リテイク・シックスティーン

著者 :
  • 幻冬舎
3.93
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本棚登録 : 674
感想 : 132
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344017542

作品紹介・あらすじ

高校に入学したばかりの沙織は、クラスメイトの孝子に「未来から来た」と告白される。未来の世界で27歳・無職の孝子だが、イケてなかった高校生活をやり直せば未来も変えられるはずだ、と。学祭、球技大会、海でのダブルデート…青春を積極的に楽しもうとする孝子に引きずられ、地味で堅実な沙織の日々も少しずつ変わっていく。

感想・レビュー・書評

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  • 豊島さんの作品で一番心に残るであろう話だった。数ある高校生が主役のストーリーの中でもズバ抜けて深く共感。村山父の言葉が突き刺さり、孝子の焦燥感や劣等感に胸をえぐられ……
    なんだかものすごく痛い。けれどこの話の中には青春時代を過ごす諸君にとって大事な事がいっぱい詰まってると思う。
    うーん高校時代、いや、中学時代に読みたかった……

    2016.9.1 再読
    6年振りに再読。孝子と自分が重なる。主人公・沙織目線で物語は進みますが、私には孝子の沙織に対する「いいよね沙織は、頭もいいし可愛いし」という妬みやひがみがとてもわかる。人には人の事情があって家庭環境も様々だろうけど、日本の高校生という立場ではとにもかくにも友人間ってそういうことが何より大切だから。人の痛みを知ろうとしない……という風に言われた孝子だけど、自分の痛みで精いっぱいなんじゃなかろうか。それでも人の痛みも知ろうとする努力は忘れてはならんよね。
    私はいくつになっても孝子みたいにぐるぐる回る人間です。人生諦めてる所もあるので、それはそれでいいんじゃないかっと。

  • 傑作だった。

    これはタイムスリップ物なのだろうか。

    そのことについては分からない。

    そんなことはどうでも良くなるくらいの青春の1ページ。

  • なんか、いま、読み終わって、ぼうっとしている。
    私の来し方行く末を思って…なのかどうかもぼうっとしている。学生の夏休みがもうすぐ終わる、この時期だからかもしれないけど、ちょっとセンチメンタル。

    高校一年生に、うーん…、戻りたいわけではないけれど。もう一回あそこからリテイクしたら、もしかしたら今の私にはなってないかもなぁ。

    もっとああしていたら…と思ことは今だってたくさんある。ただそれは、なかったことにして捨ててしまうことはできない。(できてもしたくない、と意地もこめて言いたい。)
    そんな今のわたし…素直になろうと思いました。
    何が好きで何をやりたくて何に近づいていきたいのか。
    今からでも青春できるなぁ、と思ったのでした。
    最後、パパとねこたちに助けられたなぁ、いいパパだった。そしてパパの語るママは、かわいらしい人だった。


    友達に会いたいな。みんなで旅行いきたい。

  • 友達から打ち明けられた秘密は、友達が青春をやり直したいと27歳から
    戻ってきたという話だった。
    面白いのは、主人公が戻ってきたのではなく、戻ってきたのは友人。
    未来を知っていて、やり直すことに決めた友人。
    ある道筋を知っていて、もう一度やり直すことができたら、どう生きなおすだろうか?
    大きく道を変えることはできるのだろうか?
    16歳という年齢の輝きや、友達とのつながりなど、読み終わりたくなかった。

  • 高校の時に読んでおけばもう少し思いも違ったのかなあと言う感じがする。文理選択の悩みとか…高校一年生なのにみんなしっかり考えてるんだナァ!とちょっと驚き。まぁ、医学部だしね…

    さて、なんと言ってもこの物語のポイントは、27歳になっても無職な自分が嫌で、全てを捨てて高校一年からやりなおすため未来からやって来たという友達の孝子。
    はちゃめちゃで周りを振り回すところがあるけど、なぜだか憎めない可愛さがある。
    そんな孝子の友達で、主人公の沙織。派手で美人な外見とは違って、しっかり者で友達思い、ホントいい子だと感心する場面が多々あった。
    沙織と孝子が一時期、離れちゃうときのクラスの女子の感じとか妙にリアルで、あ~こんな感じだよねぇと思った。

    過去に戻ったからって全てが自分の思い通りに行くわけじゃないけど、孝子の変わりたい、でも変われないと言う葛藤、身に詰まるものがあるように感じた。

  • 誰しも思う、「あの時にもどれたら」。それを当人でなく、その友人の視点で描いているのが面白い。
    様々な葛藤やもやもや、幾度やり直しても、完璧に満足いく結果なんてありえない。だからこそ、の部分をすごく上手く書いていると思います。ラストが少し物足りないかんじだったから、☆三つです。途中までなら四つから五つです

  •  離婚して、祖母の駄菓子屋を継ぐこともなく、ホステスをして気ままに暮らす母親を情けなく思いながら、彼女のようになるまいと進学を目指す沙織。高校に入り、孝子という気の合う友達もでき、充実した毎日を送ることができるようになったかとみえたが…
     ある日、孝子が実は未来から逃げてきたのだと告白。実は孝子は本当は27歳で、人生をやり直すために高校時代に帰ってきたのだという。半信半疑ながら、それを受け入れる沙織。
     友情・恋・進学・家族…さまざまな出来事の中で、沙織は自分の将来について本気で考え始める。

     豊島ミホさんの休業前の執筆だと聞いて、読んでみることにしました。27歳から、人生をやり直すために高校時代に帰ってきたという孝子。一見SFかと思いきや、主人公はそんな孝子を見つめる沙織の日々です。大きな事件があったり(それなりに大きいかも)、最後にじんわりしたりする物語でなく、本当にどこに行こうとしているのか、先が読めない展開。でも、人生ってそんなものだし…
     孝子が何から逃げ、どうやり直したいと思ったのかは、見えてこなかったけど、やはり今の自分を精一杯生きるしかないのかなぁと思いました。豊島さん、元気かなぁ~。また、書いてくれたら、うれしいです。

  • 逃げた後悔。やり直す不安。自分が誰からも必要とされていないと感じてしまう孤独。色々なものが詰まった物語

  • 大人になっていろいろ後悔のある女性が16歳に戻ってやり直す…
    そんな夢みたいな設定だけど、えがかれているものは高校生の日常。忘れかけてた自分の過去を掘り起こしていくような気持ちになったり、嫉妬や嫌な感情は大人になった今の自分につきまとうものだと改めて実感したり。
    自分が人を傷つけてしまったことも思い出し、許しとか優しさを大切にこれからの人生を歩んでいきたいと思った、ら

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著者プロフィール

2002年、新潮社「女による女のための『R-18』文学賞」で読者賞を受賞し、同年『青空チェリー』刊行でデビュー。著作に『檸檬のころ』『夜の朝顔』『リテイク・シックスティーン』などがある。

「2010年 『神田川デイズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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