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本 ・本 (389ページ) / ISBN・EAN: 9784344002135
感想・レビュー・書評
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表現の仕方やストーリー展開がかなり過激でありながらも、エネルギーの使い方がよくわかっていない若者をうまく表現した作品。
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「太陽の季節」
軽薄な若者たち。
未熟で、刹那的で、責任ということを学ばずに体だけ大きくなった子供。
そんな登場人物たちに見えた。
親に金はあっても、育ちが悪かったんだな、と思ってしまった。
竜哉たちの暴力性は、アウトローに対し今よりゆるかったであろう当時の社会を感じさせる。
日本も、だいぶ変わった。
竜哉の英子に対する征服欲・ゆがんだ甘えは、精神的暴力でしかない。
DVをする男の心情は、こんな感じなのだろうな、と思いながら読んだ。
面白い手触りの作品だと思った。
愚かさと純粋さが絶妙に入り混じっていたように感じた。
「処刑の部屋」
怖くて痛くて、読んでいられない。
椅子に縛られてリンチを受けているところで、断念。
「完全な遊戯」
ただただ、ひどい。
残酷で身勝手な話でしかない。
これも一つの人間の形なのだろう。
教育やモラル、情緒を欠いた人間とは、実に恐ろしい。
「ファンキー・ジャンプ」
曲にのせるイメージで、奏者の心を描いていく。
曲のタイトルと、巡っていく思考の間から、時々音楽が聞こえてくるかようにイメージできる瞬間もあった。
しかし、随分荒々しい、曲調の変化に富んだ音楽であったろうと思える。
芸術と狂気は、背中合わせなのだろうか?
「乾いた花」
冴子の美しさ・妖しさが瞼の裏に浮かぶような思いがする。
若い冴子に魅かれる男の気持ちも、よく伝わってくる。
冴子がいうように、この男がなんだかまともなように見える。
より狂ったもの・冷たいもの・危ないものに引き寄せられていく冴子の姿に、悲壮感は一切ない。
彼女の結末も自然に受け入れられ、逆に死ねてよかったかのように思えてしまう読後感が、不思議だ。 -
政治家、特に都知事としてしか知らない。作家としての彼を知りたいと思って、借りてみた。私が生まれる三年前、戦後わずか十年の作品だ。戦争に抑圧された鬱積を一気に爆発させた人々。いや、戦前、戦中にも彼らはいたのかな。ここから、太陽族が生まれていったのか。
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ずっと気になってた
退廃的
男が最悪、女が可哀想、な話 -
戦後の荒廃と理不尽、社会の不信感により退廃的な若者たちがヒトを物質主義と考えるようになった
今の日本はあれから変わってきているのか考えさせられた -
著者が死去され、氏の枕言葉となる代表作の太陽の季節を読んでみたいと思い読んでみた。
放埒な若者の生き様を辛辣、反抗的に描かれ60数年経っても輝きを失ってない様に感じた。
文藝春秋今年1月号に氏の手記が掲載されていた。一橋大学の同級生西村という人に薦められ書いた原稿用紙100枚程の小説が受賞し、その同級生にいたく感謝を述べていた。その賞金で洗濯機を母に買い、母を洗濯の重労働から解放し母から心底感謝され親思いの一面が記されていた。
ご冥福をお祈りいたします。 -
賛否両論な作品だったというが,若々しさに対する賛同も反倫理に関する批判も,どちらも正当な評価とは言い難いと思う。
人を殴ることがいかに楽しいかという,ある種当然なことを普通に書いている作品,以上のものではない。時間も金もあったところで退屈に殺される一方で,ああいった行動に出るのはむしろ健康的(だが幼い,これが青春か)に思える。
著者プロフィール
石原慎太郎の作品





