- Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344011281
感想・レビュー・書評
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田植え合宿に行った先の管理人(?)の方が出版してた本。少し興味があったので、購入した(半分衝動買い><。)
この本は「完璧な社会なんてない」ということと「ハコは関係なく、持続可能な暮らしはどこでもできる」ということを述べている。本の第一章には「ユートピアを訪ねて」という名前が付いている。所謂「ユートピア」のような認識を持たれているエコビレッジなどの集落を彼が尋ね歩き見たものは、一般的に認識されている姿からはかけ離れた、リアリティ溢れる「社会」の姿だった。
語り手である著者がオーストラリアのエコビレッジやパーマカルチャーを取り入れたり、コハウジングを行ったりしている集落をいくつか訪ねる。正直エコビレッジ、パーマカルチャー、コハウジングという単語の詳細な違いについてはよく分からないが、どこの集落にも共通してあったのが「持続可能」というキーワードである。しかしアナログのレベル感や人と人とのつながりのレベル感など、一口に人工社会と言ってもそれぞれの内実は様々なようだ。それぞれの集落の立ち上げ人がコミューン(人工社会)を作ろうとしたきっかけも、音楽フェスや反戦運動、宗教や労働組合など様々であったようだ。特にプロシア(ドイツ)における1800年代の宗教統一運動によりオーストラリアに逃げてきた人たちがコミューンを作り始めたというお話が印象的であった。
著者はWWOOF(World Wide Opportunity on Organic Farm(略ちょっと違うかも))を行いながら次々と人工社会を回っていくのだが、それぞれの集落で起きている問題は「アレルギーの問題」や「共有財産の問題」、「民主主義を尊重しているからこそ物事の決定が遅い問題」や「エネルギーの問題」など、普通の社会でも起きている問題ばかりである。
たしかにエコビレッジやコハウジングのような人工社会はとても魅力的なものに見えるかもしれないが、結局は未完成な集合体であり、辛抱強く改善していかなければいけないものなのだということを、この本は伝えてくれている。
またそれと同時に上記に挙げたような共同集落に行かなければ持続可能な暮らしができないというわけでもないと、本書は述べている。アメリカ、カリフォルニア州の町デイビスは共同集落でもなく、普通の町であるが、そこに住む人たちの生活の在り方はエコビレッジやパーマカルチャーを完璧に取り入れているという。エコビレッジに住んでいないから環境のことを考えない、のではなく、一人一人ができる範囲内で持続可能な社会について想いを巡らせ、できる範囲内で行動に移していくことだ大事なのだと思った。
この本を読んで無償にオーストラリアに行きたくなった。様々な形態の集落を見てみたいと思った^^詳細をみるコメント0件をすべて表示