花と流れ星

著者 : 道尾秀介

• 幻冬舎 (2009年8月25日発売)

感想・レビュー・書評

[naminnieさんの感想 · 2012年10月29日]

「過ぎていく時間と足並みを揃え、思い出は徐々に遠ざかっていく。そんな毎日の中で、胸にたくさんの花を咲かせて暮らしている人もいる。いつまでも溶けない氷を哀しんでいる人もいる。引いたリボンの先につながっているのが花なのか、氷なのか、そんなことは誰にもわからない。どちらがいいとは、きっと言えないのだろう。花は綺麗だけど、氷だって大切な思い出の証だ。捨てずにゆっくり溶かしてやれば、だんだんと水に変わってくれる。」「花と氷」より

真備シリーズだそうです。
前作は読んでいないので、わからないのだけれど、これだけ読んでも十分楽しめた。
後発になる『カササギたちの四季』と似た雰囲気かな。

どの短編集もとても好きだった。
特に好きなのは、最初の「流れ星の作り方」とこの引用した「花と氷」かな。
前者は最初ホラーかと思っていたらとても優しいお話といういい意味で裏切られた印象。
そして、後者の「花と氷」は苦しいのだけれど柔らかい光が残る悲しくて温かいお話。
どちらも好みでした。

【10/26読了・初読・市立図書館】

[きなりさんの感想 · 2023年7月2日]

「背の眼」「骸の爪」の続編。
生きていくなかで起こってしまう大切な人の死や別れ裏切りが、その人の人生に影響をあたえてしまう。それは仕方がないことだけど、生き方は自分で選び前に進むことができる。言い分けにぜず、人のせいにせず、自分を攻めず生きていきたいと思えた小説。

[青きうりさんの感想 · 2013年11月6日]

久しぶりに読んだけど、やっぱり道尾さん好きやわーとしみじみ。


どことなく間の抜けた道尾がたまらない。
頭の回転が速くてどこか常人離れした真備に、しっかりした凛。そこに道尾のゆるさが絶妙にマッチングしていて心地よい。

やっぱり好きです、道尾さん。

[マタンさんの感想 · 2023年4月15日]

これが現状の最新作。
結構シリーズものを知らずに読んでいる人が多いようで。
一応単体でも楽しめるけど
一部～事件の後という記述があるので
読んでおいたほうがベターだと思います。

結末の切ない作品がほぼと言っていいです。
ただし1作はまあハッピーエンドなのかな。
だけれども幼いながらもやるせなさというのは
ちゃんと感じるものなんだよね。

あとはね…ある種の施設のお話は
本当にどこまでもくるっているんだよね。
しかもこういうところ、本当にあるんだから
タチ悪いんだよ。

[なーこさんの感想 · 2022年1月4日]

以前作者の本を読んだことがあったので今回この本を見かけて読もうと思いました
ミステリーの短編集ですが他の本からの流れらしいので先にそっちを読んだ方が良かったかも
それでも充分楽しめました

特に一番最初の話は見事な伏線回収に鳥肌がたちました

[わたもちさんの感想 · 2019年9月29日]

読んでから思い出したけど、これ結構昔に読んだわ。どの話もわりと好き。

[あおいさんの感想 · 2015年12月22日]

真備シリーズの連作。

今回は連作だけど面白かった～。
いつもよりぐっと短いのでさくさく読める。

[tulip-31さんの感想 · 2014年8月7日]

真備と凛、道尾3人物語の3作目。
骸の爪と違って一つ一つの内容が変わる短編小説のような感じでさらっと読めた。

でも一つひとつの作品に出てくる登場人物の哀しい心の部分は共通しているように感じた。

人の幸せが、自分の中にある氷をさらに棘あるものにさせてしまったりする。この、人の幸せを素直に喜べない自分の心の悲しさを氷に例えた花と氷は切ないけど綺麗にも感じた。
いろいろ考えさせられる作品。

きれい系

[もすさんの感想 · 2013年9月25日]

この作者さんの小説は初めて読みました。短編集なんですけど、その一編の中に「孫を不注意で死なせてしまった老人」が出てくるのですが、その老人に感情移入してとても辛い気持ちになりました。切ない印象の話ばかりだったのでこの季節に是非。シリーズものらしいので他の作品も読んでみようかと。

[yuki*さんの感想 · 2013年8月31日]

なんとなく図書館で借りました。
読んでみて、何かの続編みたいな感じ？と気付きました。

ミステリーの短編集で、すごく読みやすかった。
特に『流れ星のつくり方』は、終わり方がぞくっとしました。
そして、後からせつなさでいっぱいに・・・
他のお話も、読みやすくちょっとせつない感じのある所が良かったです。

道夫秀介さん、初めてでしたが読みやすくて好感触です。
ただ、ホラーは苦手なので真備シリーズ怖くなさそうだったら読みたいです。

著者プロフィール

1975年生まれ。2004年『背の眼』で「ホラーサスペンス大賞特別賞」を受賞し、作家デビュー。同年刊行の『向日葵の咲かない夏』が100万部超えのベストセラーとなる。07年『シャドウ』で「本格ミステリー大賞」、09年『カラスの親指』で「日本推理作家協会賞」、10年『龍神の雨』で「大藪春彦賞」、同年『光媒の花』で「山本周五郎賞」を受賞する。11年『月と蟹』が、史上初の5連続候補を経ての「直木賞」を受賞した。その他著書に、『鬼の跫音』『球体の蛇』『スタフ』『サーモン・キャッチャー the Novel』『満月の泥枕』『風神の手』『N』『カエルの小指』『いけない』『きこえる』等がある。