雨の降る日曜は幸福について考えよう Think Happy Thoughts on Rainy Sundays
- 幻冬舎 (2004年9月10日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (239ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344006713
感想・レビュー・書評
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日経新聞日曜版にこんなコラムがあったとは。この期間、きちんと購読していたはずなのに読んでなかったんだなぁ。今なら橘玲さんといえば迷わず飛びつくわけですが、知らなかったことを恥じるばかり。身も蓋もないでしょそれ、っていう論はたくさんあるものの皮肉っぽくなく伝わってくるこの淡々さが素敵です。きちんと金融リテラシーを身につけないと大変なことになるよ、ということが嫌味なく書かれている本。社会人は必読です。
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f.2023/11/29
p.2004/9/17 -
読もうと思った理由
著者の書かれる世界、考え方が面白いし、題名に引かれたから
気づき
・個人の優位性を「エッジ(刃)」という。誰もが自分の
エッジを持っている。人的資本への投資とは、試験で
よい点数をとったり、資格の数を増やしたりすること
ではない。自分だけのエッジを研ぎ澄ますことだ
・民主主義ってそんなにすばらしい?
・旧来の価値観が解体し、急速に変わりつつある世界の
中で、自分と家族の人生にとって最適なポジションを
確保すること。複数の選択肢から自分の人生を選ぶ自
由を手放さないこと。「経済的独立」という目標に至
る道は人それぞれだろう。それは困難であっても決し
て不可能ではない
著者の教科書的ではない、時代を独自の切り口で見る、その考え方、たとえのわかりやすさは大変参考になります。本書もまさに雨の降る日曜に読みやすいですが、考えさせられながら読みました。 -
橘さんの本は好きだが、やや退屈
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『知的幸福の技術』というタイトルで文庫化されている。雑誌連載をまとめたものなので、情報量は少ない。
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雨の降る日曜に、幸福について考えようとは、惹きつけられるタイトルだ。普段の雨の日の日曜には、何をしているだろうか。家の中でボンヤリと静養する。それは、資本家が労働再生産のために与えた余暇であり、翌週の活力を蓄える時間だからだ。理不尽だらけの社会制度。橘玲の友人が自殺した所から、この話は始まる。
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ニューヨーク市には日本全国のホームレスを上回るホームレスが存在するのに旅行者がその姿を見かけることがないのはDHSという民間に委託した福祉施設に保護されているからだという。それも毎年の調査により、ホームレスに支持されない利用度の低い施設は援助を打ち切られるという、合理的なシステムだ。
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デモクラシー(民主制)は、参加者が自由に意見を述べあい、多数決で決める仕組みだ。五人の仲間で食事に行くことになったが、居酒屋かフランス料理かで意見が分かれた。いつもの3人が居酒屋を選んだとするとフランス料理を食べたかった2人も騒がしい店でチューハイを飲まなくてはならない。多数決原理では「多数者の専制」を解決できない。一方、私たちには民主制以外の選択肢はない。誰もが納得する決定は、王や神の命令ではなく「主権者」である国民から得るしかない。社会を構成する「多数派」の良識と公共心に期待するほかないのだ
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滞納した管理費、積立金は5年までしか請求できない。
「人は常に他者の承認を求めて生きている」ヘーゲル
人はだれからも承認されない人生を堪えることはできない。
自殺志願者に安楽死を。オランダに行く。
公務員は障害者に席を譲れ
財政再建は覚醒剤(マリファナなども)合法化で。非合法ビジメスを合法化して、税金を取ると同時にレントをなくす。
所得税をなくして人頭税にする。徴税の人件費がなくなる。 -
タイトルが私の目を引きつけた。
面白そうだ・・・。
少し読む。
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東大卒業後、アメリカの名門大学でMBAを取得し、30代で外資系メーカーのトップに立ったT氏。
彼が1年の療養の後、ある中堅会社の経営再建を託された。経営再建、それは不要人員の削減に他ならない。
T氏は初日から異様な雰囲気に気が付いた。
新しい会社で彼が出会ったのは、リストラされれば行き場のない追い詰められた人々だった。
やがて、T氏の自宅にいたずら電話がかかってくるようになる。
2か月後、T氏は辞表を提出した。執拗な嫌がらせに屈したわけでも、汚れ役が嫌だったわけでもない。
自分が辞職し、道を譲ったのは、「正義が相手にあったから」だという。他に選択肢のある自分が道を譲るべきだろう、と。
T氏の選択は正しかったのだろうか。
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陰鬱でいて、シニカルな明るさがある。
独特な文体。
著者は世間でいう常識の隙を見逃さない。
「宝くじの一番の魅力は、金を払って券を買う以上に何の努力もいらないことだ。世の中にこれほど公平なギャンブルは他にない。」
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アンデルセンの「裸の王様」では、男の子の「なんで王様は裸なの?」の一言をきっかけに群集は笑いに包まれ、王様は赤恥をかくことになっている。しかし、現実にはそんなことはおこらない。周囲の良識ある大人が男の子をしかりつけ、何事もなかったかのように祭りは続くだろう。
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年金問題、経済問題に対する著者の指摘は特に鋭い。
一見暴論に見えるような斬新な理論の中に一定のカリスマ性がある。
「長生きするリスクを個人に負わせるのは無謀だという議論もあるだろう。ならば、平均寿命を超えた時点から年金を発生させればよい。想定可能なリスクは自己責任で管理すべきだ。」
「高利貸しが債務者にできることは多くない。強制的な取り立ては難しい。だから彼らは説教する。「貸した金を返せ、約束を守れ」と。高利貸しの最大の武器は皮肉なことにも道徳的な正しさにある。」」
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中でも私が最も感心したのは公務員についての以下のフレーズだった。
「公務員よ。席を譲れ。」
一見すると、公務員に因縁を付けているようにみえるが、著者は違う意味を込めている。
ある日著者は、「公務員ほど障害者に適している職業はない」と気が付いたという。公務員は利潤ではなく、国民の幸福を追求するから、競争社会には適さない障碍者にとってもハンデは少ない。それなのに、健常者が何故、公務員の席に座っているのか。(健常者の)公務員よ、(障害者へ)席を譲れ!ということだ。
面白い意見だと思った。
最後に参考文献が紹介されているのもいい。
著者の知識がしっかりしていると著作の文章に重みが出る、気がする。 -
ところどころに違和感を覚える。
特にマイホーム購入をハイリスク投資というところ。例えば結婚の収益率を考える人がいるだろうか。例えば子供をつくる時にリスクとリターンを考える人はいるだろうか。
素敵なタイトルだったので期待したぶん少し残念。『幸福について考える』と言う割りには水たまりのような浅さだったかんじだ。
まぁ気軽に書かれたエッセイなのであまりつっこむのもどうかと思うが。 -
不合理な常識から一歩引いて、世の中を見つめてみたい人におすすめの本。
経済について、社会について、冷静で合理的な見解が簡潔に述べられたエッセイ。1節を読み終わるごとにスッキリした感じがする。 -
幸せになるには、自由、愛情、正義など様々な価値観がある。愛情や正義に関して語っても、できの悪い宗教家の説教程度にしかならない。それに比べて、自由(特に経済的な自由)に関してはものさしが一通りで、話が単純になる。そして、安定した人生の土台なしでは、いつ崖っぷちから転がり落ちるかわからない。
厚生年金を払わずに、国民年金を払う
所得税を抑える
出張を中心に生活する -
著者の独特の立ち位置から社会を洞察し、我々に生きるヒントを与えてくれる良著である。
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・なぜ手にとったか
橘玲氏の初期の頃の本を読んでみたく購入した。
・どんな本か?
幸福とは何か。「幸福の法則」と「正しさの本題」の2分構成になっている。
前半は人生やおもに経済に主眼を置いた幸福についての著述があり、後半は日本国内の様々な仕組みの中の正しさについて述べられている。
社会人ならば一読すべき内容だと思う。
・ほう、それで?
この世の中は漫然と過ごしていると騙されてしまう仕組みになっている。
しかも大半の人が騙されて巻き上げられていることにすら気づいていない。
住宅ローンや宝くじ、保険などを例にとてもわかり易く説明されている。
不動産などはその最たるものだと自分でも思う。
身近な例として、自分でも最近不動産の売買を行ったが、購入時に物件本体の価格の他に税金や登録料をふんだんに取られて、また売却の時にも登記の抹消や不動産業者に支払う仲介手数料などがかかる。
居住中にはもちろん住宅ローンの金利も加わるため、新築の住宅をローンで買う、とはいかに馬鹿げたことか身に沁みて理解した。
何事も自分で経験して痛い目にあって、あとでそのカラクリの説明を読んだり聞かされたりしたらその仕組が髄まで理解することができる。
住宅ローンに限らず他のあらゆる面の世の中のカラクリがわかりやすい例えで説明されている。
著者は税金でさえも日本国から購入するサービスの対価だと言い切る。
この表現は的を得ていると思う。
また文脈は起伏の少ないものとなっており、タイトル通り、雨の降る日曜日に読むには適した本だといえる。
・それでどうすんねん?
自分自身はもう住宅ローンを組むことも馬鹿な保険を買うこともないだろう。
自分自身の出費に関して、もっと真剣になろうと思う。 -
人生の選択肢を持つこと。
複数の選択肢から自分の人生を選ぶ自由を手放さないこと。
自分の人生設計について、改めて深く考えるきっかけになった一冊。 -
ごく自然な形で多くの人が意識していないであろうという、社会の矛盾をひょうひょうと書き出した本。
自分自身には目新しいものはありませんでしたが、初見という人も多いのではないでしょうか。 -
良書。
タイトルからして自己啓発的な内容かと思いきや、非常に現実的な経済論が淡々と述べられている。
「経済論」というと学術書のような印象になるから、「経済について著者が考えていること」と言い換えた方がより正確かも知れない。
(評価の★を一つ減らしているのは、僕が経済について詳しくないため、本書に書かれていることがどこまで正しいか分からないから、という理由)
出版されてからかなり時間は経っているけど(初版は2004年)、書かれているのは経済の基本的な考え方ばかりなので、あまり古さは感じない。
むしろ、ここに書かれてある予言めいたことが現実味を帯びてきているような気さえする。
「こうするべきだ」とか「この考えは間違っている」とか、そういう類の表現は一切出てこない。
本書で一貫しているのは「私はこう考えるけど、決めるのはあなたですよ?」という、問いかけの姿勢だ。
取り上げられているテーマは、簡単には決められないことばかり。
だから普段は目を背けてしまいがちだけど、だからこそ「考えるべきだ」と本書は言い聞かせてくる。
そして「決めるのはあなただ」と。
ちゃんと考えないとなぁ。自分で。 -
●概要
・日本人の人生はどのような制度的・経済的要因によって規定されているか?という土台を語る人世論。個人の自由を最大限に尊重する「リバタリアニズム」の立場に基づく。
・(現状)マイホームや年金などの旧来型の幸福の前提が崩れた。
・(対応)ささやかな幸福を実現するための、ほんの少しの知識と技術を身につけよう!
・(展開)著者は、世界のどこであれ好きな場所で暮らすことのできる経済的な自由を手に入れたいと望んだ。
・人生の経済的な側面に自覚的であれ!
●(人生と経済)
・国家にも企業にも依存せずに、自分と家族の生活を守ることのできる経済的基盤を持つことを「経済的独立」と呼ぶ。人生を経済的な側面から眺めるなら、その目的はできるだけ早く経済的独立を達成することだ。
・人生を経済的な観点から眺めるなら、その目的は有限の時間と限られた資源の中で効用を最大化することにある。
●(自由と幸福)
・幸福のかたちに諸説あっても、「自由」が幸福の条件であることに異論のある人はいないだろう。奴隷が幸福になれないのは自由を奪われているからだ。私たちは自分自身の支配者であり、誰もその権利を犯すことはできない。
望まなくても、老人になれば金融資産からの収入で生きていくしかない。
それなら、もっと早く労働資産から開放されてもいいんじゃないか?
と、こんな視点で考えてみると人生の選択肢が増えてくる。
私は日本にいてもいいし、シンガポールにいてもいい。
一日数百ドルの豪遊をしたっていいし、1食1ドルの屋台で食事をしてもいい。 -
カバーのデザインが好き。世の中の仕組みをわかりやすく説明している。