ベンゲル・ノート

  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (277ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344002012

作品紹介・あらすじ

1冊のノートによって明かされる名将ベンゲルの理論と戦術の全て。

感想・レビュー・書評

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  • 「ベンゲル・ノート」
    中西哲生は、名古屋グランパス選手時代に、ベンゲル監督のトレーニングメニュー、ミーティングでの発言などを一冊のノートにメモしていた。


    2018年4月20日、ついにその時はやってきた。イングランドの名門アーセナルは、1996年10月1日から長期にわたってチームを指揮してきたアーセン・ベンゲル監督が今シーズン終了をもって退任することを正式に発表した。約21年と半年。ファーガソンに続く長期政権。色々あったベンゲルのアーセナル。。。


    ベンゲルが、モナコを経てJリーグ創世記のグランパスを指揮していたのは周知の事実。当時のグランパスは、リネカーが在籍していたり、小倉が新人だったり、ストイコビッチが健在だったり、平野孝もいたりとメンツは派手だが、イマイチ勝てないチーム。


    そんな時、日本では無名のフランス人が舞い降りた。しかも、マネジメントまで関わりたいという要望付きで。当時は、監督と言えば、選手の主流と同じくブラジル人が信頼されており、欧州出身監督は、厳しい成績を残していたから、尚のことグランパスは大丈夫か?となっていたんだろう。しかし、1人喜ぶ選手がいた。ストイコビッチである。彼は中西に「凄い監督がくる。もうグランパスは大丈夫だ」と嬉々として話したそうだ。実際にベンゲルが就任してからじわじわとグランパスは順位を上げていく。


    本書のポイントは、①サッカージャーナリスト戸塚氏によるジャーナル的な章と②中西氏によるグランパスの選手視点による章で構成されている点である。特に②は、金はあるが使わないスポンサートヨタによるイケてないチームであるグランパスがどう変わっていったのかを外の我々に伝える意味ではとても新鮮である。


    例えば、ベンゲルは、コートを大体4種類のカテゴライズの下、目的に合わせた練習を組んでいたとかコーチを全面的に信頼していたとか、もちろん、ベンゲルの名を冠した著者を出すくらいだから悪いことは必要最低限書かないものだろうけど、兎にも角にも“アーセン、GOOD”と言っちゃうことばかりなのである。確かに、ベンゲルって名将の前に人格者ってイメージがまず来る。少なくとも内面で言ったらハリルよりは、日本に馴染みやすそうなイメージですけどね。


    更に、その日のトレーニングを時間毎に記載し、何をトレーニングしたか、ベンゲルは何を選手に話したか等、思っていた以上に細かめに記載されている点もポイント。しっかりメモっていないと再現出来ないことを考えると、当時の中西氏の努力が垣間見える。


    そして驚きなのは、グランパスを離れ、アーセナルに降り立ったベンゲルが実践していたトレーニングは、グランパス時代と同じであったということ。そもそも、中西氏との約束を果たし(しかも4年後)、アーセナルで再開し、平野孝とトレーニングにも参加させる辺りも凄いのだが、そこで実践していたトレーニングが彼らが馴染んでいたそれであったというのは、首尾一貫した監督だったのだなと感じますね。それと同時に、あのアーセナルでも実践するトレーニングだったという点も驚きではないでしょうか。


    それから数十年たった今、ベンゲルはアーセナルを去りますが、監督引退はしない模様。イニエスタのヴィッセル入団か?の報道も盛り上がりを見せる中、ベンゲルが日本代表やJの監督にでもなってくれれば更にインパクトがあるのですが、それはさすがにないだろうかw

  • 一番の本質は、2章のベンゲルが指揮した名古屋での、練習等を記した中西氏の記録。練習をロジックを組み立てていることなどがよくわかる。

    序章は中西氏がベンゲルに再開する時の話であり、1章はライターとしての戸塚氏のベンゲル名古屋が当時どう見えたのか、3章はアーセナルでの様子を書いてある。

    2002年の後、ベンゲルが日本代表につくことはなく、その後も10年以上もアーセナルを率いているとは思わなかったが、ディテールこそ重要であることはサッカーに限らず、すべてのことにつながるように感じた。

  • 最初の中西と平野がアーセナルの練習場を訪れるシーンが面白い。
    練習ノートを読んでいると、当時の名古屋のサッカーが思い出される。

  • サッカーの素晴らしさ 美しさを知りたい方に・・・

  • 高校のとき、擦り切れるほど読んだ本。
    頼むから、岡田武史監督、、読んでくれ

  • アーセナルのプレミアリーグ無敗優勝を見てからヴェンゲルに興味を持った。あのシーズンのアーセナルを見てなかったら、海外サッカーにハマることもなかった。
    そんなチームを作ったヴェンゲルのことが少し分かって嬉しい。
    中西さんありがとう。

  • 開始:20080911、完了:20080912

    中西哲生氏がベンゲル監督時代に書いたサッカーノートがベースになっている。Most Important thing is detail、という考え方は好きだ。それと、トップとユースで差別化をきちんと行っている。

  • 中西氏の良い仕事。ベンゲルが代表監督になったら通訳就任か?(笑) 気がつけば幻冬社。

  • 尊敬する指導者です。

  • 選手たちにサッカーを語るという監督としての基本的な仕事をシンプルかつ深遠に行うということ。ベンゲルはそれを高度なレベルで行っている。人に伝えるということについてとても示唆的な内容だった。

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著者プロフィール

中西 哲生
1969年9月8日 愛知県名古屋市出身。同志社大学を経て、1992年に名古屋グランパスエイトへ入団。
1995年シーズンには、アーセン・ベンゲル監督の下で天皇杯優勝。1997年、当時JFLだった川崎フロンターレへ移籍。1999年には主将としてJ2初優勝、J1昇格に貢献する。2000年末をもって現役を引退。
現在はスポーツジャーナリストとして、テレビ、ラジオ等で活躍中。また、2008年7月には財団法人(現:公益財団法人)日本サッカー協会・特任理事に就任。
サッカー、スポーツの普及に各方面で尽力している。

「2022年 『サッカー 世界標準のキックスキル ~日本では誰も教えてこなかったシュートが決まるフォーム~』 で使われていた紹介文から引用しています。」

中西哲生の作品

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