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Amazon.co.jp ・本 (394ページ) / ISBN・EAN: 9784344002814
感想・レビュー・書評
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NHK BS 「伝説の地 星宿海」 黄河の源流域の湖沼郡、星宿海を辿る映像を観た。
茫漠とした静寂、圧倒的な美しさは、孤独感と哀しみとなって迫ってきた。
『星宿海への道』は、その星宿海に憧れた男の話だと手に取った。
読んでいる間も、星宿海の映像を観た時の孤独感がまとわりつき、雅人の人生の孤独感と哀しみとシンクロして、不思議な読書体験だった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
兄‼︎
童話のようにでもリアルに心残る幼少期 -
また読みたい
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なんともロマンチックなタイトルのこの小説は、宮本輝さんが、瀬戸内の「しまなみ海道」と中国の黄河の源流にあるとされる無数の湖「星宿海」とをイメージして描いたものです。
主人公と血のつながりのない兄・雅人がこの「星宿海」のイメージに取り憑かれて、中国のウイグルで失踪したところから物語は始まります。兄はなぜ、失踪したのか。主人公が謎を追うにつれ、読者にも、主人公と雅人の生い立ちのエピソードが少しずつわかっています。
主人公の両親に引き取られるまで、決して幸せな家庭環境になかった雅人が心に秘めていた「星宿海」とは何だったのでしょう。ストーリーは常にこのことを軸にして展開していくのです。
後半、雅人の恋人とその子供も登場しますが、「しまなみ海道」のホテルの露天風呂に入るシーンがあります。そこで見ることのできる夜空と海と島こそ、「星宿海」という言葉がピッタリの景色でした。
雅人は、亡き母への思慕をそのまま「星宿海」へ託したのでしょうか。無いものねだりをするかのように、永遠に手の届かない宝物を捜しに旅に出たのかなあと、想像はつきません。
失踪の原因も雅人の生死もわからないままですが、雅人の不幸な人生をおくった母への思慕や血のつながりはなくても思いやる兄弟愛を、美しい「星宿海」のイメージにのせて、最後まで読ませてくれる一冊です。 -
宮本輝の本の中で、私が苦手な場末系の雰囲気をもつ部類に入りそうですが、これは別。うまく阪神大震災後系につながっています。
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兄が中国で失踪。その兄は養子。母親と2人で物乞いをする生活だった。遠慮しながら新しい家庭で暮らしていたのだろうか?星宿海(せいしゅくかい)という黄河の始まりの場所に憧れがあったよう。そこを目指して失踪したわけでもないだろうけれど、自由になりたかったのかも。
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初読みか再読かわからない一冊。書きたい焦点が定まっていないといった印象を抱いてしまった。
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7.14.09読了。瀬戸雅人は中国の新疆ウイグル自治区で、この旅行から帰国したら一緒になる女性、千春と彼女のお腹にいる将来の娘を日本に残して、自発的に行方不明になる。千春に旅の途中に手紙を書く。女の子が生まれたら、せつと名づけてくださいと綴っている。せつとは8歳の時まで一緒に路上生活した、両足不自由で両目が見えない、産みの母親の名前である。雅人の行方や生い立ちなどを捜し求める内容だったから、ミステリー小説のようなそれでどうなの?的な感覚だったから面白く読めた。
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うーん、宮本輝の本は内容を説明するのがとーっても難しいんで、とにかく「優駿」から読み始めていただければ、いずれこの本に至ると思います
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「宮本輝の世界だ〜!」と言えばわかる人も多いのでは。 あの独特の感じ。読んですぐに「これは謎が謎のまま終わりそうだ」と思ってしまった。そしてそれはその通りだった。でもそれについて不満が残らないのが宮本輝のいいところ。人間の絆の強さ、深さ、熱さを感じる1冊。
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