食品予測微生物学 理論と実践

  • コロナ社 (2024年8月7日発売)
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本 ・本 (204ページ) / ISBN・EAN: 9784339067644

作品紹介・あらすじ

【読者対象】
食品産業に関わる技術者、研究者、監督官庁の行政関係者、ならびに食品微生物学、食品工学を学ぶ学生

【書籍の特徴】
・日本国内では初となる予測微生物学に関する基礎から応用に至る本格的な解説書です。
・予測微生物学の概念が提唱され始めた1980年代後半から現在に至る発展における重要なポイントを網羅的に説明しました。
・基礎理論の解説に加えて豊富な実例紹介を交えて、実際にどういった形での予測が可能となるのかをイメージできるように説明しました。

【各章について】
1章では、予測微生物学の基本理念について、その発展の歴史とモデル構築の基本概念、HACCPとの関係性について概説します。
2章では、細菌の増殖あるいは死滅の時間変化に伴うパターンを記述する各種の一次モデルについて、それらの特徴について説明します。
3章では、細菌増殖の特徴を表す増殖速度やラグタイム等を温度等の環境要因で説明する各種の二次モデル化手法について解説します。
4章では、2章と3章で解説したそれぞれのモデルを統合して、現実的な予測を可能とする方法、さらには統合モデルから発展した各種のソフトウェアについて解説します。
5章では、細菌の増殖/非増殖を確率論的に予測推定可能とする予測モデルの基礎概念と応用事例について解説します。
6章では、リスク評価、リスク管理、およびリスクコミュニケーションから成り立つリスク分析の基本概念について解説します。
7章では、日本でも制度化されたHACCPの基本概念と予測微生物学との関係性、予測微生物学の果たす役割について具体例を交えながら解説します。
8章では、近年の予測微生物学研究の一つの大きな潮流である個体間のバラつきを記述するための確率論的な解析手法について、その基礎理論的な背景から実装計算に至るまでを解説します。
9章では、8章で述べた個体間のバラつきを実際の死滅・増殖の過程で再現するシミュレーション方法について、実例を交えて解説します。
10章では、予測微生物学の成果が微生物リスク評価を実行する際に、どのように活用され、実際にどのような計算過程を経て評価が行われるのかを実例を交えて解説します。
付録には、9章と10章で解説した各種の計算手法で有用と思われるものを取り上げて、より詳細に記述解説しています。

【著者からのメッセージ】
本書では、基礎から最新の予測微生物学研究の最前線にいたる広範囲な内容について詳しく解説しました。予測微生物学的な取組みを始めたい、事業に活用したいと考えている食品産業に関わる技術者、研究者の皆さんに、少しでもお役に立つことを願っております。また、食品微生物学、食品工学を学ぶ学生と研究者はもちろん、監督官庁の行政関係者にとっても、予測微生物学の思想、具体的な基礎理論、社会実装への道のりまでが理解できる内容になっております。

感想・レビュー・書評

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  • コロナ社HP 読者モニターレビューを転載
    https://www.coronasha.co.jp/np/resrcs/review.html?goods_id=8346

    【 黄昏 様(業界・専門分野:特別公務・調査)】
    掲載日:2024/08/20

    先ず、モニターレビューに応募した理由に、生きていく上で必要な食物摂取における理論的見解を学術的観点から知りたかったからです。現在は調査業務に就いているため、高校時代に使った数学の教科書を傍らにして通読しました。
    さて、初心者でありながらも、構成が順序立てられており、素直に読み込むことができました。基本理念で、予測微生物学について分かりやすく説明されています。身近にありながら、普段の生活を送るにあたって気にする機会が少ない分野を、直接的な表現で説いていると思いました。
    さらに、数多のモデルケースを挙げて、方程式を用いながら実際の症例を交えて読者視点も鑑みながら展開していると感じます。モデル概念で基本を記しつつ、構築に至る過程が丁寧に書かれています。興味深く読み込みました。
    また、比較をする場面では図や表で視覚的に展開が成されてあり、見て分かる構成により、一層理解し易く感じました。読了してからもう一度読み返した事で、微生物学の核心に迫る事が出来て、更に見聞を深めることができました。専門書として学ぶだけではなく、門外漢でも理解できる構成であると再認識しました。
    この度の事をきっかけに、食品学に関する分野に興味が湧きました。今後、意識しながら生活を送ります。

    【 西井 貴恒 様 奈良県立医科大学(業界・専門分野:医学生)】
    掲載日:2024/08/20

    自分はあまりこの手の指数関数を主に用いた数理モデルを用いることの少ない医療の分野にいるのだが、細菌の動態は患者の健康や命と隣り合わせの現象であるだけに関心は持っていた。読んでみると、さまざまな予測モデルが実測値とfitすることに対して感心する一方、モデルの式が元々は単純な形から始まっていて、それらを変形してある程度複雑な形になっても妥当性を保つことに、数理モデルの機能美を感じた。

    個人的に目を引いたのは、「9. モンテカルロシミュレーションによる確率論的予測」の章にある、死滅挙動のばらつきをWeibull分布で予測する手法や、増殖の挙動を予測するに際し消化管内での食物の移動と菌の小腸への到達を対応させた上で感染確率を算出する手法である。菌だけでなく、それを取り込む人間の体もそれぞれ個性を持ちそして生きて動くものであり、動的で多元的な推移をみせていて、その推移を数理で追うことができるという事実には嘆息を禁じ得ない。
    また、「5. 増殖/非増殖境界モデル」において、複雑な環境下や高圧処理後で、予期せぬ増殖をみせる菌に対し、新たなモデルを用いてfitさせる手法も面白かった。冒頭に書いてある通り、さまざまな状況下でのシミュレートが、日々新しく可能になっているのだとわかった。

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