半島を出よ (上)

著者 :
  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (430ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344007598

感想・レビュー・書評

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  • 北朝鮮の特殊部隊が福岡ドームを占領する。 それに合わせ、4個小隊が福岡空港を占領して、4個師団が九州を封鎖占領する。 というありえない小説。 ただ、この近未来小説は、日本が落ち行く姿を描いている。 それだけは当たっていそうだ。

  • 初めて村上龍さんの小説を手に取ったのですが、いやー、なかなか難しい!ひとえに僕の頭が追い付けないだけなのですが、北朝鮮の政治事情や占拠の流れなど複雑。それと同時にちょっとお堅い漢字が多すぎやしないかなー、なんて思ったりも。肩書やお役所名で数十ページはいけるんじゃ(笑)そのぶん、圧倒的に現実感があって、現実のニュースを見たときに「あれ、なんで福岡が占拠されてないんだ。。」と一瞬本気で思っちゃいました。僕は九州人なので他人事ではないのですが・・。

  • 2005年に発刊された本で、村上龍氏によって書かれた本です。フィクションのジャンルにはなりますが、村上氏が膨大な時間・労力をかけた上にできあがった力作です。

    北朝鮮の反乱軍を装ったテロリストが、先遣隊9名で、プロ野球開幕戦が行われている、福岡ドームを占拠し、その数時間後には輸送機数十機で、先発隊500名が上陸。彼らが、市長・知事に独立を宣言させた後に、不正に蓄財している人から財産を寄付させることで経済力も蓄えていく、といった話が上巻の内容です。最初は脅されていて恐怖心から反乱軍の命令に従って、徐々に多くの人が積極的に協力するようになる人々の心の変化は興味ありました。

    以下は気になったポイントです。

    ・日本には核爆弾の製造技術はあっても、搭載攻撃手段がないことに、目をつぶっている(p40)

    ・財政破綻寸前の預金封鎖、外国為替及び外国貿易法の改正による海外資産凍結、インフレと金融不安、あらゆる経済活動の縮小と大量の倒産・失業、国債の暴落、外貨準備高の減少、いずれも放っておけば破綻すると言われていたこと(p179)

    ・日本には七千近い離島があり、その中の423の島に人が住んでいる(p182)

    ・政治家は常に少数を犠牲にして、多数を生かすという宿命を負っている(p244)

    ・反乱軍がそのまま共存されながら迎え入れられたケースは多い、アレキサンダー大王、ローマ時代、明の時代、チンギス・ハーン、ソ連についた政権に反乱してドイツ軍と共存したフィンランド旅団、ナチスに懐柔された傀儡政権に反乱してドイツ軍と共存したポーランド軍など(p258)

    ・旧ソ連はアフリカや中東に、国籍・軍籍を剥奪した特殊部隊を送った。捕まっても捕虜ではなく傭兵やスパイ、として扱われる。ジュネーブ条約の適用受けないので、処刑されて遺体が母国に戻らない(p294)

    ・危害を加えるつもりは無いが、共存に敵対したり、軍事的攻撃や暴力的犯行、有害な宣伝活動には処罰を与える。これは、アフガニスタンやイラクに侵攻したアメリカが、クウェートに侵攻したフセイン、旧日本軍が満州に侵攻したとき、フランスがアルジェリア、イギリスがインドを、イスラエルがパレスチナへ、ヒトラーが東ヨーロッパに侵攻したときも(p312)

    ・耕作と家畜飼育は軍服ではなく作業着で行われていたので、階級もあいまいになり規律が乱れた(p406)

    2015年12月8日作成

  • 我が街、福岡市なおかつ近所が舞台なので、登場する通りや施設などリアルに感じれワクワクする。
    下巻が楽しみ。

  • リンチ描写が、、、。
    ちょいちょい説明飛ばしながらやっとのこと読了。
    それにしても日本ボロクソ言われてますね。
    下でどうなるのか楽しみ!

  • 丁寧に取材し、構成された力作。個々の章、場面が楽しめる。ただあっけない幕切れはスリルあるが興ざめ。

  • 〈内容〉北朝鮮のコマンド9人が開幕戦の福岡ドームを武力占拠し、2時間後、複葉輸送機で484人の特殊部隊が来襲、市中心部を制圧した。彼らは北朝鮮の「反乱軍」を名乗った。

  • 巻頭の登場人物紹介が厖大でびびった。

  • 記憶違いかも、だが。高校生の時に読んだ
    コインロッカー・ベイビーズ以来の龍先生の作品。
    当時、高校行き帰りの電車の中で、
    将来の予言書的だと友達と批評しあった。
    個人的には最後がすっきりしなかったような記憶がある。
    本作は、ずっと読みたかったけれど、
    腰がひける厚さで延び延びに。
    今回、入院を機に、ナイトキャップ代わりに、と。
    読みはじめて発行年月日をすぐに確認。
    2005年、平成17年に、2011年、平成23年3月(イントロ除く)
    からの近未来を書いた作品。

  • 父親からプレゼントされ読み始める。
    登場人物紹介で、いきなり圧倒されたが読み始めると意外に混乱しない。
    的確な情景の描写と心情のリアルさがダイナミック。
    上巻の途中なので下巻が楽しみ。

著者プロフィール

一九五二年、長崎県佐世保市生まれ。 武蔵野美術大学中退。大学在学中の七六年に「限りなく透明に近いブルー」で群像新人文学賞、芥川賞を受賞。八一年に『コインロッカー・ベイビーズ』で野間文芸新人賞、九八年に『イン ザ・ミソスープ』で読売文学賞、二〇〇〇年に『共生虫』で谷崎潤一郎賞、〇五年に『半島を出よ』で野間文芸賞、毎日出版文化賞を受賞。経済トーク番組「カンブリア宮殿」(テレビ東京)のインタビュアーもつとめる。

「2020年 『すべての男は消耗品である。 最終巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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