銀行籠城

著者 :
  • 幻冬舎
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本棚登録 : 165
感想 : 28
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  • Amazon.co.jp ・本 (266ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344004801

感想・レビュー・書評

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  • 白峰温泉白峰総湯の番台、永井洋子さんが貸してくれた本。

    怖い。「善い人」「悪い人」なんていない。状況で何にでもなる人間の恐ろしさ。人間の醜い部分が否応無しに書かれていて、気持ち悪くなる。人の命って何だろう?簡単に奪われすぎる。全裸で、大勢の面前で、マスコミと野次馬にさらされて。こんな死の瞬間なんて、あまりにも酷すぎる。マスコミが嫌になった。人命より視聴率優先。人間の野次馬根性が恐ろしい。

    五十嵐はまだ正常だ。私だったら、もっとエロく残酷なことを命令するだろう。復讐なんて関係なく、ただ自分の快楽のために。私だけ?自分、関係無い第三者だから。テレビの視聴者だったら、裸の男女に興奮するのだろうか?そもそも、五十嵐は奴隷同然の15人の全裸の女性に囲まれても、興奮しないのだろうか?

    でも、もっと、予想だにしなかった理由で銀行篭城したかと思った。もっと、もっと・・・。

    そう。こんな状況になったら、「他人のことなど考えてはいない」「自分の保身だけ」それが分かるから、人間やってて哀しい。自分が一番可愛いんだ。じゃあ、やっぱりキリストって超偉大だなあ。

    28「彼らの十数年、または数十年の人生は、自分がトゥリガーを引くだけで終焉する。」
    本当だ。人生って何なんだ・・・?自分の気分次第で。そんな権限なんてないのに。

    29「神は、たまたまという都合のいい言葉を使い、罪のない人間を地獄へと叩き落す。」
    何だか、この本を読んでいると、無神論者になっていくようだ。

    38 全裸「完全なる服従の証」「家畜のように性器も肛門もさらけ出し無様な格好になった奴ら」

    40「無造作に束ねた後ろ髪、化粧気のない土色の肌、生活臭が漂う地味な三十路女の全裸姿というのは、ある意味、容姿抜群の若い女のそれより卑猥だった。」

  • 鷲尾は何をするのか分からなかった



  • 書店で何の気なしに購入。

    しかしながら、パラパラ読んだだけで引き込まれた・・こんな理不尽な殺人は無い・・。

    平凡な日常に、このような事件が起こらないとは言えないと思い、背筋がゾッとした。



    犯人は一人の男。銀行の行員や客を人質にし、反抗するものには遠慮なく銃の引き金を引く。

    その描写が非常にリアルであり、生々しいのだ。

    そしてオレが思ったのが、この人質の中にもしも自分がいたら・・・。

    人間として、男としての尊厳は保ちたいとは思うものの、犯人に銃口を向けられたら平常心でいられるかわからない。

    現代社会はどこか病んだ人間も潜んでいる。そんな男のために死にたくはない・・。



    小説としては、この犯人:五十嵐の目的が最後には明らかになるが・・ちょっとがっかり。

  • こんなになっても五十嵐は憎めなかった
    最後の最後で弱さがみえたからだけじゃない

  • 銀行へ立て篭もり人質を無残に殺害。金には興味を示さない。篭城のために銀行を冷酷に襲った。その結末は・・・。
    どんでん返しも、エログロも控えめ。淡々と中篇的にまとめたことで、凄みを出した。シンプルなストーリー仕立てが、テーマの残酷さを浮き彫りにする。素直にさっくりと読めた。この展開でどろどろで陰惨な人間模様を読みたかった気もするが、そしたらテーマのシビアさは埋もれてしまったかも。

  • こういう悪い人が実はいい人で死んじゃう話が好きです。

  • ショッキングな作品。
    世間の評価は低いけれど、極限状態の人間の行動を如実に表現できているところはいいと思う。心情描写は少ないけれど、行動描写が多いので、場面を想像しやすい。グロいけどね。

  • うっかり読み出したら止まらない。淡々とした前半の悪意を鋭く掘り下げた後半の穴がタイミングよく受け止める。

著者プロフィール

1998年作家デビュー。2003年『忘れ雪』が大ベストセラーとなる。『ある愛の詩』『あなたに逢えてよかった』と続く“純恋小説”という新ジャンルを打ち立て、話題となる。著書に『動物記』『ブルーバレンタイン』など多数。近年、『虹の橋から来た犬』がスマッシュヒットとなる。

「2023年 『なごり雪』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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