- Amazon.co.jp ・本 (346ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344010291
感想・レビュー・書評
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たんたんと歴史が語られているようです
でも、バテレンサイドからの視点が語られている
のは最近の研究の成果ですね詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
歴史小説の第一人者といわれている津本陽氏が書いた織田信長である。信長の幼少の頃からの伝記が書かれているのではなく、信長が抱いた壮大な国家構想が述べられている。極めて少ないとも言われる信長の歴史資料を丹念に拾い集め、鋭い考察を加えている。海外の情報は、南蛮から布教に訪れた宣教師ら、また異国との貿易に性を出す貿易商や航海者など、信長の目を通じて当時のアジア情勢などが語られている。
信長の特徴的なことを、小説の中から一部抜粋してみよう。
「彼は常識を無視し、面目、体面をまったく気にしない。彼の行動を律するのは、徹底した合理主義であった。状況判断には感情はまったく入らない。前例にとらわれず、余人の考え及ばない効果的な手をうって、着実に前進していった。」 -
津本陽の信長は「下天は夢か」「本能寺の変」を読んでいます。同じ作者ですから重複する部分が多く、新しいのは海外への野望描写でしょう。
少年時代の愛読書に井上靖の「蒼き狼」があり、ジンギス・ハーンに憧れました。信長と比較する人物なら彼じゃないかと思います。冷徹さでは信長が上かも。人よりも歴史の動きに主人公への判断を読者に委ねるような突き放した部分、けっこう好きです。確かに信長こそ革命児であり、孤独な天才だったんでしょうね。
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もし本能寺で信長没しなかったら本当にやってのけてしまいそうな物語でした。常に先を見つづけて既存の腐った制度を破壊し、新たな制度を構築していく。そんな現在に最も求められている人物ではないかと思いました。その一方で人間の性とでもいうのか、権力や金を手にした傲慢さも持っており腐った人間の一面も描かれていて楽しく読めました。