談志 最後の根多帳 (談志最後の三部作 第二弾)

著者 :
  • 梧桐書院
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784340100019

作品紹介・あらすじ

「談志 最後の三部作」の第二弾。「談志落語」の粋を一冊に凝縮!談志落語の創作プロセス、ネタ選びの基準を解説し、また、名演とされる近年の「伝説の高座」を再現。さらに、巻頭のカラー口絵には未公開の高座写真を、巻末には談志のネタ一覧を収載したファン垂涎の作品です。

感想・レビュー・書評

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  • 家元のネタは200以上あるのに、意外にオオネタもやっていないのですね。それも、圓生、文楽、小さん、志ん生、志ん朝らへの配慮から。下ネタや障害者をネタにしたのも嫌がったというのも意外というか、やはりというか。こういう矛盾を飲み込めるところがすごいです。

  • 文体が談志話し言葉まんまで読みづらい。落語ライブ部分以外は通常の書き言葉を使ってほしかった。でも談志ファンにはこれがいいんでしょうね。オーディオブックで上手い声優さんの朗読で聞きたい。(読むのは私にはキツい)

  • 自慢じゃないですが、談志の書いた本はすべて持っています。
    ぼくの人生の指針になっていると言ってもいい。
    本書は、「談志最後の三部作」と銘打った書き下ろしシリーズの第2弾。
    文字通り、談志が最後に著した根多帳です。
    談志と言えば、「落語は人間の業の肯定」「イリュージョン論」など、落語について独自の解釈をしています。
    正直に言うと、ぼくは「業の肯定」まではすんなりと了解できますが、「イリュージョン」は正確に理解しているかどうか自信がありません。
    そして、談志が最後に行きついたのが「江戸の風」。
    談志曰く、「江戸の風」が感じられるのが、いい落語だということです。
    談志の落語は、古典でも(古典しかやっていませんが)、現代がしばしば顔を出します。
    でも、そこでもやっぱり、「江戸の風」が吹く。
    現存の落語家で、「江戸の風」が感じられるのは、文楽(九代目)、円蔵、五街道雲助あたりだとか。
    なるほど。
    本書には、談志が直した落語、作った落語(新作という意味ではありません。古典を一から作り直した落語という意味です)がずらり。
    これを読むだけでも、談志が不世出の落語家だったということが分かるでしょう。
    ただ、自分が最も注目したのは、談志が敢えて「演らなかった」落語。
    たとえば、青菜、麻のれん、愛宕山、穴泥、鮑のし、按摩の炬燵…などなど。
    談志の美学が分かって興味深かったです。
    談志は、下ネタも得意ですが、品があるんですよね。
    何故だろうと、これは長年の疑問でしたが、本書を読んで氷解しました。
    たとえば、「なめる」という根多を演らないのは、「グロテスクだから」。
    「勘定板」や「鼻ほしい」は許せるのに、この「なめる」や「おかふい」が嫌いというあたりに、談志という落語家を理解するヒントがあります。
    談志は世間で「非常識」とされることをしばしば口にし、それが彼の売りでもありましたが、弱者を馬鹿にするようなことは決して言いませんでした。
    こんな記述が目を引きます。
    「めくらの噺も演らない。身体障害者を傷つけるものはだめだという社会の風潮があって、演っても中途半端になるということが一つと、『按摩の炬燵』などという、めくらを道具にするような噺は心情的に不快であるということもある。」
    談志は、そういう意味では、「常識人」だったのかもしれません。
    さらに、談志の根多である「粗忽長屋」「鉄拐」「居残り佐平次」「芝浜」「二人旅」「落語チャンチャカチャン」の最新版がノーカットで載っていて貴重。
    ファンには永久保存版でしょう。
    特に、十八番とされる「居残り佐平次」と「鉄拐」は、文字で読んでもやっぱり面白い。
    ただ、個人的なことを言わせていただくと、やっぱり、「芝浜」は苦手。
    「落語の神が降りてきた」と評される、2007年よみうりホールでの「芝浜」は、映像でしか見ていませんが、臭くて虚心に見ていられませんでした。
    談志の普段の言動からして、なぜ「芝浜」にこれほど思い入れがあるのか、実はよく分かりません。
    でも、そういうのも全部ひっくるめて含めて談志が大好き。
    ぼくみたいな凡人が理解できるスケールを、はるかに超えた落語家でした。
    でも、惜しい落語家を亡くしたとは言うまい。
    談志は、ライバルだった志ん朝が亡くなった時、「いい時に亡くなったんじゃないの」とのたまいました。
    談志もそうだったと思います。
    全身落語家でした。
    以て瞑すべし。

  • 2010年4月26日、初、並、帯付
    2015年5月2日、新潟寺尾前通BF

  • ustreamから目が離せない。こんな時こそ落語をと思い本を手に取るがまったく頭に入らない。家元、何か言葉を下さい。落語を聞いて笑いましょう。笑いましょう。

  •  二人旅のババアと近所づきあいをしたい。

  • (欲しい!)

  • 講談社文庫の興津要編『古典落語』は全巻揃いで持っているが、その目次を繰っているような談志のレパートリーの広さである。持ちネタばかりでなく、やらない噺のリストとその理由も載っていて、これがまた興味深い。つまらない、くだらない、というのはもちろんだが、志ん生、文楽、三木助、円生、小さんという大看板の「一手販売」には手を出さずという潔さは古典を敬愛しこだわり続けたこの人の落語論そのものだ。
    後半部には終生追求し続けた十八番の高座での決定稿が連なる。「粗忽長屋」は「主観長屋」だという理屈はまるでジャック・ラカンの鏡像理論だし、「鉄拐」の“表と中”にも心理学的な題材が垣間見える。登場人物が勝手に生き始めるという即興芸の極致「居残り佐平次」や、最高傑作「芝浜」の深み。
    チャンチャカチャンな生涯は、自己の思索への挑戦というもっとも困難な闘争からけっして足を洗わなかった粋人にのみ許されたものだ。
    …… 売春婦の家へ行ったら、大学の卒業証書が何枚も壁に貼ってあった。ハーバード大学、コロンビア大学等々、いくつもの大学やら、大学院やらを終了している。
    「これだけのキャリアを持っているのに、あなたはなぜ売春婦をしてるんですか?」
    「運がよかったのね」

  • 談志大全・上DVDを見ていると、一層楽しめます。

  • 「イリュージョンをぶちこんだ」落語のおもしろさは、文字を読んだだけじゃ分からない!
    談志師匠の落語聴きにいきたいなぁ。
    最近の談志師匠の落語では、『二人旅』がつぼに入りました。

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著者プロフィール

落語家、落語立川流創設者。1936年、東京に生まれる。本名、松岡克由。16歳で五代目柳家小さんに入門、前座名「小よし」を経て、18歳で二つ目となり「小ゑん」。27歳で真打ちに昇進し、「五代目立川談志」を襲名する。1971年、参議院議員選挙に出馬し、全国区で当選、1977年まで国会議員をつとめる。1983年、真打ち制度などをめぐって落語協会と対立し、脱会。落語立川流を創設し、家元となる。2011年11月逝去(享年75)。

著書には『現代落語論』(三一新書)、『談志百選』『談志人生全集』全3巻、『立川談志遺言大全集』全14巻(以上、講談社)、『談志絶倒 昭和落語家伝』(大和書房)、『談志 最後の落語論』『談志 最後の根多帳』『立川談志自伝 狂気ありて』(以上、ちくま文庫)、『談志が遺した落語論』『江戸の風』(以上、dZERO)などがある。

「2021年 『談志の日記1953 17歳の青春』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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