テンソルデータ解析の基礎と応用 テンソル表現,縮約計算,テンソル分解と低ランク近似 (次世代信号情報処理シリーズ 7)
- コロナ社 (2024年6月12日発売)
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感想 : 4件
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Amazon.co.jp ・本 (264ページ) / ISBN・EAN: 9784339014075
作品紹介・あらすじ
【書籍の特徴】
本書はテンソル分解の入門書として書きました。テンソルの基礎,線形代数の基礎,主成分分析,テンソル分解の基礎,テンソル分解の応用までを滑らかにつなぐことを心がけました。テンソルネットワークでよく用いられるダイアグラム表記も積極的に取り入れて解説しています。
【本書の構成】
1章:「情報のテンソル表現」では,ベクトル,行列,テンソルの簡単な導入と応用事例について広く浅くまとめました。情報が意味するものは,音声,脳波,画像,自然言語など多種多様です。これらのデータはさまざまな形式で保存されていますが,テンソルを使って表現すると,それに対してさまざまなテンソルデータ解析の手法を適用できるようになります。
2章:「テンソルの変形と計算」では,テンソルどうしの積(縮約)を理解することを最終目標に,テンソルの基本的な操作(ベクトル展開,行列展開,折り畳み,アダマール積,クロネッカー積など)を丁寧に紹介していきます。
3章:「線形代数と主成分分析」では,前半は線形代数の簡潔なハイライトになっています。内積,外積,ノルム,列空間,直交化,射影,固有値分解,特異値分解,行列ランクなどの内容を一通り学び直すことができます。エッカート・ヤングの定理の証明,べき乗法や縮退処理を用いた特異値分解のアルゴリズムについて紹介している点が特色です。後半ではこれらの応用として主成分分析の紹介と,それをコンピュータを用いてどのように行うのか(アルゴリズム)について説明していきます。
4章:「テンソル分解」では,CP分解,Tucker分解,TT分解を紹介し,それに基づいてテンソルのCPランク,Tuckerランク,TTランクについて説明します。また,各テンソル分解によってテンソルの低ランク近似を得るための基本アルゴリズムについて解説します。他のテンソル分解モデルについては代表的なものを紹介する程度にしています。
5章:「テンソルデータ解析」では,テンソル分解を実際のデータ分析課題へ適用するための方法論について紹介しました。観測モデル,誤差関数,制約付きテンソル分解などの組合せで多様な問題設定が考えられることがおわかりいただけると思います。
【著者からのメッセージ】
本書を理解するうえで必要な数学的知識は線形代数+αのみです。線形代数への愛着と理解が深まるほど,テンソル分解への理解も深まるといえます。また,本書ではMATLABプログラムの例をたくさん載せています。自分でプログラムが書ける,そしてきちんと動く,というのは少なくとも処理の流れは具体的に,かつ正確に理解できていることの証だと思います。手を動かしながら読んでいただき,具体的な理解につなげていだだければと思います。
感想・レビュー・書評
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CP分解の特徴は一意性だが、ノイズが強くなると求解は難しくなる。データ圧縮に有効なのは理解できた。Tucker分解まではなんとなく幾何的なイメージができたが、テンソルトレインからは自分にはかなり厳しくなった。そしてテンソルネットワーク分解へ…やはり具体的な問題に落とし込んで手を動かしてみないと、この先の理解の進歩は遅くなりそうと思った。
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請求記号 414.7/Ta 84
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https://www.coronasha.co.jp/np/resrcs/review.html?goods_id=8296
読者モニターレビュー
【 くりぽん 様(業界・専門分野:教養学部情報コース)】 掲載日:2024/07/09
本書は、テンソルの定義とテンソルに関する計算から始まり、実装するためのプログラムを眺めながらテンソル分解とその応用を見ていく流れになっています。本書を読むにあたり前提知識は線形代数+αとなっておりますが、この「+α」の部分で読み進めるために最低限必要だと思われるのは、大学1, 2年で学ぶ微分積分、数理最適化問題と統計学の初歩的な知識かと思います。また、本書の特徴として、少ない前提知識から低ランク近似、テンソルデータ解析を理解することが可能となっている点や各項目において該当する内容を実装するためのアルゴリズムやソースコードが間に挟まっている点、ダイヤグラム表記をたくさん用いられている点が挙げられます。ここで、各章が何をしているのか簡潔に述べておきます。
第1章では、テンソルとはなにか?やテンソルの計算を視覚的に捉えるダイヤグラム表記、テンソルを使った表現の応用例(画像処理や関係データ、確率質量関数、回帰係数など)が紹介されています。
第2章では、各々のダイヤグラム表記とともにテンソルの変形や計算について書かれており、フロベニウスノルムや外積、カトリ・ラオ積などが挙げられております。
第3章では、線形代数の内容が書かれており、主に低ランク近似を行うための固有値分解や特異値分解について述べられています。また、主成分分析についても紹介されております。
第4章では、CP分解とTucker分解などのテンソル分解が紹介されています。ダイヤグラム表記を用いたテンソルトレイン分解が特徴的です。
第5章では、テンソル解析について紹介されています。
私は線形代数を学部1年のときに履修し、入門の教科書を数回読んだ程度の知識で読ませてもらいました。テンソルの計算を丁寧に紹介されていたので、第4章のテンソル分解までスムーズに理解することができました。また、ダイヤグラム表記がテンソル計算のときに、特に2つのテンソルもしくは行列の積においてどのモードについて合わせていくのかを視覚的に捉えられるのでとても役立ちました。しかし、私のようなレベル帯で一人で最後まで読むのは大変だと思います。第4章では、第2章で紹介されている複雑なテンソル計算をふんだんに用いているため、ダイヤグラム表記がありますが、細かい計算の部分は省力されているため追いかけるだけでも厳しいかと思います。また、ところどころ証明が省かれているので他の本で補うなどの処置が必要かもしれません。テンソルデータ解析について最低限の知識で理解したい、テンソル・線形代数の工学分野における応用例を見てみたい、実際にテンソルもしくはデータ解析の実装を行ってみたい、これら1つでも持っているならば本書を読み込むのは面白いかと思います。
【 I.T. 様 大学院生(業界・専門分野:機械工学(振動工学・非線形力学・情報処理))】 掲載日:2024/06/25
テンソルやテンソル分解を基礎から応用まで日本語で丁寧に学べる貴重な書籍です。本書は、テンソルを理解するための導入として、配列(ベクトルや行列)の基本的な内容から始まり、線形代数の要点や主成分分析の解説を経て、テンソル分解やその応用についての方法論が詳細に説明されています。この流れにより、初心者でも段階的に理解を深めることができるよう配慮されています。
本書の特徴は、数式や数学表記が複雑になる部分に対しても、それぞれの概念や意味について大変丁寧な説明と豊富な図解が盛り込まれていることです。これにより、事前知識がほとんどない私でも挫折することなく理解を深めることができました。理論の説明に加えて、実装の手がかりとなるアルゴリズムやソースコード(MATLAB)も含まれているため、テンソル分解を実際に手で動かしてみる面白さも感じることができます。
また、本書はテンソルやテンソル分解の基礎から応用までを一冊で網羅しており、途中でわからない箇所があれば前半に戻って確認できるような構成になっています。多次元データの解析に関心がある方にとって、この書籍一冊でテンソルデータ解析を効率的に学べる最適な入門書であると感じました。
【 charmie11 様 (業界・専門分野:Computer Vision)】掲載日:2024/06/24
テンソル分解のアルゴリズムやテンソルデータ解析の応用の定式化を学びたい人におすすめします.
テンソル分解を含めたテンソルデータ解析の基礎理論について詳しくイメージ図を交えながら説明をしてくれており,何となく聞きかじったことのあるアルゴリズムが整理しやすいありがたい解説本という印象を受けました.特にテンソル分解について代表的な3アルゴリズムをわかりやすく解説してくれています.
強いて欠点を挙げるとすれば応用の説明が期待はずれでした.後半で解説しているテンソルデータ解析の応用例は問題・解法の定式化を丁寧にいている反面,具体的な応用例が少数しか掲載されていません.また,テンソル分解が目立たないような解説になっていて,頑張って理解したテンソル分解が...という気持ちになります.
【 大手 希望 様 (業界・専門分野:医用画像工学)】
掲載日:2024/06/24
本書はテンソルデータ解析の基礎と応用について、平易な語り口で述べたものです。テンソルの演算、線形代数の特異値分解を紹介した後、本書の肝となるテンソル分解について説明します。テンソル分解には、CP分解、タッカー分解、テンソルトレイン分解などがあり、本書を読むことによってそれらの違いを正確に理解することができます。また、応用として、ノイズ除去、補間、ボケ補正、超解像、フーリエ変換・ラドン変換に基づく画像再構成、圧縮センシングについて、コンパクトにまとめられています。ノイズ除去は、信号とノイズの2つの未知パラメータを1つの観測データから推定しなければならないため不良設定問題になるという説明はとてもわかりやすいです。交互方向乗数法、近接勾配法についてもまとめられており、ハイブリッドなデータ解析に興味のある読者にも有用な内容となっています。
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