カキフライが無いなら来なかった

  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (287ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344016958

感想・レビュー・書評

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  • ちょっと悲しい、切ない感じはつぶやきシローの芸風にも似ている。
    けっこう「分かる分かる」っていうのがあっておもしろい。
    「登山服を着ている老夫婦に席を譲っていいか迷う」とか。

  • 日常の些細なことが、 ピース又吉さんとせきしろさんの目線で 切り取られた本です。 くすりと笑える。 ちょっと切なくなる。 少し弱気になった時に読むと 共感し、元気がでます。

  •  せきしろ氏と又吉直樹氏の俳句・俳文集。自由律で気儘に詠んだ2人の句を交互に掲載している。

          * * * * *

     なかなかに面白かった。
     ネガティブ・後ろ向き・溢れるペーソス。さらに又吉さんはそこに自虐的な味わいも醸し出しています。

     気に入った句を書き留めておきます。

    ○せきしろさん
    ・目をあけていても仕方ないので閉じる
    ・手羽先をそこまでしか食べないのか
    ・雨と冷蔵庫の音に挟まれ寝る
    ・祖母が剥く果実線香の味
    ・醤油挿しを倒すまでは幸せだった
    ・素振りをしている人がいるから回り道をする
    ・あの猫は撥ねられるかもしれない
    ・こんなにも時計の音がきこえていたのか

    ○又吉さん
    ・二日前の蜜柑の皮が縮んでいる
    ・まだ眠れる可能性を探している朝
    ・万全だったら勝てたということにしたい
    ・ひげ剃りにも負けた
    ・早くも来世にかけている
    ・まだ何かに選ばれることを期待している
    ・カキフライがないなら来なかった
    ※「憂鬱な夜を救ってくれる本といる」は放哉の「寂しい寝る本がない」のオマージュだろうか。

     時々挿入される俳文もよかった。その句に辿り着いた心情が十二分に伝わってきます。文中取り上げた句のみを書き留めておきます。

    ○せきしろさん
    ・風呂桶の中で膝ばかり見る
    ・病室に別人がいた
    ・雪が静かにしてくれている 

    ○又吉さん
    ・五十メートル六秒だったという無意味
    ・みな車窓から虹を見ていた恐そうな人も
    ・便所目当ての百貨店だが買いもの顔を作る

  • せきしろ氏&又吉氏の自由律俳句&掌編小説集。
    全体的な印象では、自由律俳句は余白が多いせきしろ氏の方が良かった。

    蚊に刺されるために生きたような日だ
    キミと一緒なら職務質問されなかった
    どれも全巻ないあなたの家で

    この辺りが好き。
    これは私の考えだけれど、全て説明してしまったら、それは俳句ではなくて単に小説などの文章ではないか。
    切り詰めて切り詰めて言うことを一つだけ選ぶから、力を持つんじゃないだろうか。

    又吉氏の、

    改札に君が見えるまで音楽を聴く

    などはもう、完全に説明文だ。
    けれど、本のタイトルになっているものや、

    財布とは繋がっていないウォレットチェーン
    魚眼レンズを覗いたら冬だった
    PKだけ見る女子

    などの又吉句は好き。
    逆に掌編小説の方は、又吉氏がいい。
    せきしろ氏の俳句でぼかしていたところを小説で読むと、そんなオチなのか、と肩透かし。
    向き不向きはあるんだなぁ…。

    それと、俳句に関してはどちらも次第に短くインパクトのあるおかしなことを言う大喜利のようになっていって、自由律俳句を名乗るのも紙一重だなとも思った。
    うーん難しい。

  • とても自由で面白かった!

  • 自由律俳句と呼ばれるつぶやきと
    その合間の散文

    普通なら言葉にせずにただ見過ごしてしまうけど
    言葉にすると笑えたり、物語があったりして
    たった一行でいろんなことを想像できる
    文学的なあるある句集
    生活や街歩きで面白い発見をするための視点をふやす参考書にもなりそう

    ちょっと悲しさを漂わせながら
    思わずくすっと笑ってしまう。
    こういうのを面白いと思える人とは、
    仲良くなれそうな気がする。

  • 又吉さんが読みたくて手にとったが、せきしろさんにハマる。
    自由律俳句も散文も好み。
    クスッと笑える感じ。
    又吉さんは少しあざとさが見え隠れ。

    せきしろさん
    "お湯が六分の一くらいの湯船でじっと待つ"
    "知らずに全部パーティーモードで撮ってた"
    "ほつれた糸を切ろうと引いたら伸びた"
    "醤油差しを倒すまでは幸せだった"
    "躊躇なく相席してきた驚くべきメンタルだ"
    "これ以上のダメージはジーンズではなくなる"
    "いると思って話していた"
    "鷹狩りは一度もしないで死ぬだろう"
    "不機嫌なのが伝わってなくて驚いた"
    "ポン酢を吸う右袖"
    又吉さん
    "心中を断られて泣いた"
    "一巻を開いたばかりに何もせず朝"

  • 自由律俳句集に短いエッセイが挟まってる。
    俳句は後向きだけどくすっと笑えるものが多くて、寂しさと笑いは表裏一体なのだなーと感じた。
    エッセイでも、日常のとるに足らない部分にスポットを当ててドラマチックに書いてる。そういう眼鏡で日常が見れることは、気苦労もするけど素敵だなあと思った。

  •  又吉さんの中に蠢く感情に自分と似通った物を感じたのはこれが初めてではない。だからこそ、再認識した。私は無駄に感傷に浸る人間だ。

  • 又吉さんらしくてとても面白かったです。
    最後の【まだ何かに選ばれることを期待している】がなんとなく心に刺さる。

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著者プロフィール

作家、俳人。1970年、北海道生まれ。A型。北海道北見北斗高校卒。主な著書に『去年ルノアールで』『海辺の週刊大衆』『1990年、何もないと思っていた私にハガキがあった』『たとえる技術』『その落とし物は誰かの形見かもしれない』など。また、又吉直樹との共著に『カキフライが無いなら来なかった』『まさかジープで来るとは』『蕎麦湯が来ない』などがある。

「2022年 『放哉の本を読まずに孤独』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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