みなさん、さようなら

著者 : 久保寺健彦
  • 幻冬舎 (2007年11月発売)
3.56
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  • レビュー :81
  • Amazon.co.jp ・本 (332ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344014152

作品紹介

芙六小学校を卒業したのは全部で107人。みんな、団地に住んでいた。小学校の卒業式で起きたある事件をきっかけに、団地から出られなくなってしまった渡会悟。それを受け入れた悟は団地で友だちを作り、恋をし、働き、団地の中だけで生きていこうとする。「団地に閉じこもってたら、悟君の友だちは減る一方でしょ。さみしくない、そういうのって?」月日が経つにつれ一人また一人と同級生は減っていき、最愛の恋人も彼の前を去ろうとしていた。悟が団地を出られる日はやってくるのだろうか-。限られた狭い範囲で生きようとした少年が、孤独と葛藤に苛まれながらも伸びやかに成長する姿を描く、極上のエンターテインメントであり感動の物語。第一回パピルス新人賞受賞作。

みなさん、さようならの感想・レビュー・書評

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  • http://www.youtube.com/watch?v=NujkX9P0vas

    YouTubeで映画『みなさん、さようなら』の予告を見て、これは観なければ!と思っていたら、図書館で原作を見つけてすぐにレンタル。

    壮絶な世界観!!!
    団地のなかだけで生きている悟の世界は本当に壮大だった。

    ------------------------------------------

    小学校の卒業式に起きた出来事のトラウマで、悟は団地から出られなくなる。

    彼は団地のなかだけで生きていくことを決め、
    団地にいる同級生を毎晩チェックし、
    毎日身体を鍛え、
    キスや初体験もして、
    団地のなかで就職もする。

    団地の同級生と婚約までしたが、悟は団地の外に出られない。

    年齢を重ねるごとに減っていく同級生たち。

    就職したケーキ店も結果的にダメになり、
    親友も心を病み、
    年々住人が減る団地は廃れ続け、
    悟は年齢的にも大人になっていた。

    身体を鍛えけた彼は、虐待される外国人家族を救い、
    今度は目の前のひとを助けることに成功する。

    12歳から団地から一歩も出られなかった悟は18年後、外に出る。
    彼の気持ちを理解し続けた彼の母の死が、30歳になった彼を動かす。

    12年前、107人いた同級生はついに誰も団地からいなくなる。

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    本当にすごい話だった。最近読んだなかで一番おもしろかった。
    早く誰かに薦めたい。不登校の中学生とかその先生に薦めたい。

    読む前に映画の予告を見たから、
    読んでる最中ずっとエレファントカシマシが頭のなかに流れてた。
    Sweet Memoryもさらば青春もいい曲。

  • 「さようなら」は、「こんにちは」のはじまり。

    何を考えているか分からない外部からの侵入者が、
    小学校の卒業式に乗り込んできて主人公の目の前で
    同級生を刺し殺した。

    その事件をきっかけに、彼は団地に引きこもることを決める。
    この物語の核心にあるのは、心を閉ざしたはずの彼が、
    団地に住む同級生のことを逐次知りたがり、
    すべてを把握したがるという性癖を持つことにあると思う。
    何をしでかすか分からない他人が自分の周りから消えるよう、
    とにかくどんなに細かい情報でも仕入れる。

    バブルの前後、ポケベルやPHSをはじめ、
    あらゆるところで技術革新が起き、
    人間関係が劇的に変化した。

    コミュニティ意識が強い団地を舞台にすることで、
    この描写はさらに顕著に見える。
    中盤以降では、団地から同級生が減っていくなかで、
    本来近所関係の濃いはずの環境から人間関係が希薄化していく。
    主人公・悟は、自分の知らない怖い外部世界に、
    安住の地であるはずの団地が近づいていくことに焦りを感じ、
    徐々に居場所を失っていく。

    物語の最後、母親の死をきっかけに(?)、
    彼は団地を出るという決意をする。
    そして、この本のタイトル「みなさん、さようなら」。
    このとき「みなさん」とは誰を指すのか?
    僕は、これは彼自身のことなのだと感じた。
    正確にいえば、彼の狭い世界の中で生き続けてきた、
    同級生であり、ケーキ屋の師匠であり、最愛の恋人。

    それは、物理的な「さようなら」である以上に、
    関わりあう人々の、すべてを知らなければならないという、
    強迫観念に縛り付けられてきた彼自身に対する別れ。
    それは分かりやすくいうと、新たな門出。

    それが良いことなのかどうかは、誰にも分からない。

  • 都営団地に住む中学校から学校に行かず、団地から出ることもなく過ごす男の子の物語。
    なぜ団地から出ないのか?と思いながら読んでいたが、途中理由が明らかになり、読んでいて苦しくなってくる。
    周りの人の想いと気持ち。
    当たり前のように続く日々の暮らし、周りにいてくれる人は、当たり前のものではなく、そうやって繋がって生活しているということは奇跡のようにありがたくて、かけがえのないものだということ。
    題名の「みなさん、さようなら」という言葉も、読み始める前と、読み終わってからと受け取り方が変わり、読み終わったあと、清々しい気持ちが残っている。

  • 「団地内ひきこもり」悟くんのお話。悟が団地の敷地より外に行けなくなってしまったのにはショッキングな理由があるのだけど、それにしても「団地内ひきこもり」という設定だけど全く悲愴感がない。これはきっと、ストーリーテラーでもある主人公・悟の性質に大きく起因してるんだろうなぁ。深く物事考えすぎず、物怖じせず、そんな性格だからかフットワークが軽い。人間関係においても、変に自分自身に後ろめたさを感じていないせいか、同級生とも普通に接するし、団地の住人とも関わるし。このあっけらかんさ、私も見習いたい。

    印象に残ってるのは、マリアの話とヒーさんの話。私がつい思いを馳せてしまうのは、このヒーさんです。悟視点で語られるこのお話には、あんまりヒーさん出てこないし、もちろんヒーさん自身の心情が語られることもない。でもだからこそ、最後の数Pを読んだ時、彼女が一体どんな気持ちでこれまで悟のことを見守っていたのかと考えたとき、胸がジンとしてしまいました。

  • 友達に勧められた本。勧められたのは数年前。やっと読破。すっごく面白かった!!!これは団地の中での話だけど、きっと、世の中にはいろんな人がいて、いろんな考えがあって、いろんな悩みを抱えて、いろんな夢をもって、いろんな生き方をしているんだろうなー、とすごく当たり前のことを改めて思いました。ヒーさんの懐の深さが凄かった。

  • メディアあり
    2015.12.5途中挫折

  • 団地の中で暮らし、団地から出ることなく過ごした悟の物語。

    夢中で読みました。
    こんなことって、と思いながら、でも、トラウマに囚われていたら、あることなのかもと、途中から納得しつつ読み進めました。

    団地という狭い世界での悟は、ホントに自由で、生き生きとさえしていて、それがものすごく切なかった。
    みんないなくなり、母とも分かれることとなって、最後に悟が決めたことで、ようやく終わったと、ホントの終りを見た気がしました。
    その後の悟を応援したいです。

    映画化されていたのですね。
    キャストを見て、濱田岳くんに、うーん。
    ちょっと違うイメージを持っていたかも。

  • 団地から出れないってのは極端だけど、
    住み慣れたとこから離れられないってのは
    誰にでもある感情のはず。

  • 東京に有る団地の話である。私も縁有って江戸川区の都営団地に、数十回は遊びに行っただろうか。まぁあそこは左程大きな規模の団地ではなかったが、団地の雰囲気は分かるつもりだ。主人公はとある事件をきっかけに自分の住む大きな団地から一歩も出ることなく、子供から青年へと育っていく。学校、就職、恋愛等全て団地の中で済ましている。ラストはかなり切ないのですが、その中に新たなスタートを見ることが出来て良い。

  • 団地から出られない悟の物語。
    世界の広さの感覚は人それぞれだなぁという感想。
    広範囲で活動していても浅いかもしれないし、狭い世界で生きてるように見える人ほど深い場所にいるかもしれない。
    勉強も恋愛も就職も団地の中で済ませてしまう徹底的な悟は清々しかったけど、団地を去る同級生たちに置いてけぼりにされる様子は物悲しかった。
    団地から出られない理由が意外だった。

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