LiDARを用いた高度自己位置推定システム 移動ロボットのための自己位置推定の高性能化とその実装例
- コロナ社 (2022年5月26日発売)
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感想 : 2件
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Amazon.co.jp ・本 (174ページ) / ISBN・EAN: 9784339032406
作品紹介・あらすじ
本書では,従来の自己位置推定ではできないことをできるようにすることを目的とし,これを「自己位置推定の高度化」として紹介しています。この高度化こそ,真に自動走行技術の社会実装につながるという考えのもとに,本書を執筆しました。「自己位置推定の実装,または利用をした経験があり,その問題の存在を認識し,その問題を解決したいという考えを持った方」が学びやすいように以下の構成としています。また,C++による実装例も掲載し,より実現の方法がわかりやすくなるように配慮し,利用した実際のソースコードはWeb上で公開しています。
1章では,自己位置推定とはどのような問題か,またその重要性を自動走行を例に解説します。そして,本書が問題視する従来の自己位置推定法の課題を解説し,それらに対して本書が示す解決方法を簡単に解説します。以降5章までは,「開発環境構築とシミュレータ」,「数学的基礎」,「自己位置推定の定式化と動作・観測モデル」,「モンテカルロ位置推定の実装」の順に,自己位置推定に関する基礎的なことに関する解説を行います。6章からが,本書が扱うメインテーマとなります。
6章では,環境の変化に対して頑健に自己位置推定を行うことを目的とした,「観測物体のクラスを考慮した自己位置推定法」について解説します。
7章では,自己位置推定結果の正しさを知るということを目的とした,「信頼度付き自己位置推定」について解説します。信頼度付き自己位置推定法は,自己位置推定法結果の信頼度までを同時推定できるモデルに拡張しています。
8章では,センサ観測値と地図の間に生じる誤対応を認識する方法について解説します。またこの誤対応認識に基づき,自己位置推定の失敗を検出する方法を解説します。
9章では,自己位置推定の失敗からの復帰を目的として,「One-shot自己位置推定」と,5章で述べる自己位置推定法の確率的融合法について解説します。One-shot自己位置推定とは,現時刻のセンサ観測値のみを用いて自己位置を推定する方法ですが,近年の深層学習の発展により,実現可能性が見えてきています。
10章では,本章で問題視した従来の自己位置推定法の課題と,これに対して本書で解説した解決方法について再度整理します。そしてこれに基づき,自己位置推定におけるさらなる課題について議論します。最初に10章を読んでから各章を読むことも,本書の全体的な概要を掴むためには有効といえます。
【読者へのメッセージ】
本書が,自動走行システムなど,自己位置推定を必須とする技術の発展に貢献することを願い,これにより,そのテクノロジーの恩恵を社会が受けられるようになれば幸いです。
感想・レビュー・書評
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amazonレビューあり
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コロナ社HPより
読者モニターレビュー【 かみと 様(ご専門:フィールドロボティクス)】
掲載日:2022/06/27
本書の読解に必要な数学的基礎から、本書の題名にもあるような「高度な」自己位置推定法まで幅広いレベルをカバーしている.
この厚さにまとまっているのはすばらしい.概ね学部生には難しいと思われるが、学部4年生や修士学生であれば他の図書を参考にしながら読み込むことができるのでは無いでしょうか.
また、C++での実装例は理解を深めるのに役立つと思われ、自作ロボットに高度な自己位置推定法を適用することも容易にする.
6章以降では関連研究も紹介されており、8章以降では一般的な自己位置推定法を解説した書籍には乗っていない情報がわかりやすく掲載されていた.
10章ではこれまで紹介してきた手法のアプローチや限界が整理され、今後の自己位置推定手法の発展の方向を指し示している.
初学者には難しい部分もあると思われるが、読み進めていくことができれば、最新の自己位置推定方法をキャッチアップできると思われる.
読者モニターレビュー【 めっくろぐ 様(ご専門:自動運転)】
掲載日:2022/06/10
本書は、LiDARを用いた自己位置推定の従来手法が抱える課題について、筆者が取り組んできた解決策を述べる一冊である。確率論的アプローチについて、自己位置推定と同時に信頼度といった付加的な情報も取り出すことで、自己位置推定・自律走行が失敗しないよう高度化を図るものである。
このような筆者の取り組みを知るために本書が最適であることはもちろんだが、自己位置推定の初学者にもお薦めであると感じた。数学的な入門から始まり最新の研究動向までが、コンパクトな一冊に、抜け目なくまとめられているからである。要所要所で、言及している技術において何が実現可能であるのか、何が課題であるのかということが端的に解説されているので、理解が深まりやすい。取り扱わない関連研究についても、本書の手法と比較しながら述べられているので、それぞれの特徴も理解しやすい。参考文献も豊富に掲載されているので、興味があれば自分でこれらを追っていくことができる。初心者でも、最新の研究動向までカバーできるようになっているのである。
そして、C++実装例の掲載は、理解を深めるためにやはり大いに役立つ。単なるツールの使用方法の説明ではなく、原理を理解するための実装例なので、これをベースに自分のアイデアを作ってみることもできるだろう。
自律移動技術のニーズが高まるなかで、自己位置推定の高度化と、裾野を広げるという2つの側面において、本書の貢献は大きなものになると感じている。
読者モニターレビュー【 名無し 様(業務内容:環境認識システムの研究開発)】
掲載日:2022/06/07
本書は、数あるセンシング技術の中からLiDARを用いた手法を対象とした自己位置推定方法を数式ベースで詳細に解説したうえで、既存技術の課題点を上げ、筆者の解決法を丁寧に論じている。
1章から5章までは数式をメインとした解説が続いてるが、筆者が記述している通りメインテーマに入る前に理解しておく必要がある数学的基礎である。私を含め、普段から確率論などの数学に触れていない者には難しく感じてしまうかもしれないが、本書では丁重に説明されている。時間をかけても本題の6章に入る前に理解を深めておくか、先の章で躓いた時に立ち戻ると理解が進むと思われる。
後半の章では単に自己位置推定法を解説するだけではなく、自己位置推定がどのように失敗し誤検出をしてしまうかまで詳細に説明することで、問題点や課題点への理解がしやすい導入になっている。自己位置推定といった分野にフォーカスした書籍や情報集で、概論だけでなく原理など詳細に至るまで書き記させている日本語書籍は他にないのではないだろうか。
この分野を研究、または専門と扱う職種の方にぜひおすすめしたい書籍である。
読者モニターレビュー【 3A 様(ご専門:ロボティクス)】
掲載日:2022/06/06
章の構成として、下記の通り順序だてられていて、読み進めやすい構成となっている。1章、背景。2章、開発環境。3章、本書で扱っている技術を理解するうえで必要な数学知識。4章、Probablistic Roboticsで解説されている従来の確率的自己位置推定法(動作モデル、観測モデル)。5章、パーティクルフィルタを用いた自己位置推定法であるMCL位置推定の実装(C++での一般的な実装例と拡張実装例)。6章、自己位置と観測物体のクラスに関する同時分布を推定する方法。7章、自己位置推定の正誤を正しく認識することを目的とした自己位置推定結果の信頼度推定方法。8章、自己位置推定の失敗の結果生じる、観測値と地図の間の誤対応を認識する方法、およびこの誤対応の結果に基づいて自己位置推定の失敗を検知する方法。9章、One-Shot自己位置推定とMCLを確率的に融合させる方法(近年注目されている機械学習を矛盾なくMCLに融合させる方法)。10章、まとめとして、本書で解説した技術を使って解決できていることとまだ不十分であること、そして今後の展望。
5章以降、随所にソースコードを使った説明がなされており、それが内容理解の助けになっているとともに、実際に実装する際に参考になる内容となっている。また、6章から9章では関連研究という節を設け、近年の研究についての解説があり、参考になる内容だった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
請求記号 548.3/A 29
