ぼくらはみんな生きている―18歳ですべての記憶を失くした青年の手記

著者 :
  • 幻冬舎
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レビュー : 47
  • Amazon.co.jp ・本 (218ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344000889

作品紹介・あらすじ

二度と戻らない記憶。あたらしい自分と向き合いながら生きて、草木染職人として独立するまでの12年間の軌跡。

感想・レビュー・書評

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    C0095\1400.

    ぼくらはみんな生きている
    18歳ですべての記憶を失くした青年の手記

    2001年6月10日 第1刷発行
    2001年6月27日 第三刷発行

    著者:坪倉優介(つぼくら ゆうすけ)
    1970年大阪府生まれ

    発行所:株式会社幻冬舎

    母親・父親・兄弟・友達・地域の人たち・クラスメート・大学職員・大学教諭・師匠

    それぞれの立ち位置で、適切な関りをしてくれて、一人の人間が生きていけるのだという事を痛感した。母親はもちろんだが、父親のかかわりは他の人では成せない。
    逆に言うなら、ワンオペ育児では こけたときには弱い人間になりかねない。

    以前痴呆症(若年性)の人がつづった作品を読んだことがあるけれど、昨日できたことが今日できない。育児と逆で日々できないことが増えてゆく恐怖と折り合う様子が書かれていた。自分がわからない、周りとのかかわり方がわからないってのは怖い事だろうなぁ・・。

    作者さんは結局以前の記憶は戻らなかった(この時点では、その後はわからないけれど)けれども、過去の記憶を探し求めるよりも、明日が楽しみになった。その時から、過去の記憶にこだわることは激減した様子。

    途中、スキーに行ったことが書かれていたが、「たのしそうなみんなに、いろいろ質問したかったけれど、また気を遣わせる緒が嫌だったから、やめた。」と書かれていた。元々の性格なのか、記憶を失くしてから身に着いた術なのか、そうするべきと教えられたのか、そうでない時のかかわりが面倒と本人が感じたのか・・・。同じ年頃の多少見知った人たちと過ごして楽しかったのならいいけれど、楽しむために、普通に過ごすために努力しなければならないとは。でも、他人の中で過ごすことに慣れて、新しく人間関係も作れてよかったね。

    もう20年も前の書籍だけれど、なにか(テレビだったかな?)で、取り上げられていた一冊で、今回読んでみました。

    ここ数年、テレビで記憶喪失の人の公開番組があって、いろいろなパターンを垣間見て人間の脳みそも不思議だけれど、その後はどうしているのだろ?ある日突然記憶が戻った人っているんだろうか?等とあれこれ脱線しながら読みました。あっという間に読み終わった。


    もくじ------------------
    ここはどこ?ぼくはだれ?
    一番初めの記憶
    人間の顔がこわい
    話す相手は観葉植物
    人間と話がしたくなった
    かあさんと言えたとき
    死んでしまった熱帯魚
    お米の味を知る
    あまい味を覚える
    もっとチョコレートが食べたい
    甘い味にも種類がある
    さしみ、しょうゆ、わさび
    かあさんのいたずら
    真っ暗な夜を見てみたい
    墓場の片隅で
    そして誰かが、僕を見つける
    自転車という乗り物
    自転車に乗る練習
    母の記憶1

    これから何が始まるのだろう
    大学というところ
    色のついた水を飲む
    お金を覚える
    電車に乗るのは大冒険
    友達はどこにいる
    授業を受ける
    黒板に書かれた文字が読めない
    お札を覚える
    お金は悲しい
    同じ形をした人間は一人もいない
    ひらがなを覚える
    UFOキャッチャー
    ふしぎな靴紐
    紐の結び方を覚える
    つよい見方があらわれる
    ガールフレンドとの再会
    母の記憶2

    昔の僕を探しに行こう
    留年ってなんだ
    小さなヒラヒラ
    かあさんの涙
    昔に届いた手紙
    家族写真
    昔読んでいたマンガや本
    記憶がよみがえる瞬間
    ホオズキの絵を描く
    昔の髪形に戻してみても
    自分の顔を鏡で見ると
    母の記憶3

    仲間はずれにならないために
    色の名前を覚える
    押し入れの中という世界
    漢字練習
    駅の階段は動いている
    ぼくの居場所はどこにある
    色のちがう鳥
    青信号はふしぎな色
    エレベーターの恐怖
    人間にも男と女がある
    時計の顔
    万華鏡のような記憶
    ドラえもんのタイムマシンに乗って
    母の記憶4

    あの事故の事はもう口にださない
    スクーターでの大冒険
    みんなの真似をする
    パチンコ屋に行く
    辛い味を覚える
    一人暮らし
    ご飯を炊いてみる
    青い空色のごはん
    ヌード写真を見せられる
    赤い危険な食べ物
    おうちというな!
    不思議なカバン
    初めてのスキー
    我考える、ゆえに我在り
    進学を決意する
    自分に同情するな
    合格発表
    母の記憶5

    ぼくらはみんな生きている
    つっぱり
    墨流しの着物
    恩師、井関先生
    ガッツポーズ
    就職活動
    師匠との出会い
    修行のはじまり
    地道な努力
    初めての染め物
    金魚が死んでいく
    金魚救出作戦
    美味しそうな色
    さようなら
    松と竹と海(梅)で染めた着物
    山で見つけた色
    華麗なる大失敗
    蓮の声
    恋をした
    あたらしい過去
    ジャンプ!
    ---------------------

  • 18歳の美大生が交通事故で記憶喪失になる。
    それは自身のことだけでなく、食べる、眠るなどの感覚さえ分からなくなるという状態だった。
    そんな彼が徐々に周囲を理解し「新しい自分」を生き始め、草木染職人として独立するまでを綴った手記。

    今まで当たり前に知っていた物事を記憶喪失後にみた状況が
    書かれているが、前半部分は平仮名が少し多く、だんだん漢字を用いると言う書き方がおもしろい。
    著者がご本人というのにも驚いた。
    記憶喪失後の新しい自分として生きる姿に感動。
    個人的に久々に時間が取れて読む本として、最適であった。

  • 内容(「BOOK」データベースより)
    二度と戻らない記憶。あたらしい自分と向き合いながら生きて、草木染職人として独立するまでの12年間の軌跡。

  • 18歳で記憶を失った青年の手記。内側から見た「記憶喪失」の現実だが、彼のみならず彼の周囲の苦悩も慮られる。

  • 以前にテレビで特集されていて偶然ブックオフで見つけたので読んだ。事故に遭い、過去の記憶を全てなくす。そこから、寝ること、食べること、味覚…生きていくことに必要なことを思い出すというよりひとつひとつ覚え直していく。覚え直していくことは家族とともにすごく大変なことだったと思う。その中で自分のやりたい仕事に就けるとこまで行けたことはとてもすごいことだ。今まであたり前に生きてきた過程で身につけてきたこと、普段当たり前にしていることってすごいことなのかなと思った。そう思うと少し色々なことに勇気が持てる気がした。日常に起こるどんな小さなことでも素敵なことなんだと思う。

  • 事故で過去の記憶を全てなくした青年の手記。個々には思う部分もあった。全体としては淡々と読んだ。知らないものへの好奇心や恐怖というのは、日常ではあまり感じられないが、そういうものに溢れていたのだなと。

  • 日頃何気なく行っている行為すべてが、実は大変なもので人間ってすごいな、と感じます。お刺身のお話が一番印象的でした。あんな表現の仕方、普通に生きていたらわからなかった。でも、的を得ている。

  • 嫌なことが次から次へと続いて、

    「もうやだ、記憶喪失にでもなりたい」

    と思った時に本屋さんで運命的な出会いをした(と感じている)本。

    元々、テレビでやってるような
    「ここはどこ? わたしは誰?」
    的な記憶喪失には疑問を抱いていた。

    「だって記憶を喪失するんでしょ?
     都合のいいことだけ忘れられるわけがない。
     言葉も、コップや箸の使い方も、そういうのも全部欠如するんじゃないの?」


    そう思ってたら、やっぱりそうだった。

    この本には、あたしが思っていたような、リアルな記憶喪失が描かれていた。


    お米がわからない。
    エスカレーターもわからない、乗り方もわからない。
    友達なんて誰ひとり覚えていない。
    でも友達だった人と話してるうちに、相手の様子が違ってくるのはわかる。


    だんだんと“忘れてからの自分”の生活の基盤ができてくると、今度は


    “忘れる前の自分”に戻るときが来るんじゃないか=“今の自分”を失うんじゃないか


    という恐怖に苛まれる。

    【記憶=自分】
    昔の経験や記憶があるから、今の自分がいる。

    壮絶ともいえる坪倉さんとそのご家族の日々をみて、「記憶喪失になりたい」なんて自分のバカさに凹んだ。

    忘れたいことがたくさんあっても、それがあるからこそ、それすら自分の一部なんだよね。

    初めて買ったノンフィクション。
    本との出会いに感謝。

  • 記憶喪失で赤ん坊状態になってしまうって、
    この本に書かれている以上にものすごく大変なことだと思う。
    そんな中、自立の為に大学に復学させたり独り暮らしさせちゃう
    両親もすごい。
    人格も変わっちゃったけど、新しい日常と記憶が積み重なり、
    今は過去の自分を思い出しちゃったら、今の自分がなくなりそう
    で恐いと言うのが印象に残った。

  • 配置場所:摂枚普通図書
    請求記号:916||T
    資料ID:50100668

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