神聖喜劇 第6巻

  • 幻冬舎
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感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (267ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344012745

感想・レビュー・書評

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  • ついに読了。漫画になっていても読むのに骨の折れる巨編であった。最終のこの巻の主人公たちがまとまって困難に立ち向かうシーン、引用の翼を古今東西に広げながらあくまでストーリーは淡々と進んできたこの物語の、急だが突拍子もないということでもない、必然的な山場であった。電車の中で内心快哉を叫んだほど。
    「いつか」原作も読むべきなのであろう…。

  • 名高い原作を読むのは骨がおれそうだけど、漫画なら読めそう・・・と思ったら、どっこいテキストのボリュームがすごくて、とても簡単に読めるようなもんじゃありませんでした。腰を落ち着け、時間をかけて読む価値のある漫画です。
    東堂という特異なキャラクターを通して、非合理的な命令がまかりとおり、階級格差や部落差別が横行する日本軍という組織の不条理さを暴き出すだけでなく、彼よりも知識も力もない周囲の兵士たちが、やが人として抗う物語の中心に登場してくる過程が感動的。とりわけ最後の章の冬木の決意には胸をうたれる。彼らとかかわることで、東堂自身も変化していく。読み終わって、ぜひ原作の小説も読みたいと思わせてくれた漫画でした。

  • 冬木二等兵の解が素晴らしかった。
    論文でも引用した。

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著者プロフィール

作家(1916年8月20日~2014年3月12日)。福岡県生まれ。九州帝国法文学部政治学科中退。新聞社勤務の後、1941年12月召集され、以後敗戦まで対馬で兵営生活を送る。敗戦後、福岡で発刊された『文化展望』の編集に携わる傍ら、文筆活動を開始する。46年新日本文学会に入会、以後『近代文学』や記録芸術の会など、さまざまな文学芸術運動に関わる。48年日本共産党に入党、61年以降は関わりがなくなるが、コミュニストとしての立場は生涯変わらなかった。公正・平等な社会の実現を希求し、論理性と律動性とを兼ね備えた文章によって個人の当為を形象化する試みを続けた。1955年から25年の歳月を費やして完成した『神聖喜劇』は、軍隊を日本社会の縮図ととらえ、主人公の青年東堂太郎の精神遍歴の検証を通じて絶望的な状況の中での現実変革の可能性を探った大作で、高い評価を受けている。ほかの小説に『精神の氷点』(1948年)、『天路の奈落』(1984年)、『三位一体の神話』(1992年)、『深淵』(2004年)、批評集に『大西巨人文藝論叢』(立風書房、全2巻)、『大西巨人文選』(みすず書房、全4巻)など。

「2017年 『歴史の総合者として』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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