基礎から学ぶ推薦システム 情報技術で嗜好を予測する

  • コロナ社 (2022年7月1日発売)
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本 ・本 / ISBN・EAN: 9784339029284

作品紹介・あらすじ

【書籍紹介】
「この商品を買った人はこんな商品も買っています」。いまや,Web上のいたるところでみかけます。もしかしたら,あなたもお薦めの本として提示されて,この本を手にとられたのかもしれません。このような機能を支えている技術が推薦システムです。本書では,その推薦システムの中身に迫ります。

推薦システムは,大きく,内容ベース推薦システム,協調ベース推薦システム,知識ベース推薦システム,そして,それらを組み合わせたハイブリッド型推薦システムに分類されます。この分類を踏まえ,本書はつぎのような構成になっています。1章では,なぜ推薦システムが必要かという話からはじめ,推薦問題の定義について学びます。内容ベース推薦システムについては2章と3章の2章構成で,協調ベース推薦システムについては4章から6章の3章構成で,それぞれ学びます。知識ベース推薦システムは7章で学び,ハイブリッド型推薦システムは8章で学びます。そして,最後に9章で推薦システムの評価について学びます。なお,本書は,1章から順を追って読まれることを想定しています。前の章で学んだ知識を後の章にも活用するように,知識を積み重ねていく構成となっています。

【本書の特徴】
本書では数式がふんだんに出てきますが,一つひとつ紐解きながら丁寧に解説しています。具体例を交えながら,計算過程もなるべく省略せずに書いていますので,一つひとつ記号の意味を理解しながら式を追っていくことができます。
また,問題に親しみをもってもらいやすいように,具体的かつ身近な事例として,食をテーマにしたシナリオを設定しています。食に対する好き嫌いは個人差が現れやすいので,嗜好予測の問題設定としてはうってつけです。

【著者からのメッセージ】
推薦システムの研究には面白くワクワクするような課題がたくさん詰まっています。本書では先端的なトピックについては扱いませんでしたが,いずれのトピックにおいても本書で学んだ内容が基礎となります。
世の中のコンテンツは数も種類も日々増大しており,人々の選択肢も無数に存在します。それにつれて人間の嗜好もどんどん多種多様で複雑になってきています。そのような嗜好を果して情報技術でどこまで予測できるのか,推薦システム研究はこの課題に挑戦しつづけていくことになるでしょう。さあ,推薦システムの探求への旅はいま始まったばかりです!

感想・レビュー・書評

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  • 推薦システムの分類と解説の順序が体系立ててまとめられていて、初学者でも無理なく読み進めることができる。
    話の文脈にあった数式の説明に加え、実際の数値を当てはめた計算例が多く提示されているので、数式の展開についていけずに取り残されるといった心配も比較的少ない。

    本書の前半では、アイテムの特徴ベクトルに注目した「内容ベース」の推薦システムと他者の嗜好を手がかりにした「協調ベース」の推薦システムのそれぞれについて、近傍による類似で問題を扱う方法とモデルを設定して問題を扱う方法を提示する。

    後半では、潜在因子モデルや知識ベースモデルについて、複数の推薦システムを組み合わた方法やシステムの評価に触れる。

    着実な理解を促しつつ、現実的な問題ヘの応用も考えてられていて、よく考えて書かれているし、タイトルの通り推薦システムに親しむための書籍として非常に有益だと感じた。

  • ※ 出版社さんよりいただきました,また,著者と面識がありますことご承知おきください.

    推薦システムの学部生に向けた教科書として書かれている.教科書であるため,文字式での数式だけでなく,数値例と計算手順が細かく記されている.また,多くの文献を調査して,用語については細かく検討されている.

    ごく基本的な方法に注力して説明しており,発展的な内容については本書の対象外であろう.内容としては一通り網羅されていて,内容ベースや協調フィルタリングの機械学習を用いる手法と,対話的な知識ベース,そして評価方法について述べている.

    基本的な手法を網羅する目的と推察するが,5章の分類器を使った協調フィルタリングは,現在ではほぼ採用していない枠組みなので,個人的には外してもよかったように思う.

  • 1章のみ読んだ。前提知識を非常に丁寧に説明してあり好印象だった。2章以降で推薦システムの各方式の説明のようで数式がたくさん出てくるようだが、この説明であれば読み進められそうに思う。諸事情でこれ以上掘り下げて読まなかったが、もし推薦システムについてもっと学ぶ必要が出てくればこの本を再度手に取ろうと思う。

  • 請求記号 007.6/O 54

  • コロナ社HPより

    読者モニターレビュー【 DHMO 様(ご専門:ビジネス:IT/学術研究:心 理 学)】
    掲載日:2022/07/14

    和語で読める類書が少ないなか、本書は理論や仕組みの理解に重点が置かれた貴重な教科書である。
    推薦システム(レコメンドシステム)についての知識を付けようと考える学生には骨格を整える基礎として、
    ある程度システム実装に明るい研究者や社会人にはメカニズムを改めて学ぶ補助として非常に有用でると思われる。

    本書の構成では、方法論や方式に入る前に、評価データの尺度分類および意味、問題設定という作法に触れられている。
    それ以降は比較的単純な方式から徐々に複雑な方式やシステムの良し悪しを分ける要因へと進む。
    (具体的な項目は目次とイコールとなっているため、コロナ社Webサイトの目次を参照されたい。https://www.coronasha.co.jp/np/isbn/9784339029284/
    好みが分かれるところであるが、必要な数学や用語は、該当テーマ内で必要が発生したタイミングで言及されるため、
    最初に一気に解説がある場合よりもテーマから逸れずに学習できると感じる。
    視覚的に計算過程を追う工夫もされており、またなるべく省略を廃した説明を心掛けていることが伺える点に非常に好感が持てる。
    既に言及した概念や数式についても適宜の振り返りが織り込まれており、さらなる深耕を求める読者への図書への案内も的確に配されている等、事前知識に自信がない読者も腰を据えて取り組めば理解が出来るようになっている。

    各章の説明はシナリオを元にしたサンプルデータを利用して進められる。
    筆者自身も述べている通り、題材には嗜好が別れやすい食品を採用している。
    これが思いの外、様々に現実に存在する嗜好を表しており、たとえばクレープのトッピング・寿司ネタ・焼き肉の部位など、
    生活者との距離感×現実に実感できる嗜好のバラツキを絶妙に表しており、理解の土台を支える。

    全体を通して、コードは演習としてサポートサイトに譲る構成となっている。
    むしろ、書籍としては理論や仕組みの理解のために紙幅を割いているということも出来、理解とコーディングを分離していることが本書の目的に対して奏功しているといえるのではなかろうか。

    読者モニターレビュー【 N/M 様(ご専門:総合情報学(情報科学))】

    掲載日:2022/07/11

    本書は,ネットショッピングや動画配信サービスなどで,あるコンテンツを閲覧した人に対して「このコンテンツもオススメです」という,所謂レコメンド(推薦)技術を根底で支えている各種技術についての記述がなされている.

    本書を読むにあたり,数式がふんだんに使われているが,私のような数式に苦手意識のある方は躊躇するのでは?と思われがちだが,本書で出てくる数式についても,これでも(分からない)か,という具合に一つひとつ噛み砕いて解説されており,著者の読者への最大限の配慮が随所に見られる.具体的には,数式で定式化した後に,各変数が何を意味しているのかや,その後すぐに,その章のシナリオをベースにした例題が配置してあるので,一つひとつ時間はかかるが,この変数はこれこれを意味している,というふうに指差し確認をしながら丁寧に読み進めていくことをオススメする.可能ならば,例題で1〜2つほど数値例を扱った後に,同じ方法で表のように計算結果が得られる,という記述の部分を,面倒くさくても行間を埋めるように全部のパターンについて,手計算やExcelなどを用いて実際に値を再度求めるという演習をしていくことにより,より理解が深まると感じた(私の場合,実際に読んでいく際にLaTeXの思い出し練習も兼ねて,自分なりに行間を埋めた資料(書籍の重要点や,行間を埋めてクドいくらい〔分かる人から見たら「これ,わざわざ必要?」と思われるかもしれないぐらい〕に噛み砕いたノートのようなもの)を追記する形で作成したり,PowerPointスライド(PPTX形式)を,編集部及び著者の方に無理をいって,ご提供していただいた〔この場をお借りして御礼申し上げます〕ので,そちらにメモ書きしたり,Excelでまとめの表の通りになるかを,実際に計算したりして理解を深めた).

    内容としては,「推薦システムとは」から始まり,「内容ベース推薦システム」,「協調ベース推薦システム」,「知識ベース推薦システム」,「ハイブリッド型推薦システム」,そして,「推薦システムの評価」という構成で,各種推薦システムについて,分かりやすい例を用いて解説がなされている.具体的には,各章の最初に,シナリオ(ストーリ)があり,それをベースに各種推薦システムを構築する上で必要なアルゴリズム学んでいく形になっている.そのシナリオが,例えば,クレープのトッピングであったり,某カレー専門店を思い出させるようなカレーの甘さ・辛さ・スパイシー度であったり,寿司のネタであったりと,食をテーマにした嗜好予測を問題設定してあり,身近な題材なので興味が湧くのではないだろうか.

    また,各章とも,単に推薦システムについての各種技術を学ぶだけではなく,他の分野にも必須の技術や知識が散りばめられているので,推薦システムの学習を通じて,その他の分野にも応用できることにも気づくだろう.

    なお,『コロナ社の書籍紹介ページには本書のサポートサイトを掲載しています。サポートサイトには,GitHub上に,本書の内容に対応した演習課題や計算例に沿ったPythonコード,問題集,解説スライドや動画などのコンテンツを公開していきます。』と記載されているように,本書には推薦システムについて,より進んだ学習を進めたい方のために,さまざまなコンテンツが用意されている.本レビュ(2022年7月上旬)現在では,本書で学んだ各種アルゴリズムをPythonのコードで表現する問題集や,本書の内容のダイジェスト版のPowerPointの解説スライド(Webブラウザベースでの閲覧とPDFファイルとして保存可能)などが用意されており,学習環境としてはこれほどまで揃えられている書籍も珍しいのでは,と感じた次第である.

    最後に一つ要望として,「動画などのコンテンツ」は,本レビュ(2022年7月中旬)現在では公開されていないが,おそらく実際の講義での動画になるかと思われるが,2.5節の次元削減の次元削減の考え方の部分,主成分分析,さらに固有値・固有値ベクトルの部分は,Pythonのライブラリに頼る記述でしたが,数学的な求め方も解説していただけると嬉しく思う.それらに加えて,実際に,本書にあるシナリオを実際の推薦システムとして,何かのソフトウエアのような形で動作している様子なども動画にあると,興味が湧くのではないか,とも感じた次第である.

  • 労作。タイトルに「基礎から学ぶ」とある通り、推薦システムの基礎理論について簡単なところから丁寧に説明されている。推薦システムに関する解説書は数が少なく、その多くはかなり難易度が高い。その意味で、本書籍は大いに価値がある。

    一方で、単に平易に書かれているわけではなく、最新の学術研究の内容を反映したものになっている。入門書の位置付けにも関わらず、参考文献が181件も挙げてあるのがその証左である。

    大学数学の初歩程度までは知っていないと、読むのがしんどいと思われる。特に線形代数と確率。他にも偏微分も出てくる。また、機械学習についてある程度知っている方が、本書の論理展開に馴染みやすいだろう。

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