- Amazon.co.jp ・本 (307ページ)
- / ISBN・EAN: 9784343006752
作品紹介・あらすじ
「海と景観」をキーワードに、神戸・阪神の"地域歴史遺産"を探る。古代から西摂と呼ばれた神戸・阪神間の地域社会、近代都市の形成と発展を、大阪湾に面した海辺のまちの文化史として捉える。
感想・レビュー・書評
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特に中世の西宮・尼崎の荘園時代の記述が関心が深い。広田・西宮神社の神領だったこの周辺の雰囲気は今でも、広田神社、旧西国街道あたりを歩くときに面影があるように思う。そして源平、南北朝、戦国時代になぜ一の谷、湊川、尼崎などが戦場に選ばれたのかという説明が、兵庫地域の地の利(交通の便)にあったというクダリは非常に説得力があります。尼崎が京都への入り口となる港として海側から発展してきたということ、そして大覚寺(律宗)、長遠寺(日蓮宗)、大物神社などの宗教都市であったということは全く知らなかった領域でした。生島宗竹の「細川両家記」(群書類従)が西宮の戦国時代を詳しく記述していることから分かることが多く、このような古文書がみつかれば、もっといろいろな歴史が見えてくるのかも知れません。この地域の歴史を感じさせられ、時空を旅行するような喜びを感じる本でした。
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一番興味をそそった論考は「戦後初期尼崎における公共建築」。昭和34年に竣工した尼崎市立図書館の設計経緯について。当初計画されていた円形建築案がおじゃんに。「図書は、本来四角なものだから円形では納まりが悪かろう。」っていう意見はほんまかいな。当時の館長の山下栄はそれをゆるしたのかな。詳細が知りたい。なお、写真キャプションの「庄内川沿いの公共建築」はおそらく「庄下川沿いの公共建築」の間違い。神戸・阪神地域史に関する論考をまとめた1冊。論考同士のつながりに若干欠くものの、一つひとつの論考はなかなか骨がある感。