解夏

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  • 幻冬舎 (2002年12月5日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (397ページ) / ISBN・EAN: 9784344002685

感想・レビュー・書評

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  • まじか…おもしろトークの歌うおじさんってイメージが一変した…こんなに綺麗な物語を書くのか。
    長崎、長野、栃木、福井を舞台にした短編集。
    表題作「解夏」の終わりはため息が出るほど美しい。だいぶ泣かされたわなんか悔しいな。

  • さだまさしさんの歌のように、優しく温かな余韻に包まれた短編集。
    親子、恋人、夫婦…当たり前のように存在していた人と人との絆の破綻。
    それらが静かにゆっくりと再生していく過程が優しく綴られている。

    表題作の、失明の恐怖に押し潰されそうになりながら、それでも苦しみから解き放たれた瞬間の、悟りを開く様がとても良かった。
    「解夏」…とても素敵な言葉。

    そして最後の短編『サクラサク』。
    一つ屋根の下に住みながら心はバラバラだった家族が、年老いた父の痴呆により徐々に歩み寄っていく。
    「人間ってのはよ、心で生きてるからよ、滞った場所を、どんと叩かれたら正気に戻るんだ」
    主人公の友人の涙ながらの励ましの言葉。
    人にとって体より心の不調の方がより堪えるものだとしみじみ思う。
    思うようにならず、大人も子供の頃のよう泣きたくなる時もある。
    そんな時に寄り添い自分を認めてくれる身近な人の存在の有りがたさが身に染みた。
    さださんの優しい歌声が今にも聴こえてきそうだった。

  • 重松清さんの解説を先に読んでから、読んでみるのもいいかなと思いました。個人的には表題作の「解夏」よりも他の作品の方が好きです。さださんの作品は何作か読んでいますが、どの作品も読みやすく言葉選びが巧みだなあと感じます。

  • タイトルで『解夏』だけの小説だと思ったが、
    他にも『秋桜』『水底の村』『サクラサク』の4作品であった。どれもが心響く作品で、最後のサクラサクのお爺ちゃんの一言一言がジーンときて、涙が溢れた。そして、自分のおかれた環境に照らし合わせ お爺ちゃんが愛おしく想えた。私も義父に又、話しに行きたくなった。

  • さだまさしってなんでこんなに
    しっとりと胸にくるじわっと切なく優しい文章がかけるんだろう?
    どの作品にも、人と人との関係の素朴さと優しさがにじみ出ています。読み終わるとため息がでるような。
    生きてることに、恩恵を感じてしまうような、、、。
    あ、今余韻にひたってるなぁ私(笑)

  • 彼の文は綺麗。
    こころにすんなりしみこむのだ。

  • 続きが気になるような…
    でも…ちょうど良くきれいなところで終わるので
    心地よくて美しい

    なんていうか…
    さすが!!!さすがです。
    読みやすくて、情景が浮かぶ流れるような文

    物事を冷静に?客観的に捉えている人物が出てくるけど、さださんがこういうタイプの方なのかな?

  • あまり覚えていない。

  • 東京で教師をしていた隆之は、視力を徐々に失っていく病におかされ、職を辞し、母が住む故郷の長崎に帰った。そこへ東京に残した恋人の陽子がやってくる。この先の人生を思い悩む隆之。彼を笑顔で支えようとする陽子。ある日、二人はお寺で出会った老人から「解夏」の話を聞くー。表題作他、人間の強さと優しさが胸をうつ、感動の小説集。

  • 失明、フィリピン妻、ダムに沈む村、痴呆老人と家族。
    不幸があっても、乗り越えようとする姿に勇気づけられた。
    全くのハッピーエンドではないけれども、少し救われる。

  • 解夏
    秋桜
    水底の村
    サクラサク

    の4作品が収録。どうせなら春夏秋冬、全部そろえたらいいのに・・・という思いも(笑)。

    私はやっぱり表題作である解夏が良かったかなー。どれも泣けるお話ではあったけれど。・・・滲みるぜ。

  •  いい曲を作るんだけど好きじゃないので、貸してくれたものの読む気がせず、10年以上も本棚じゃなくて段ボール箱に入れていた。
     そろそろ返すかなどと思いながら、読み始めると一気に読めてしまった。
     読書中、作者の影が何度か脳裏をかすめたが、ほとんど物語のなかにはまりこんだ。さわやかな読後感です。曲も小説も落とし所を知っている人です。

  • 読んだあと優しい気持ちになれる本

  • (文中より抜粋)
    「解夏」
    故郷の風景が自分の中に刻まれた、と気付いた。解夏であった。
    「秋桜」
    「冷静になる方法を知るということは自分の一番の宝物なんだ」と。
    「水底の村」
    「色不異空 空不異色 色即是空 空即是色」長い旅をしてきた。
    「サクラサク」
    蛇口さえ腐っていなければ、水は通ってゆく。初めは錆びた濁り水が続くだろうが、諦めなければ、また水は澄んでゆくだろう。「蛇口を開け」

  • このひとはさすがだと思う。表現がうまい。

  • 2012/06/21読了

    久々にこんなに、ダイレクトに胸に迫る小説を読みました。
    どれも全てすばらしい物語。愛とか家族とか、自分の生き方とか…。ここまで生きてきたんだよ。という人生を否定されて無気力になったり、どうしようもない気持ちになったり…前を向くことは辛く、終わりにしたい。でも…
    再生と循環 なんていったら、大きすぎるかな?でも、そんな感じなの。
    そして、物語の端々に現れるは、日本らしさ…っていうのかな
    奥ゆかしい優しさ。どうしようもない人に、手を伸ばすという「善」なのかな
    …清い、人間としてのストーリーです

    「解夏」
    見えなくなるという恐怖が、ひしひしと伝わってくる。
    苦しみの「白」が下からせり上がって来て、いつか来る失明に失望…。
    作中の「ああっ!」ろいう声にならない叫びが、それを物語っている。
    ただ、そこにもいくらか、精神での救いはあるわけで…。
    そこが、本当に苦しさの中の光なのだと思う。

    「秋桜」
    義母の優しさがニクいね。とても人間らしいし、優しさっていう力をどう扱えばいいかという迷いが出ているからこそ、最後でのあの感動があるんだろう。

    「水底の村」
    とてもいいところで終わったなあ。すごく気になるのに!
    どんな気持ちで二人の「純」を敦子は待っていたのかと思うと、キツイかなあ。でも、父のような存在になりたかった、そんな存在でいてほしかった純一や、この妙な関係なんかは、きっと許してくれると思うけど。
    恩師や同僚や、たくさんの人の助けがあってこそでもあるね。
    この話が、「解夏」と同じくらい、好きです。

    「サクラサク」
    人生に対しての、家族に対しての、、、なんだろうな。
    タイトルのつけ方が一番いいのはきっとコレかも
    失われた家族との絆
    どうしようもない現実でも、希望だけでもそこにある気がするから。ただ、虚しさもあったりするけどね。。。

  • 短編(中編?)集。
    どの話も家族や友人など他人を思いやる気持ちに溢れていて、いい話だった。
    ・解夏
    次第に目が見えなくなる難病にかかった主人公が、完全に視力を失うまでの話。
    ・秋桜
    フィリピン人の主人公が仲の良くない姑と心を通わせる話。
    ・水底の村
    ケンカ別れした幼なじみの息子と仲良くなり、やり直そうという話。
    ・サクラサク
    気持ちがバラバラになった家族と、祖父の思い出の場所を探して旅をしながら、少しずつ関係を修復していく話。

  • 短編集だがどれもこれも素晴らしい。
    読み終わったときに清々しい。
    秋桜は女心、水底の村は男心を繊細に描写しているか。
    サクラサクは映像で観たくなる。(2011.9)

  • ああ、、、良い小説を読んだ。さだまさしさんの本は心にしみる。重い題材もあるけど、どれも自分と改めて向き合うきっかけをくれる。解夏の短編の中ではサクラサクが好き。痴呆症のおじいちゃんと孫の大介との温かい絆が泣けた。2011夏。

  • 2番目と最後がよかった。

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著者プロフィール

一九五二年長崎市生まれ。シンガーソングライター。二〇〇一年、初小説『精霊流し』がベストセラーとなる。『精霊流し』をはじめ、『解夏』『眉山』アントキノイノチ』『風に立つライオン』はいずれも映画化され、ベストセラーとなる。その他の小説に『はかぼんさん―空蝉風土記』『かすていら』ラストレター』『銀河食堂の夜』など。

「2021年 『緊急事態宣言の夜に ボクたちの新型コロナ戦記2020』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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