閃け!棋士に挑むコンピュータ

  • 梧桐書院
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レビュー : 14
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784340140039

作品紹介・あらすじ

2010年秋、女流王将と最強のコンピュータ将棋システムが激突!その一部始終をルポルタージュ
2010年10月11日、4つの将棋ソフトの合議で指し手を決める「あから2010」と清水市代女流王将の対局が行われた。

人工知能が棋士の直観力に挑んだ歴史的一戦。その舞台裏には、「知能とは何か」「人間は何か」を解明しようとする科学者たちの熱いドラマがあった――。

感想・レビュー・書評

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  • 自分で金を払って外食をすると、好きな物を注文するから、そういう生活が長く続くなら、栄養が偏り病気の原因になる。そんな時は、毎日誰かが作ってくれた社食や寮食の方がバランスが良いだろう。読書も然り。自らの興味で購入した本は、どうしても偏る。そんな時、ブクログのような他人の本棚という発想は面白かった。しかし、ウェブ上でパラパラとページが捲れない。この本は、他人の本棚で、尚且つ、パラパラ捲ることのできた一冊だ。私にとって、別世界の語彙。

    将棋の世界。人工知能と人間の戦い。それぞれの向かう先。偶然性がなく、完全に相手に情報を公開するゲームは、完全情報ゲームと呼ばれ、ミニマックス定理と呼ばれる最善の手を打ち尽くした結果、勝敗がつく。将棋のパターンは、10の226乗あるそうで、勝ちパターンをコンピュータが再現し、人間に挑む。しかし、持ち時間に限りがあり、コンピュータの物理的スペックにも限界がある。しかし、これは自論だが、最善の一手は、そのパターンを使いこなさず存在する。つまり、想定パターンは前述の数ほどあっても、そこには悪手も含まれるわけで、超合理的な打ち手は、実はそこまで多くないだろう。その洗練性をアルゴリズムにより、いかに篩うか。素人的には、棋譜を読み込ませまくって、更にそれを凌ぐパターンを次、次とインプットしていけば、いずれ究極に届かぬかと思うが。

    知能の対決に、興味は尽きない。

  • 読書時間 2時間(読書日数 6日)

    2010年の秋に将棋ソフト「あから2010」に挑んだ清水市代プロの対局ドキュメントと裏側の取材から、将棋ソフト開発の本質と開発者の熱い思い、棋士たちの思考と将棋に向き合う姿勢を細やかな取材から書き記した著書

    私も将棋はルール程度しか知らないが将棋の対局を見るのが好きである。定石とかもわからない中でも感動を感じる時があるのは「棋士が、ただ読むというのではなく、その時の空気や自分が置かれている状況や背負っているものなどを全てぶつけて一手一手を指している」からだったと分かった。

    また169台のコンピュータを繋いでも人間の脳の方が上なのは、「人は、その知識と経験から不必要な情報を閃きにより取捨選択できる」からである。
    コンピュータは全て(人間の中ではあり得ない事象まで)検索してしまうが、閃きというものを入れることができたら凄いことになりそうである。

    ドキュメントというのは初めての経験だったので、読むのが相当難しかったが「自分がいろんな事柄を閃くためには、たくさんの知識と経験を入れなければならない」ということに気付きを得ることができただけでも良かった。

  • 2011/1/14米長永世棋聖がボンクラーズに敗れる。
    5/3〜5に開催された世界コンピューター将棋選手権ではボンクラーズは4位に入り、上位5位は来年現役プロ5人と対戦する。
    負けた米長さんはTwitterで引退する(既にしている)とヨタを飛ばしたそうだ。
    囲碁では3/17武宮さんに4子で勝ってアマトップクラスに近づいてきている。同日行われた小さい9路盤ではプロと1勝1敗、棋譜を見た感じ19路ならまだ勝てそうだが9路は勝てる気がしない。

    本書は2010年のあから対清水市代女流王将戦のドキュメントと人口知能開発のための将棋ソフト開発という2つの流れで成り立つ。
    あからは4つのソフトの合議制でそれぞれ着手に点数をつけ合計点が高い手を採用するが、複数の手に差がない場合は計算を繰り返す。実は開発者間でも合議制で強くなると言う論理的な証明は無く、経験的に採用したらしい。
    合計169台のクラスタマシンと格ソフト1台のバックアップマシン、合計8つのソフトが動いたのだが、実際にはクラスタの調整に手間取りほぼバックアップマシンの合議だけとなった。スパコンがなくとも複数のコンピューターの並列処理で良いと言う話があったが現時点ではそう簡単じゃないのか。
    清水の敗因は有る1手に持ち時間の約1/3 、53分を投じたため終盤時間が無くなった事によると言ういかにも人間的な理由。この辺りのドキュメントは面白い。

  • 将棋に少しでも関心がある人なら
    楽しく読める
    清水の清々しい態度がいい
    4.2点

  • あから2011は強い。

  • 女流棋士・清水市代とあから2010の対局を描いたノンフィクション作品である。ページをめくるたびに刺激に富んだ楽しい知識の宝庫のような書籍で楽しかった。特に、第三章、第六章、第七章は非常に読み応えがあり、どんどん吸い込まれるように読んでいった。また、専門的な表現に走らず、読みやすくわかりやすい本ではある。

    ただ気になる点もある。技術面や今後の展望は大変楽しく読んだが、清水市代棋士に関してもう少し掘り下げて書いていただくと面白かったかな。

  • 2010年10月に行われた「あから2010」と清水市代女流王将の対局を中心に,コンピュータ将棋ソフトの歴史や人工知能についても触れる。

    4つのソフトの合議制という「あから2010」で意見が割れたときの
    各ソフトの手や,それについての棋士の意見など,もっと細かいことが
    知りたくなった。

  • 清水vsあからの一戦を、関係者への取材を基にまとめた一冊。もう少し裏側からの視点があれば面白いのだが。

  • 2010年に人工知能がプロ棋士と対決したイベントについての
    ドキュメンタリー本。

    対決の前後で人工知能を開発した人側とプロ棋士側の双方の
    取り組みや意気込みが多く書かれており、なんだか "情熱大陸" や
    "プロフェショナル" を見ているような気分である。
    対局中もプロ棋士の心理や、人工知能の次の一手の判断過程なども
    解説されており、対局中の雰囲気が伝わってきておもしろい。

    今回の人工知能はコンピュータを 100 台以上も並列化させるほどの
    大規模のものであり、そこまでやってようやくプロに勝てるものとなった。
    だが裏を返せば、そこまでしないとコンピュータは将棋という点では人間に勝つことができないということだ。
    また、今回プロ棋士に勝ったからといって、人工知能がプロ棋士を
    超えたということにもならない。
    人工知能というものはまだまだ発展途上の段階であるということを
    認識するとともに、改めて人間の脳のすごさというのを感じさせられた。

    将棋の知識がなくても読めるような配慮はなされているが、
    やはり、ルールを知っていたほうがより楽しめるということは間違いない。

  • コンピュータ将棋にしろ人工知能にしろ書いているないようが少し中途半端な印象。

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著者プロフィール

1973年、北海道に生まれる。新聞記者、北海道新聞電子メディア局部次長。早稲田大学社会科学部卒業後、北海道新聞社へ入社。警察、教育・大学などを担当。2006年、新聞労連ジャーナリスト大賞優秀賞を受賞した連載企画「あなた見られてます―監視と安全のはざまで」に取材メンバーとしてかかわり、テクノロジーが生活や社会に及ぼす影響に関心を持つ。2007年、北海道大学科学技術コミュニケーター養成ユニット本科修了。2010年、将棋の棋士とコンピューターの対決を取材したのを機に、人工知能やロボットなどを追い続けている。著書(共著)に『閃け!棋士に挑むコンピュータ』(梧桐書院)がある。

「2017年 『AIの世紀 カンブリア爆発』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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