- Amazon.co.jp ・本 (271ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344006386
作品紹介・あらすじ
2000年に17万人、2003年には40万人。今年、さらに…。「働くことにも学ぶことにも踏み出せない人」が急増している。少子化が進む中、日本経済にも根深い影響を与えはじめた「ニート」。この時代の危機と希望がここにある。
感想・レビュー・書評
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ニート、ひきこもりつながり。
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話題の書なので読んでみた。(昨秋読了)
第1章は統計データ的な記述が続いて退屈。
が、第2章の曲沼氏のルポ以降、現場取材の息遣いが感じられる血の通った文となり、急に面白くなってゆく。
それでも著者は
「大事なことは、ニートの原因を分類してわかったような気になることでは絶対にない」と述べる。
ニートとは何者なのか、ニート増加の原因は何か、といった問い掛けに安易な答えを出すことは出来ないという立場を貫くのだ。潔いではないか。
しかし本書を契機にニートという言葉が一般化してゆくなかで、とりわけテレビメディアにおいてわかり易いニート像が追求されていった一面があることは皮肉である。
最終章の、以下の著者の持論がこれまた印象深い。
「大人は、やりたいことをみつけなさい、自己実現をめざして頑張りなさいと、言いすぎだ。//仕事を通じて夢を実現する大人は、いつの時代も、ごく一握りの人間だ。」
この、自己実現至上主義に対する懐疑の気分は、今後、社会の中で大きな流れとなっていくに違いない。取材者のはしくれとして、私はそう予感している。 -
「在学中、20代後半現在に、仲の良い友達がいない中学高校年間欠席日数21日以上だといニートが多い。」は自分が高校で26日休んでおり現在20代後半院生のため危機感を抱いた。 「職場体験は教室を抜け出すだけの楽しみ。」は納得、大学の教職課程の介護体験実習ですら、お客様扱いで何の意味もないと実感して共感できる。 ただ、兵庫や富山の「トライヤルウィーク」を過信しすぎている感じはある。
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「勉強やスポーツは努力しても変化の実感がない?」は疑問。勉強は塾や予備校で短期間で実力向上を実感できるし、スポーツもしかるべき機関では効果があるだろう。学校・部活至上主義がそう思わせてるだけ。 「バイトならいいが就職活動の履歴書は書けない」は「働くために動き出すことができない」のに重要だと思い共感。自己申告の履歴書やその場しのぎの面接なんかなんで人事は重要視するのか。個人の能力をはかる客観的なものはたくさんあるはずであり人事はそこを見ろ!なんで求職者が企業や人事の重要を見なければならないのか!怒 -
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しばらく前に読了した。
仕事を探し始めた人は、既にニートではないのでは?
中学生は当然ニートではないし。
まあ、そんな感じもしたんですが。
仕事に就きそびれてしまった人たちが、就職を考え始めた時のあれやこれや、と言った所は興味深かった。 -
12081.
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『ニート』という言葉が(半ば過剰に)浸透している今になって読むと、ちょっと薄いような、都合が良すぎるような印象も、ほんの少しある。でもニートを知りたいなら、ぜひぜひ一読する価値ありだと思います。
この直後に、あるいは交互に、『ニートって言うな!』を読むのがお勧めです。 -
ニートと言う言葉がはやりだした頃に書かれた本だったと記憶している。
古本屋さんで見かけたので買って読んでみたのだが、なかなか興味深い。
今では「恋愛ニート」などと分けが分からない所にまでニートの名が及び、すでに本来のニートの意味を失っているような気がする
人間は社会的な動物であるから、限りなく社会に反応する。
その反応の一形態がニートなのだろうと考える
もっとも、それは昔から存在した。この本でもニートの諸原因は昔から存在していることに言及しているが、昔からニートがいたことには触れていない。
夏目漱石の作品に出てくる「高等遊民」は今で言えば間違いなくニートに該当するだろう。
この本で指摘しているニートはニートの真実をつかんではいない。
が、昔から存在したニートが今問題になっている原因は「正社員の神格化」だろうという点には同意する。正社員が安定していて、フリーターが不安定だというのは、正社員が安定していると思っている点に誤りがあるという指摘は正しい。
人間は社会的な動物であるから、社会に反応する。
先ほどはその反応の一つがニートを生み出していると述べたが、別の言い方をするならば、その見る側の反応として、そのような生き方をニートと分類する社会となっているといえる。
ニートとは何なのか?それは決して「今」を切り出して把握できる者ではない。たかだか100年にもならない働き方を見たところで、人間に取って労働とは何かが理解出来るわけがないのと同じだ。
この本は「今」だけを切り出している点で失敗している。が、その指摘には見るべき所がある。
労働の歴史から働くとはいかなる事かという点で書かれた本が読みたい。少なくとも私の興味の端っこをつかまえるのには訳だった。 -
読む前は、これが「ニート」という言葉を広めた1冊か、くらいの認識だった。
必死にもがいている人たちを、一言でカテゴリー化する元となった1冊。
あまり良い印象は持っていなかった。
しかし、読んでみると予想外の内容。
就職の入り口や出口に、ちょっと違いがあるだけだ(239ページより引用)
この1文が心に響いた。とても温かみを感じる本であった。
ニートを社会問題としてさらし者にするために、この言葉が生まれたのではない。
何とかこの状況を打開しようと、「ニート」という言葉を用いて一般化しているのだということが感じられた。
そう考えると、いかに現在の「ニート」という言葉の使われ方が、筆者の意図からそれているか…。
6章のうち2章を使って中学2年生時に行う職業体験について述べているが、個人的にはさほど説得力はないように感じた。
確かに、人とのかかわりで成長のきっかけを得られることは多い。
しかし、そこまで職業体験が重要なのか?
私の中で今のところその答えはでていない。
非常に興味深かったのは、現在ニートである若者や、ニートの経験があるが今は働いている方へのインタビューだ。
「小さなことでも良いから納得したい」「お金のためでなく、本当の意味で人の役に立つ仕事がしたい」というこだわり…まさしく自分に当てはまる。
あぁ、自分は今少し前を向けているけれど、以前はニートだったのかもしれないと思った。
筆者も述べている通り、ニートといっても1人1人が生きている状況は様々であるから、「こうしたらニート問題は解決する」なんて軽々しく言うことはできない。
でも、自信や人とのつながりが大切だというのは、実感として納得する。
1人で頑張ろうとせずに、周りの人の肩を貸してもらいながら、たくさんお世話になりながら、生きていければいいんじゃないかな。