玄冶店の女

著者 :
  • 幻冬舎
3.23
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本棚登録 : 75
レビュー : 8
  • Amazon.co.jp ・本 (318ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344003354

作品紹介・あらすじ

江戸・日本橋に「玄冶店」と呼ばれる狭い路地があった。黒板塀に囲まれた妾宅が並ぶその一角で、元・花魁のお玉は小間物屋「糸玉」を営んでいる。そこには小粋だが懸命に生きている女たちが出入りしていた。「糸玉」の暖簾をくぐる人々の切なくて心温まる八つの物語。

感想・レビュー・書評

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  • 主人公のお玉は小間物屋を営む花魁上がりのお妾。

    訳ありの女たちが多く住む界隈で気を張って生きている。
    世話をしてくれていた旦那と別れ、女ひとりの身すぎ世すぎとなったが…。
    というお話。

    宇江佐さんの作品の主人公は、矜持はあるが、分を知っている。
    おめかなのが悪いのではない。基本的には独りで生きなくてはと
    知っている。このお話のお玉さんもそう。

    周りは皆、似たような事情を抱えた女たちで、労わり合うように生きて
    いる。悲しすぎる結末をみる者・長く忍んだ想いに報われるもの・
    それぞれの哀歓が胸を打つ。

    お玉さんは、若い誠実な恋人を追って旅立つのだが、ちょっとだけ
    悔しいこともあるのだ。ひたむきに恋をぶつける純情がいけないとは
    思わないが、そんなに好きなら一度でいい、別れを決めた彼女の側に
    立って、その胸の内を斟酌してあげる場面があれば良かった。

    おそらくふたりは結ばれるだろうが、男のほうが自分勝手に
    愛情という甘えをぶつけていないと、どうして言えよう。
    一途な男性の愛が嬉しい半面、その中に潜む危うさが私には気になった。

    ラストシーン、映画『モロッコ』のように去った男を追うお玉さんと
    親友のお喜代の別れが、鋭く切ない。

    お玉さんの行く先に幸せがあればいいのに、と小説の中のことなのに
    胸が痛んだ。いい小説だと思う。

  • 宇江佐作品は大体読んだつもりが、こちらは未読。
    でも自分としては今、読む事が出来て良かった。
    新刊当時読んでいたら感じ方が全然違ったと思う。
    お玉が切ないなぁ…。

  • お玉さんは芝居のお富さんを思い浮かべながら読んだ。ありそでなかった、黒塀の中のお妾さんたちのお話。時代考証だけじゃなく、話の筋も予想以上にしっかりしていて面白かった。

  • そのまま映画になりそうな、登場人物や狭い路地裏、移りゆく季節のあり様が目に浮かぶ語り口で、読んでいてすぅーっとするような小説でした。

    主人公「お玉」は男女の甘いも酸いもかみわけたであろう元花魁なのに、手習い所の先生とのやりとりは、読んでるこちらも切なくなるような不器用な感じで、そのせつなさ具合がよかった。

    最後の章は、けっこう泣けてきて、電車で読んだことを後悔してしまいました。

  • 宇江佐先生の本に出てくるこの主人公のような女性が、私は大好きです。かっこよくて惚れます。これはシリーズで続いてほしいと思いました。

  • 江戸下町モノの時代小説はたくさんあるけど、この「玄冶店」のようなところを題材にしたものは見たことがなかった。
    玄冶店は黒板塀を回した妾宅ばかりが並ぶ一町角である。住んでいるのは芸者とか、吉原や盛り場の水茶屋から落籍されて旦那の世話を受けている女たちだ。
    そんな町内で白粉とか刷毛とか、女向けの小間物屋をやっているお玉姐さんと近隣の女たちの、日陰者なりの仁義とか、人情や恋の話。

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