ワイルド・ソウル

著者 :
  • 幻冬舎
4.18
  • (193)
  • (131)
  • (97)
  • (7)
  • (1)
本棚登録 : 785
レビュー : 139
  • Amazon.co.jp ・本 (525ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344003736

作品紹介・あらすじ

1961年、衛藤一家はアマゾンの大地に降り立った。夢の楽園と信じて疑わなかったブラジルへの移住-しかし、それは想像を絶する地獄の始まりだった。逃げ出す場もないジャングルで獣に等しい生活を強いられ、ある者は病に息絶え、ある者は逃散して野垂れ死に…。それがすべて日本政府の愚政-戦後の食糧難を回避する"棄民政策"によるものだと知った時、すでに衛藤の人生は閉ざされていた。それから四十数年後-日本国への報復を胸に、3人の男が東京にいた。未開の入植地で生を受けたケイと松尾、衛藤同様にブラジルを彷徨った山本。報道記者の貴子をも巻き込んだ用意周到な計画の下、覚醒した怒りは300発の弾丸と化し、政府を追いつめようとするが…。それぞれの過去にケリをつけ、嵌められた枠組みを打破するために、颯爽と走り出した男女の姿を圧倒的なスケールと筆致で描く傑作長篇小説。

感想・レビュー・書評

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  • 戦後、日本の食糧難時代に端を発した移民政策。
    当時の政府にまんまと嵌められ海を渡った先人達の絶望、屈辱、貧困…人を人とも思わないずさんなやりようには怒りしかない。
    憎悪に満ちた過去にケリをつけるため男達が立ち上がる。

    政府を相手取った仕返しにはスカッとした。
    物語のテーマから重苦しくなりそうなのに、随所に笑いを入れたスピード感のある展開にぐいぐい引き込まれる。
    垣根さんは読ませるのが巧い。
    桔梗の花の意味…結局のところ軍配はヤマトナデシコに上がったってこと?
    これで万事、ノン・プロブレーマ。

  • 最近読んだ「君たちに明日はない」が面白かったので手に取った、垣根涼介の2冊目。

    同一著者の作とは思えない位に重いエピソードで幕を開けたが、総じて見れば確かに垣根さんだった(笑)。

    ブラジル移民に関する、綿密な取材に基づいた圧倒的な迫力での描写……我らが国にそんな過去があっただなんてことを初めて知った。

    魅力的な登場人物……あまりに破天荒な人生であったり、一般ピープルとは縁の無い世界の住人であったりするので、感情移入はし難いのだか、皆それぞれに憎めない愛嬌を感じられるのが“垣根節”なのかな?

    外国映画のラストシーン等でよく見られる、“時が経ち、遠く離れた土地で再開”というエピローグ……途中で読めてしまっても“お約束”な安心感があり◎。

    ……ちょい役でしかなかったけれど、序章の最後に出てきた“ハサン”が好きだなぁ!

    2011.12.20 了。図

    • geronimoさん
      わざわざコメント頂きありがとうございます。
      レビューが充実している方の本棚は本当に参考になります。
      ワイルド・ソウル、内容はかなりハードでし...
      わざわざコメント頂きありがとうございます。
      レビューが充実している方の本棚は本当に参考になります。
      ワイルド・ソウル、内容はかなりハードでしたが楽しんで読みました。
      2012/06/11
    • chie0305さん
      そうでした!この本、読もうと思っていたのに、すっかり忘れてました。今、読んでる本が終わったら早速読まなくっちゃ!ありがとうございます!
      そうでした!この本、読もうと思っていたのに、すっかり忘れてました。今、読んでる本が終わったら早速読まなくっちゃ!ありがとうございます!
      2017/01/10
    • chie0305さん
      たった今、読みおえました。優しい終わり方でしたね。ああ、こういうのが垣根さんなのか、と。(まだ偉そうに言えるほど読んでいないけど。)松尾に惚...
      たった今、読みおえました。優しい終わり方でしたね。ああ、こういうのが垣根さんなのか、と。(まだ偉そうに言えるほど読んでいないけど。)松尾に惚れました。生きていてくれて良かった!
      2017/02/15
  • 昔の小説を読んで凄く良かったら、なんで今まで読まなかったんだろうと、新刊ばかりに気を取られていた自分を呪う。
    この小説もまさにそうだ。乗っけから引き込まれた。

    まず、プロローグで主人公であろう衛藤の実直で骨太な性格に魅力を感じ、この物語をどう展開していくのかと期待をする。
    すると、現代の章になるとあっけなく主人公の座を次世代の者たちに譲ってしまう。半ばガッカリしながらも読み進めていくと、衛藤よりも魅力的な男たちの登場だ。南米のノリで陽気なケイ。犯罪シンジゲートの中核である松尾。そして、紅一点の貴子。
    彼らが棄民と呼ばれた親たちの代わりに日本政府を相手取って暗躍していく。その頃にはもう夢中になっている自分がいた。

    この物語は、キャラクター作りが非常に上手い。中でもケイのキャラクターは群を抜いている。この実際に日本政府が行っていた南米移民政策。信じられないような内容で、暗い気持ちになりがちだが、ケイの底抜けに明るい性格によって読者を下向きにさせない。
    情け無い日本に喝を入れてくれたケイたちに感謝。とにかく面白いし、スカッとすること間違いなし。

    • chie0305さん
      ひとしさん、こんばんは!
      「ワイルド・ソウル」は前半(親世代)のエピソードが暗くて読むのが大変でした。でもひとしさんは5つ評価なんですね~...
      ひとしさん、こんばんは!
      「ワイルド・ソウル」は前半(親世代)のエピソードが暗くて読むのが大変でした。でもひとしさんは5つ評価なんですね~。復讐劇もガツン!とやるのかと思うと控えめだったり、松尾を死なせないところなんかも新鮮でした。ああ、垣根さんてこういう感じなんだな、と。
      道尾さんは読んだことありません。今度読んでみますね。ひとしさんのレビューで「月の満ち欠け」が気になってます。まあ、例によって読むのは先になりそうですが(笑)
      では!
      2017/08/24
  • 期待に違わぬ傑作!読み始めるとどうにも止まらない垣根氏お得意のエンターテイメント作品です。
    扱っているテーマが重たいだけに少し突っ込み所があるのが気になるけど、全編を通して描かれる人間愛と、馬鹿らしいけど楽しいという恋愛への目線が素敵です。

  • 非常に面白かった。かなりお勧めできる作品。
    日経南米移民が、日本の外務省へ復讐するというストーリー。
    南米移民の歴史をそれほど詳しく知らなかったから、調べてみようという気持ちになり、歴史的に知識を増やしてくれる本であり、なおかつストーリーの続きが気になり、かなりのボリュームだが夢中になって読み込める。

    ケイは陽気で魅力的だが、付き合うのは大変。
    松尾がかなり振り回されて苦労してそうだけど、それでも楽しんでいる。
    ブラジル人の陽気な性格ってこんなのかなぁーっと知人にそういう人がいないから想像した。
    外見は日本人だが、内面はブラジル人。
    育った環境が人間をつくるんだね。

    ブラジル人がいっていた
    「自分の町は好きかい?愛せばもっと楽しくなるよ」
    といっていたフレーズが印象に残った。

    日本の社会は謙遜でストレートに言わないけど、ブラジル人のポジティブな性格は見習っていきたい。
    私も自分の町や国が好きだと堂々といえるようになろう。

  • 戦後日本で行われたブラジルへの移民政策。
    未開の地に降り立った衛藤を待っていたのは、想像を絶する暮らしだった。
    そして40年後、東京では日系2世達がある作戦を実行しようとしていた。

    以前から気になっていた本。
    ただ、著者のハードボイルドな作品には若干の苦手意識があり、手に取らずに来ていました。
    もっと早くに読んでおけば良かったと後悔するほど、面白かった。
    メインの登場人物がとにかく魅力的で、その行動の緻密さ、人を殺めることの無い復讐劇に、魅了されました。
    知らずにいたブラジル移民政策を知ることが出来たことも大きな収穫。
    読み終えるのが惜しくなるほど、充実した読書時間でした。


  • 前半の壮絶さに「大地の子」のようなしんどい話かと身構えましたが、後半はエンターテイメントでした。
    計画が進行していくのに、こんなにハラハラさせられたのは久しぶりです。のめり込んでいたんですね。
    『物語を盛り上げるためにどんどん登場人物が死んでいく』ような浅はかなことがなかったのが嬉しい。

  • 垣根涼介が、トリプル受賞したという10年以上前のベストセラー。
    戦後のブラジル移民問題をバックグラウンドにしている。

    前半は、南米棄民とも言える 無茶苦茶な政策に半ば騙されて移住した人達がどのような日々を送ったかを物語にしている。
    作者本人がブラジルを放浪して取材しただけあって、入植地の状態やアマゾン支流の街の雰囲気などがしっかり伝わって来る。
    多くの人が命をおとしたが、生き延びたものとその末裔が、当時の入植政策の関係者に一矢報いる テロ事件が後半。
    血統は100%日本人と言えども、ブラジルやコロンビアで育った二世たちの南米的なキャラクターが日本人とは対照的に描かれていて、個性が際立つ。
    かなりドギツイ描写もあるが、事件に残虐性はないこともあって読みやすい。

  • 出張に行ったブラジルで、南米にこんなに日系人が多いのかと驚いた。
    だがその裏には、自分の知らない闇がある。
    1960年代のブラジルへの移民プロジェクトはまさに棄民で、アマゾンの何もないところに日本人を送りこむだけだった。
    その中で幾多もの日本人が無念と絶望のうちに塵とかし土に帰り、一握りだけが生き残る。
    ブラジルの日系人の背景にはそんな背景があったとは全く知らなかった。

    そんな暗い一面を持ったケイのキャラクターが余計に目立つ。
    確かに、こういう男はブラジルにいそうだ。

  • 垣根作品、2作目。

    面白かった。さすが、色々な賞を受けたことはある。けれど、作品の根底に流れる過去のストーリーは読んでいて凄く胸が締め付けられた。確かにストーリーはフィクションではあるが、よく似たストーリーがあの頃、あの場所でいくつも起こっていたのは歴史的事実としてある。そう思うと胸が張り裂けそうに痛い。過去にそういった事実があったのは今までから何となくは聞き知っていたけれど、ここまで酷いものとは知らなかった。改めてその歴史的事実を思い知らされた感じだった。

    しかしながら、過去から戻って、現代。そのまま暗い過去を引き摺って物語は進んでいくかと思いきや、そうでもない。何と言っても、ケイが能天気で明るい。生粋の日本人でありながら日本人らしくないその人格はやはり南米の風土の中で育ったからだろうか。彼の存在によってストーリーがどこまでも暗く沈んでいくのを浮上させてくれる。彼なればこそ、この本の最終はあの結末に繋がっていくのだと思う。そして松尾や貴子も彼に振り回されながら、自分と葛藤し、自分の未来を掴んでいくのです。彼らの犯罪計画は完璧に進んでいくようでありながら、実際はそうは上手くいかず。目まぐるしい展開に最後まで気が抜けない。だけども、読み終わった後の読後感は最高。ハードボイルド好きな方にはお勧め。

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著者プロフィール

1966年長崎県生まれ。筑波大学卒業。2000年『午前三時のルースター』でサントリーミステリー大賞と読者賞をダブル受賞。04年『ワイルド・ソウル』で、大藪春彦賞、吉川英治文学新人賞、日本推理作家協会賞の史上初となる3冠受賞。その後も05年『君たちに明日はない』で山本周五郎賞、16年『室町無頼』で「本屋が選ぶ時代小説大賞」を受賞。その他の著書に『ヒート アイランド』『ギャングスター・レッスン』『サウダージ』『クレイジーヘヴン』『ゆりかごで眠れ』『真夏の島に咲く花は』『光秀の定理』などがある。

「2020年 『信長の原理 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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