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Amazon.co.jp ・本 (301ページ) / ISBN・EAN: 9784344001015
感想・レビュー・書評
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時代小説というジャンルなのだろうか。
もはや純文学の域。
ただモチーフそのものはありきたりではある。
しかし文体は洗練されていて、自然と惹き込まれてしまう。
エピローグは出来すぎるほどキレイに納められていた。 -
久しぶりで時代小説を読みたくなって図書館から借りてきたのが、乙川優三郎の「かずら野」という小説。
夕方から読み始めたが、おもしろさについ寝るのも忘れて読み続け、深夜に読了、感動を引きずりながら眠りに就いた。
あらすじは貧しい足軽の娘、菊子が大店に奉公に出されるが、実はそれが主人の妾となることだと知って絶望、死を覚悟するが、そこへ主人の息子、富治が現れて父親を殺害、居合わせた菊子を連れて出奔する。
以後身を隠しながらの流浪の生活が始まる、というもの。
芯が強く、地道に生きようとする菊子と、現実を直視せずに愚行を繰り返す富治のかみ合わない10数年の逃避行が歯がゆくもあるが、絶望のなかで菊子が何度も立ち上がろうとする姿には魅せられた。
貧しい足軽の娘菊子と裕福な商家で育った富治の溝はどこまで行っても遠く、けっして埋められることはない。
行く先々で、その土地に根づこうと努める菊子だが、それが実を結びそうになると、富治の浅はかな行動によっていつも壊されてしまう。
悲運はどこまで行ってもふたりについてまわる。
だがどんな目にあおうとも菊子は富治と別れようとはしない。
そのあたりの揺れ動く心理の綾には説得力がある。
苛立ちながらもつい納得してしまう。
また富治の弱さから来る焦りやあがきも、けっして理解できないわけではない。
そして流浪の果てに辿り着いた終の場所、銚子の漁場で迎える思いがけない結末には、感動で涙を誘われてしまった。
菊子とともに耐え忍んできた苛立ちが、ここへ来ていっきに解放されて、カタルシスを味わえる。
作者の綿密な計算に、心地よく嵌ってしまったということだ。
そして悲しいはずの結末ではあるが、悲しみだけではない清々しさも同時に感じた。
おそらくそれは菊子のどんな境遇に立たされても、けっして音を挙げない潔さを感じるがゆえのことだと思う。
久々に時代小説で涙を流した。 -
歴史小説でも推理物でもない時代小説を読みたくて借りました。乙川さんの作品も、3冊目くらいでしょう。物足りなさを感じていましたが・・この「かずら野」は退屈。舞台は幕末ですが、時代の波とは関わりなく運命に翻弄される男女・・ただ、身勝手我侭男と流されるだけで愚痴ばかりの女・・まったく共感を覚えませんでした。女性の目で進行しますから自己正当化が目立ちますし、ラストで事情は変わりますが、それまでが長いので今更という感じ。
おそらく人より江戸時代の生活を描きたかったんでしょう。ただ舞台が移りすぎて落ち着かない。まぁ、これも好みでしょうね・・
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私が始めて乙川優三郎を知った最初の本。書評を書いている友人が薦めてくれて読みました。
初めて読む時代ものでしたが描かれている女性の感情に引き込まれるように読んだのを覚えています。自然描写も美しく、遅ればせながら私も乙川ファンになった1冊。
著者プロフィール
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