半島を出よ (上)

著者 :
  • 幻冬舎
3.71
  • (282)
  • (285)
  • (558)
  • (18)
  • (6)
本棚登録 : 1982
レビュー : 312
  • Amazon.co.jp ・本 (430ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344007598

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 呑気にこんなレビュー書いてる場合じゃないな!!というくらい、現実的かつハードな一冊。でも正直、いつこんな事態になってもおかしくないんだろうなー。自分だったら、どうしよう?

  • 久しぶりに読み返した。舞台が自分が住んでいる街で、しかも自分が設計した建物も出てくるのでリアリティたっぷりに入り込んでしまう。

    この小説を読みながらイライラしてしまうのは、日本政府の対応があまりにリアルで、しかもきっと有事の際にはこんな対応するんだろうなというのが文章になって描かれているからなんだな、と改めて思った。

    「責任逃れ」という言葉が頭に浮かぶ。自分の日常も責任を全うする作業と、それ以上にリスクヘッジという名の「責任逃れ」のための作業に忙殺されている。自らが背負うべき責任に対してどう向き合っていくかということを考えさせる1冊。上巻読むだけでもヘトヘトになる・・・

  • 愛と幻想のファシズム→コインロッカーベイビーズ→希望の国のエクソダス→半島を出よの順に見ると吉。

    九州を占拠した北朝鮮特殊部隊と、それに対するアウトサイダーな少年たち。

    極端の危機的状況を生々しく描くことで、現代日本が孕むシステム的弱点と、マインド的弱点を浮き彫りにする龍イズムにはいつもながら感服。

  • ハードカバーでこれだけ容量があると、なかなか読み終わらないまま
    放置しちゃうわ。

  • ■とにかく、情報・描写が細かい。
     グロいシーンもあるので、読みづらい点も多々ありました。
    ■日本って本当に平和で、平和ボケしている国かもしれないな。
     村上龍の本は好きだし、ベストセラーにもなって評判は良いみたいだが、
     私にはあまり向いていない本でした。
     好きではないシーンは流し読みしてしまった…。

  • 中学、高校時代に没頭した村上龍さんの作品を久しぶりに読んでみた。
    もうおなかいっぱいくらい龍さんの作品は読んでいたけど、
    この作品は気になりつつ、まだ読んでいなかったのよね。

    『愛と幻想のファシズム』を思い出させる、
    かなりリアリティのある内容に、引き込まれながら、
    「龍さんの作品って、そんなに映画化されてないのって何でだろ?」
    っていう問いが、
    そりゃそうだな、こりゃ。
    って途中から理解しだしたりして。

    別々のシチュエーションから全てが繋がっていく瞬間から
    もう止まらなくなって、結局朝まで読んでしまった系の小説でした。

    それにしても、よくぞここまでお調べになられたものだと感心。

    長編でしたが、読み応えあり。

    やっぱり龍さんの作品は好きだな。

  • 近未来(2011年)、北朝鮮の精鋭部隊9人が福岡に潜入、
    福岡ドームでの開幕戦、観客3万人を人質に、独立を宣言。
    経済的に疲弊し、国際社会で地位も凋落した無力な日本政府に為す術がなく、
    何ひとつ手を打てないまま、空路第二陣500人の侵入を易々と許し、
    福岡は制圧されてしまう。
    さらに九州全土制圧を目指して12万人の船団が迫る中、
    日本はこの大ピンチをはね返すことが出来るのか。

    と、おおむねこのような話です。かね(ぇ?)。
    どっちかと言うと悪ふざけだった「昭和歌謡」に比べて、
    全編シリアスで、良く練られたしっかりがっつりの超大作。
    でも、「昭和歌謡~」と、よく似てます。これも、破壊による突破でしょう。
    ただ、とても良く出来た物語に上手に組み込まれていて、
    特に下巻、見事なエンターテインメントになってます。
    上巻は、政治小説、社会小説のような様相を呈しているのですが。

    人質を取られれば、世論を恐れて手も足も出ない日本政府とか、
    結局、東京には影響がないから、と九州を切り離しかける空気とか、
    占領軍の資金として、資産のある犯罪者から巻き上げるやり方が、
    庶民からは微妙な支持を受けるとか、ブラックで皮肉でリアル。

    自分にとって、この本の大きな魅力の一つは、北朝鮮の人の描写。
    このまま鵜呑みにするつもりではないですけれど、
    今まで、何をどんな風に考えるのか全然掴めなかった、彼らの心や価値観が、
    おぼろげに輪郭をなぞれそうな程度には、理解できそうな気がした。
    と言っても、似通った外見をしていても、日本人とは発想も価値観も全然違う。
    同じ風景を見て、同じ気持ちで同じものを目指すのには遠く、難しそうだった。
    そもそも、日本人が正しくて彼らが間違ってるっていうわけでもない。
    で、当たり前だけど、彼らにも大事なものがあり、愛する者がいる。
    生活があり、習慣があり、子ども時代があり、来た道がある。
    仲良くなれるとか分かり合えるとかいうことでなく、彼らを近しく感じられた。

    もう一つは勿論、結果的に侵略者に立ち向かうことになる集団の魅力。
    「昭和歌謡~」の生き残りのイシハラは、おじさんになり、
    福岡で、社会に適応できない、犯罪傾向のある少年たちの面倒を見ている。
    傾向っていうか、何人かの子は、すでに人を殺してる。
    彼らの不的確者ぶりの描写が秀逸だと思う。
    生い立ちが不幸すぎて病んでしまった子もいるが、
    ただただそのように成ってしまった子もいる。本当にいるのだろうなと思う。
    この話は良くできているので、彼らの破壊衝動がこんな風に、
    結果としては日本全体、多数派社会全体への利益になっていて、
    みんなにとって読みやすく共感しやすい成り行きなのは、それで良いと思います。
    自分も結局は多数派の発想だから、迷わず彼らに気持ちを寄せられた。
    登場人物が多すぎて、ひとりひとりには感情移入しきれないが、
    それでもなお、遠くいとおしさを覚える場面はあった。
    上手に生きることの出来なかった彼らの、大切なコミュニティと美しい時間。

    終盤にほんのりと置かれた唯一のラブストーリーは、サービスし過ぎとも思うが、
    まぁ、一筋の希望の例として、悪くはなかったです。
    もうひとつ、老医師のエピソードも、出来すぎと思いつつ、やられた。
    涙目になった。だから仕方ない、良かったです。

    「昭和歌謡~」のほうがシンプルでピュアかもしれないが、
    私には、非常に濃く得るものの多い、愛を感じる大傑作でした。

  •  うちに単行本があるけど電車で読むには重いので、文庫になるまで待ってました。でも、文庫になっても分厚くて重かった。。

     2011年。経済は傾き、ホームレスが急増し、すっかり弱りきって勢いのない日本。ある日突然9人の北朝鮮コマンドが九州に上陸し、瞬く間に福岡の中心地を制圧。そして数日後には12万人もの後続部隊が到着するという。さあどうする!?慌てふためく日本政府、中央に不信感を抱く九州の人々、着々と福岡を制圧していく北朝鮮。。。

     よくも悪くも平和ボケした日本がこんな状況下に置かれたら一体どうなっちゃうの?っていうのはとても興味深いテーマでした。実際今こんなこと起きたら、安倍さんどうするんだろうな。

     総理大臣はじめ多くの官僚や役人が不眠不休で対応している・・・ように見えて、何を最優先させるのかがハッキリせず、ただやみくもに情報収集したり指示を出したり。対応しているように見えて実は何も進んでない。戦う決意もできず、かといって何もしないわけにはいかないし、とりあえず九州を封鎖することでその場をしのぐだけの腰抜けニッポン。

     なんてイラっとしてはみたものの、ホントにこんな状況になったら、どうしたらいいのかなんて誰にもわからないし動けないだろうなぁ。国と国との争いからすっかり遠ざかっている平和な日本は戦い方なんてわからない。それに対して、日々厳しい訓練をつんで、肉体的にも精神的にも強靭な北朝鮮。体当たりで戦ったら勝ち目ナシ。ホントどうしたらいいんだろな。。

     それにしても、けっこうキツいシーンがいっぱいありました。そこらへんは読み飛ばしてみた。映像化はしないでいただきたい。

  • 下巻感想参照

  • いまはまって読んでる小説がある、村上龍の「半島を出よ」だ。
    出版されてから久しいが、文庫本になったら読もうかなって思ってたのが、
    最近の北朝鮮事情も気になって、なんだかとっても読みたくなった。
    ほんで、ブックオフにて単行本上下巻を半額の価格で購入。

    村上龍の作品で一番好きなのは
    「コインロッカーベイビーズ」それと「愛と幻想のファシズム」
    前者のラストは漫画「アキラ」のラストシーンを想起させるし、
    後者は政治経済という要素が作品のモチーフとして非常に良かった。
    設定などもある意味、今回の「半島を出よ」に通じるところがある。

    その他、なに読んだかなあ、と羅列してみると、
    「海の向こうで戦争が始まる」
    「コックサッカーブルース」
    「超電導ナイトクラブ」
    「五分後の世界」
    「ヒュウガ・ウイルス 五分後の世界Ⅱ」
    「イン ザ・ミソスープ」
    この「イン ザ・ミソスープ」が出版された1998年以降、
    なんだか飽きてしまい、読まなくなったのだが、
    今回の「半島を出よ」は、福岡が舞台で、
    北朝鮮が侵略してくる近未来小説だけに、
    なんだかとても読みたい衝動に駆られてしまった。
    しかし、単行本を買ってまで、というのがあって、
    まあ文庫本が出てからでいいかあ、って思ってたんだけど、
    我慢できなかったわけ。

    そして、読み出して現在上巻の半分過ぎたあたりで、
    ここまでで気づかされたことが2点あった。

    ひとつは、中国にとって朝鮮の南北統一はあまり望まれていないということ。
    それは、朝鮮が統一された場合、当然共産国家ではなく民主国家になるだろうし、
    その場合、韓国側につくアメリカが朝鮮と中国との国境線上で脅威となる。
    つまり、いまは北朝鮮があるからアメリカと国境線で直接対峙せずに済んでいる、
    という理屈である。
    だからこそ中国は6カ国協議の議長国を率先して行い、
    統一のシナリオに対してイニシアティブを取りたいのだろう。

    もうひとつは、中国、朝鮮を含む東アジア地域の人々は、
    日本人を過去の大戦での残虐な侵略者として恨みを抱いてる半面、
    あの小さな島国が大国アメリカに対して同等に戦い、
    原爆2個落とされるまで粘り強く戦い続けたということに対する敬意
    も同時に持っており、いまでも大和魂を持つ日本人をイメージしている、
    ということだ。
    大きな勘違いではあるが、しかし中国や朝鮮がこぞって、
    靖国参拝などで猛烈に反発するのは、
    右傾化する日本人に対する恐怖であるのかもしれない、と感じた。

    ところで、この「半島を出よ」は福岡の人間にとっては
    非常にリアルに感じると思う。
    最初の襲撃場所の福岡ドーム(いまのヤフードーム)はもちろん、
    福岡を舞台にストーリーは展開していく。

    オープニングは、テロリストグループのひとり“ノブエ”が住む川崎から始まる。
    このノブエの相棒が“イシハラ”で、福岡に住んでいる。
    もともと福岡で商売をしていた関係らしい。
    この2人は、読んでないが「昭和歌謡大全集」でおばさんグループと戦った
    オタク少年グループにいた2人と同じ名前である。

    第4章「待ち受ける者たち」で、福岡が登場する。
    イシハラやそこに集まった少年たちが暮らす場所は、
    おそらく西区のマリノアがある辺りか豊浜の辺りだと思う。
    〝森の神社〟は愛宕神社を指している。
    〝ゴースト化した建て売り住宅街〟は愛宕浜だと思う。
    〝埋立地の突端の女子高〟はまぎれもなく福岡女子高校である。
    そして、その横には北朝鮮の先鋭部隊9名が最初に上陸する能古島と繋ぐ
    能古渡船場がある。
    〝ゴーストタウンのような商店街〟は姪浜商店街だ。

    以前、ぼくはマリノアで働いてた関係で
    この辺の地理が具体的に見えてきておもしろい。

    この後、北朝鮮の先鋭部隊は、能古島からフェリーで上陸し、
    シーホークホテルに滞在し、隣の福岡ドームを襲撃するのだ。
    そして、福岡を制圧した北朝鮮の偽反乱軍に対して、
    日本政府は福岡を捨ててしまうのだろう。
    孤立した福岡の中で、すでに孤立しているイシハラグループは、
    制圧した北朝鮮の偽反乱軍と戦うのだろう。

    ネタバレを含む読後感想は下巻に続く・・・

全312件中 91 - 100件を表示

著者プロフィール

1952年長崎県生まれ。76年に『限りなく透明に近いブルー』(第75回芥川賞受賞)でデビュー。2003年には、514の職業を紹介した『13歳のハローワーク』が125万部を超えるベストセラーに。財政破綻した近未来日本を舞台にした『半島を出よ』(05年)では野間文芸賞を受賞。10年には『歌うクジラ』(毎日芸術賞)を電子書籍として刊行。 近著に『55歳からのハローライフ』、『オールドテロリスト』などがある。16年に『日本の伝統行事 Japanese Traditional Events』を刊行。

「2018年 『収録を終えて、こんなことを考えた』 で使われていた紹介文から引用しています。」

半島を出よ (上)のその他の作品

村上龍の作品

ツイートする