む。車内モニタから流れるチャイムに続き、この電車は少し遅れて到着すると合成音声が流暢にアナウンスする。さて待ち合わせには間に合うだろうか…」さて皆さんはこの光景を想像して、何種類の音が頭に流れたでしょうか。
私たちの生活には音があふれています。風や雷の音のような自然の音だけでなく、人工物から流れる音も数多く存在します。実はこの「人工物から流れる音」のうちかなりの部分がデザインされた音です。本書のタイトル「サウンドデザイン」は,人工物に付与する音(サウンド)を,何らかの意図をもって設計する(デザイン)ことであり,音楽の作編曲・合成音作成(シンセサイザ)・建築音響・楽器音響…などなどの分野にまたがるとても広い概念です.
音楽の「作曲」はわかりやすい例ですが、音楽でなくとも通知音は埋もれすぎずうるさすぎず、いかに適切な強度と緊張感で聴く人に注意を促すかを重視してデザインされています。さらには構造上音が出ることが当たり前である冷蔵庫のドアやエンジン音でさえ、高級品では設計の段階で心地よい音になるよう考慮して設計されています。また冒頭のストーリーを映画やアニメのワンシーンとして捉えれば、さらに話が変わってきます。その場合は現実より音が少し大袈裟になったり、省略されたり、現実にない音が追加されることすらあるでしょう。
「サウンドデザイン」の中でも本書はエンタテインメント分野の実践にフォーカスした内容となっており,いかに視聴者(消費者)の感性をくすぐる音体験を設計するかというノウハウが記されています.このような実践例がまとまった文章として読めるのはとても新鮮でした.一方,「サウンドデザイン」という意味の広い単語をそのまま書名にしてしまったので,エンタメ分野以外の「サウンドデザイン」を期待してしまうと(もちろん本書が役に立たないわけではないが)ちょっと期待外れになってしまうことは注意が必要です.詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
請求記号 501.24/Ma 82
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