天使の代理人

  • 幻冬舎 (2004年5月25日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (352ページ) / ISBN・EAN: 9784344006195

感想・レビュー・書評

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  • 中絶について考えさせられる作品。「気軽に」「思い悩んで」「理性的」に中絶に向かう人たち、そして、その人たちを翻意させようとする天使の代理人たち…。重く本質的なテーマを温かなエピソードも交え仕上げている好作品。一般的なことは何とでも言えるが、我が娘が不本意な妊娠をしたら…と考えさせられた。

  • 胎児と母親とどちらが優先されるべきか、考えさせられた。時系列行ったり来たりするのが少し読みにくい。弥生以外の登場人物のその後が気になった。

  • 重いテーマであり、また誤解も生みやすい世界ではあるけれど、
    特殊な事情ではなく、一般人の問題として考えさせられた。

  • 幼い子供を持つ親として感動した

  • 助産婦の冬子が妊娠中期以降の人工死産の介助中に、あってはならないことが起きた。死産のはずの子供が息を吹き返したのだ。けれどその子が生きていたのはわずか1分足らず。
    冬子はそれまで中絶によって奪ってきた子供たちの命への贖罪のために、1冊の本を執筆し自費出版する。題名は『天使の代理人』。
    中絶とはどういうものなのか。中絶手術に繰り返し関わることで、麻痺していく罪悪感。そして息を吹き返したあの子について。
    その1冊の本から、「天使の代理人」と称して中絶を選択した女性を訪れ、中絶を辞めるように説得する、密かなネットワークが生まれていく。

    できちゃったけど、まだまだ遊びたいから中絶した「マーヤ」
    産婦人科医院のミスで中絶手術を取り違えられ、やっと宿った子供を中絶させられた「ユキベー」
    優秀な男の子の母親になりたいと精子バンクを利用して受胎したけれど、子供が女の子であるとわかり、中絶を決めた「トンちゃん」
    ネットの掲示板を通して、この3人が繰り広げる中絶の是非。
    そして、3人と「天使の代理人」との関わり。

    人工妊娠中絶について、問題提起している本。
    山田宗樹さんの作品は、なかなか面白い。

  • 中絶という難しい題材だった。軽々しく「産むべき」とは命は大切だけど、なかなか言えないよなぁ。育てて行く時間の方が遥かに長いし、中絶は悲しい事であるけど第三者が押し付けても責任が取れるものではないし。この「天使の代理人」の行動は正義かも知れないけど、何だか怖かった。もっと違うやり方で良いんじゃないかな?って思った。

  •  助産師として就職しながら、中絶手術も多数介助してきた桐山冬子は、ある妊娠中期以降の人工死産に立ち会い、出てきた胎児が一瞬目を開けたのを目の当たりにしてしまい、今までやってきた己の罪に耐え切れず、退職を決める。そしてこの現状を多くの人に知ってもらいたいと考え、「天使の代理人」というタイトルで自費出版をする。

    主人公の桐山冬子、念願の妊娠の末、人違いによって堕胎させられてしまった佐藤有希恵、キャリアウーマンとして生きてきたが突如子供が欲しくなった川口弥生など、妊娠・出産に対してそれぞれ違う立場・考えを持った女性達がたくさん登場し、それぞれが絡み合うストーリー。今から10年以上前に書かれた本だけあって、今ほど個人情報に関して厳しくないからこそできたであろう“天使の代理人”活動。病院で中絶を思いとどまりそうな患者を見つけたら、家に押しかけて中絶を思いとどまってもらうように説得する…これは正直やりすぎだと私は思うし、本人たちの自己満足に過ぎないのではないかという考えが否めない。気持ちはわからないでもないけれど、生まれない方が幸せな現状もあるだろう。いろんな立場の女性が出てくるけれど、100%賛同できる人間は出てこなかったかなぁ。自分の考えとしては、残念ながら?マーヤに1番近いのかもしれない。

  • 中絶の現場の想像を超える現実に圧倒されてしまった。

    中絶の経験がなくとも、女性である以上生々しい痛みを感じずにはいられない。

    中絶する権利
    それはもちろん必要
    胎児が人間なのか
    法律と倫理観の狭間でのグレーゾーン
    ここに焦点があてられている。
    おそらく海外ではそのグレーゾーンを宗教が担っているのではないか。権利を振りかざしてしまうとそうしても声の大きなところにその権利が集中してしまうように感じる。
    だからといって
    臨まれない出産をしたばかりにある現実もある
    産む事が全てではない
    だからこそ
    考え続ける必要があるのではないか

    女性にはもちろん、男性にも読んでもらいたい1冊。
    そして皆誰かの子供だった事実を思い出してもらいたい。
    「産む」選択をしてくれたことを感謝せずにはいられない。

    2004年 幻冬舎 
    装幀:米谷テツヤ

  • ★★★★★圧倒的号泣作品。妊娠36週での中絶に血の気が引く。出産ではないか。あまりにも衝撃的な始まりにこのまま読み進めらないと思いながらもなんとかページをめくる。助産師とは命が産まれる瞬間に関わることのできる素晴らしい仕事だと思い込んでいた。中絶がそんなに多いなんて。赤ちゃんを助けてと弥生と一緒に願った。土壇場で中絶をキャンセルする強烈な母性を感じた。雪絵も無事に出産でき、弥生の赤ちゃんも無事に成長した。天使の代理人の活動も続いている。私にとって最高のラスト!中絶によって奪われる命が一つでも減りますように。

  • なけることを期待してこの本を読み始めた。
    結果、女性としての生き方を考えるきっかけになれたが泣けはしなかった。感動も違う。
    ただ、中絶がそんなに多いことにショックを受けた。もし自分だったら、と思ったとしてもその選択はしない。今の気持ちはそうだが半年、来年後は分からない。
    結婚や出産をするときはこの本を思い出したいと思う。

  • 妊娠 中絶がテーマの本。女性の方、結婚する前に読んでほしいと思いました。泣いてしまいました。

  • 色々な事情があるから、中絶は認められるべきなのか禁止されるべきなのか、明確に自分の意見をもつことはできないけれど、涙なしには読み進められない小説。
    感情が入って涙がぼろぼろ、という涙ではなくて、
    人として、女性としての、本能?よくわからないけれど、気付けば頬を伝う涙を止められなかった。

    この人の文章は、松子もそうだけど、私の涙腺を刺激しやすいのかもしれない

    命の誕生に立ち会いたくてこの職業を選んだのに、逆のことばっかりで・・・という台詞。
    おごってはいけない。神ではない

    面白かった。

    直後、中絶について真剣に考える機会をもった。
    この本が影響したかはわからないけど、自分ではそういう選択はできない、と改めて強く思う。

  • ぐんぐん読んでしまう。

    「望まれない命はありますか?子供の命は誰のものですか?中絶は殺人ではないですか?」

    ほんとに、いつから"人間"なんだろう。
    妊娠初期の中絶を、軽々しく思ってしまう人に対して、絶対許せない!とまではいかないけれど、この本の中の人みたいに、「腫瘍」なんて扱いされたらサイテイだと思う。

    女の子だからと中期に入って中絶を決めた弥生。
    自分に正直になれてよかった。生まれてくるところ、だーだーと泣けた。

    あーでも、ほんとうに、色々と難しい問題を孕んでいると思う。
    生まれてきて、必ず幸せになるとは限らないし。。。
    だからって、中絶すればいいって簡単にいうのも。。。

  • ううむ…この人の作品は怖いなあ…。やむを得ない中絶もあるだろうし、いろんなしんどい状況の中で子どもを産むのは必ずしもいい結果にならないとは思うけど。胎児をどう捉えるかってこと(価値観とか倫理観とか)の違いについては、私はどーしても腫瘍とは思えないから、ここで交わされてた議論の中ではユキベエに賛成。

  • 中絶問題。中絶経験者が天使の代理人として接する描写がすごい。

  • 何年か前の昼ドラの原作だって、気づいたのは、読み始めてから。
    その昼ドラだって最後まで見てたわけじゃなかったけれど。心に残る内容だった。
    人口中絶の話。中絶する立場のひと、助産師、間違われて中絶させられる女性。それぞれ立場は多用。赤ちゃんが欲しいと思う人と、いらないと拒絶する人。

    むしろ産まれてからが大変なんであって、天使の代理人なんて、中絶をやめようって説得するだけじゃなく、そのあとのほうが重要なんじゃないかって、思う。そういう意味で、なんだかモヤモヤする内容。
    もっと、シングルマザー支援や、若く妊娠したひとと、養子縁組や里親制度にまで踏み込んだ話にしてほしかったと思うのです。

  • 2013 8/2

  • 産むか産まないか、産めるか産めないか、一人一人が違った条件の中で命のバトンを握っています。
    私自身は、命の樹に一枚の葉っぱを残せたと思っています。

  • 中絶が出てくる話で、女性なら是非読んでほしいと思う本。
    できれば結婚前の人に。

  •  この作者は、本当に間口が広い。
    これも、人工中絶の是非についての問題作。
     難しい問題を、正面から扱っている事は評価出来る。
    でも、やっぱり最後は善人になりたいのかな・・・

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著者プロフィール

1965年愛知県生まれ。筑波大学大学院農学研究科修士課程修了後、製薬会社で農薬の研究開発に従事した後、『直線の死角』で第18回横溝正史ミステリ大賞を受賞し作家デビュー。2006年に『嫌われ松子の一生』が映画、ドラマ化される。2013年『百年法』で第66回日本推理作家協会賞を受賞。その他著作に『ジバク』『ギフテット』『代体』『人類滅亡小説』『存在しない時間の中で』など。

「2022年 『SIGNAL シグナル』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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