収穫祭

  • 幻冬舎 (2007年7月10日発売)
3.19
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感想 : 60
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本 ・本 (608ページ) / ISBN・EAN: 9784344013483

感想・レビュー・書評

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  • この本の分量を読み切ったっていう充足感がある! まあでもレビューが散々なのはわかりはするけど。 プロットでは物凄いものがバチバチに出来上がって、これなら超長編でいくらでも肉付けできる!として、膨らませ過ぎてコンセプトが円錐には違いないんだけど三角に見えてたものが最後は丸みたいな。 タイトル回収を最後登場人物に触れさせてて、その作者を意図的なものを否定してもしょうがないが、受粉、成育、収穫って言う1サイクルを淡々とこなす人間から見た植物的な視点で描かれてるのかなとも思った。 まあ…フェスティバルだね…

  • なんて言い表せるか考えると、「執着」「欲望」が思いつく。絶対に人には勧められるような内容ではないけれど、なぜか読むのをやめられない。
    タイトルを見て、装丁を見て、なんとなく読む前に映画「ミッドサマー」が思い浮かんだ。こちらは日本の田舎の農村が舞台で、そこに根付いた異様な文化などはないけれど、血生臭さと異常性は通ずるものがあると思う。(ちなみにミッドサマーは見たことなく、ネタバレあらすじ読んだレベルだけど…)

    読み進めるにつれて、なんでこんなにも性欲にかかる描写が多いんだろうと不思議に思ってた。このせいで、メインキャラクターに感情移入ができなかった。でも最後まで読んで、未遂も含めたあらゆる事件の根源が愛欲・性欲に起因する気持ちの爆発だからだとわかる。
    閉塞的な村で娯楽が何もない時代、本当にそんな話ある?って思っちゃうけど、本当にあるのかも。
    事実は小説より奇なりっていう言葉もあるくらいだもんね。
    人には勧めない本だけど、臭いや湿度をかんじてしまうようなリアルさ、そして激しく動く自分の気持ちで当分忘れられない一冊になりそう。

  • 圧倒的異常性。

  • 1900枚を越えるこの作品は”異形”のひと言。全編に渡って呪いに満ちている

  • 最初から最後まで「う~ん・・・」と頭をひねるような作品でした。
    何というか、登場人物の言動がどこか普通の反応とズレてるし、文章もズレてる。
    過疎化した村で次々と村民が殺されていくという大量虐殺の話で、話の筋だけ見ると興味をひかれるし、ひきつけられるんですが、そんな緊急の事態が起きているのに登場人物がそこでとる行動がどうにも緊迫感がない。
    例えば、主人公の少年が殺された自分の母親を見て欲情したり・・・。
    他にもやたら登場人物が欲情しすぎてる。
    何故?今こんな時に?という時にいきなり欲情する登場人物たちにはうんざりきました。
    それに、どうでもいい所はやたらと詳しく冗長気味に書かれてあるのに対し、ここをもっと詳しく書いてほしいという所は適当に流して書いてあると感じ、場面がいきなり飛んだようになるのも気になりました。

    とにかく、登場人物の心情とか行動とかに全く共感できないために、読んでいて退屈だし後半の登場人物の壊れ具合は見ていて苦痛になるくらいでした。
    ただ、一点、事件の真相が知りたいという思いだけで読み進めましたが、この分でいくとそれも期待できないな・・・と思ったら案の定・・・という感じ。
    しかも、それって、私ですら読んでいて「あれ?変だな?」と気づいて、もしかしてこの人が犯人?と思った通りという安直さ。
    この作家サンの本は初めて読みましたが、いつもこんな感じなのか、それともこの本だけわざとこんな風に書いてあるのか・・・。
    今後、あと一冊くらい読んでそれもこの調子だったらもう二度と読まない作家になるだろうと思います。

    あらすじをざっと書くと、
    ストーリーは時代によって5つに分かれている。
    最初は1982年、続いて1991年、1995年、2007年、1976年。
    1982年に首尾木村という過疎化した村で次々と村民が殺されていく。
    被害者は14名。
    生き残ったのは4名。
    省路、貫太、繭子という中学三年生の三人とその教諭。
    容疑者はマイケル・ウッドワーズという外国人。
    この章では省路が主人公となっていて、彼目線で描かれている。
    そして、その次の1991年は生存者の一人、繭子が主人公。
    1995年は再び省路、2007年は村民の一人、1976年は省路の母親が主人公となっている。

    最初に思ったほど残酷な話という訳ではありませんでした。
    残酷というより、意味なくエロくて内容を感じない。
    後半はもう読むのがただただ、苦痛でした。

  • 西澤保彦氏の作品、初読み。
    初読みがこれって……(苦笑)
    スピード感もあり、
    文章も比較的丁寧で読みやすい。
    面白くない訳ではないが
    面白かった訳でもない。
    他人には勧められない作品。

  • 第一部の大量猟奇殺戮事件は、それぞれ人間造形がこと細かに書き込まれているので、村の情景や人々の様子が手に取るように分かります。事件の臨場感と緊迫感がヒシヒシと伝わりました。この時点で一応犯人が判明するのですが、その時に読者が感じる小さな違和感が、第二部になると次第に大きくなって行きます。
    中盤以降は失速気味でしたが、真相は衝撃的でした。第一部でとても印象的だったシーンが最後になって次々と明かされるのですが、圧倒される程のサプライズとカタルシスを与えてくれました。荒唐無稽な展開を力技で説得させた手腕は圧巻です。

  • 壮絶
    でも読みごたえあります
    早く先が読みたくてたまらないのに、なかなか先に進めないもどかしさ
    と、最後のほうのページを先読みしてもチンプンカンプン
    ちゃんと読み進めていくしかないんです
    欲望と狂気と復讐

  • 一部はとても面白くて村人が殺されて中学生(と教師1人)が生き残るんですけど一部で実はもうエロの描写徐々に出てるんですね。一部の時点でまぁ容赦なく殺されています。
    二部から狂ったように性描写あっての唐突にグロきます。これだけたくさん殺された小説は初めて読みました。
    三部からは伊吹の性癖オンパレード爆発です。
    薔薇も百合もエロもグロもあります。

    オーケストラと現像屋さんの繋がりが難しかったのですが空知と伊吹の語りでそういうことかと思いました。
    空知も伊吹も繭子も全員かわいそうだし鷲尾も川嶋先生も苦しんでもっともだと思いました。
    一部から腕時計の存在のうまさは舌を巻きました。全ての元凶腕時計。
    エロとグロがとても多いので好き嫌い分かれる作品です。
    ある意味タネの収穫祭でした。

  • 読み終えてタイトルを振り返り、なるほど、と思わせてくれた。推理小説というよりある種のノワールのような味わいがある。
    執拗に描かれる性の芽生えとそれに振り回され、振り回す登場人物たちも揃いも揃って一癖二癖ある。病んでいるのとは違う。
    これは完全に好みの問題になるのだろうけれど、官能小説じゃないんだからここまで執拗な性の描写は必要だっただろうか。確かに必要なのは大いに理解できるが、それならばもっと工夫して妖しげな世界を見せてほしかった。

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著者プロフィール

1960年高知県生まれ。米エカード大学創作法専修卒業。
『聯殺』が第1回鮎川哲也賞の最終候補となり、1995年に『解体諸因』でデビュー。同年、『七回死んだ男』を上梓。
本格ミステリとSFの融合をはじめ、多彩な作風で次々に話題作を発表する。
近著に『夢の迷い路』、『沈黙の目撃者』、『逢魔が刻 腕貫探偵リブート』などがある。

「2023年 『夢魔の牢獄』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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