春狂い

  • 幻冬舎 (2010年5月10日発売)
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本 ・本 (200ページ) / ISBN・EAN: 9784344018228

感想・レビュー・書評

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  • 幻想的な、純文学という印象でした。
    性の部分において少女が狂わせているのか、少女の周囲が元々狂っているのか。あるいは両方なのでしょうか。
    主要人物全員が、単に正常異常で語れないと思いました。
    人を愛することは見返りを求める行為ではない。これは至言だと思いました。

  • 春に狂うのは、徐々に周囲がほどほどのぬくもりに順応していく中で、一人だけ体感できず置いていかれる気になるからだろうか。そう思うと、春を迎える心境と人生の波は重なる面があるのかもしれない。
    美しすぎる少女を軸に、複数の視点で事の顛末が明らかになっていく形をとっているが、性暴力と死の臭いに満ちているので、そういうものが苦手な人にはお薦めしない。それでも不思議と下卑て見えないのは、血塗られた道を歩く少女の渇望と思慕が、短い生涯の中で爆発的な桜吹雪となって一瞬間舞い上がるさまを想起させるせいか。聖性と魔性は紙一重だなと感じずにいられない小説だった。

  • 結局、何が言いたいのか良く分からない本だった。
    sexの問題なのか、人権の問題なのか

  • あぁ、救われない。やっぱり、宮木さんの作品、救われないよ。
    いや、その救われない感が好きで読んでいるのだけれども。
    そして、この少女は救いなんか求めていないのだと思う。17歳で、どうしようもないくらい、冷静に、絶望していた。あるいは、静かに狂っていた。

    少女の絶望、怒り。男たちの欲望、狂気。 桜の花びらとともに散ってゆく。
    春は、桜は妖艶で、狂気が似合う。生々しいのに、とても幻想的。読み始めたら、止まらなかった。

    これが好きなら、三浦しをん『秘密の花園』も好きになれると思う。

  • 終始救われない感じ。嫌いではないが、もやもやした。
    折った指揮棒をどうやって取り出したのか気になりすぎて30ページ分ほど記憶がない。

  • 前半は不幸の詰め合わせみたいな感じで救いようが無かった。
    話が進んでいくにつれて、それぞれの真実が明かされるので、少しは救われる感じがしたけど
    結局、やった側は図太く生きて忘れられるけど、やられた側は囚われてもがいているのが現実なんだなと思う。

  • 初読作家さん
    出会えてよかった作品

    私的にはとても綺麗な話
    流れるような文章
    常に漂うように俯瞰してある意味心地よく、そしてどんどん引き込まれるように読み進む
    まさに海の中を漂っている様な、そしてそのまま連れて行かれるような、一気に読ませる力を感じた。

    目を背けたくなるような数々の汚い出来事や性描写も多々とあるが、私は嫌な気分になることも無くエロさも全く感じず逆にそれとの対比の綺麗さをどこか感じてしまった。

    内容も構成もかなりしっかりしていて、読み進む中で人物が繋がっていく過程も程よく心地良い。

    読後調べたら『花宵道中』の作者さんだったのね。
    初読作家さんだったけど花宵道中は過去に映画で見た。その時も内容がしっかりしててエロさより綺麗な作品だなと感じたのを覚えてる。

    この作品は映像化無理でしょ…こんな登場人物リアルにはなり得ない。見る人の好みも大きく作用するのに万人に『幼少期から絶世の美少女』と思ってもらえる人間は居ないね。

  • ありえないけど、最後まで夢中になって読みました

  • 生まれながらに美しい容姿をもった少女の不運。

    美しい容姿ゆえに男たちの性的な視線や行為を受けた少女。

    精神異常の中学教諭が少女にした奇行。
    少女と結婚すると言った夫に見放され、売春をする妻が出会った老人との穏やかな日。

    中学教諭の前原に幽霊となって姿をあらわした少女。
    少女と同じ境遇の少年との出会いと死という別れ、両親の事故死。

    少年を死に追いやった兄が教師になって少女の前に現れ、彼との戦いと、少女を守ってくれた男の死。

    心を許せる相手が次々と自分のせいで死んでいき、
    もっとも憎むべき少年の兄を愛してしまったことへの罪を抱え
    少女は海へと沈んでいった。

    なんと不運!そして変な教師多い!
    弐の美しい妻と老人の話が良かった。

  • 誰に自分の気持ちを重ねていいのか、登場人物が時系列と関係の中でどう繋がるのか、迷いながら読み進みました。暴力、支配、愛情、虐待、何をどう呼べばよいのか、善と悪の区別や線引きすら分からなくなります。性描写なのか、官能なのか、顔を背けたくなる描写もあるのですが、現実的ではないながらも、作品の世界に引きこまれる自分もいました。言葉をあてがい、ラベリングをして、身の回りを分かったように生きている日常ですが、そうではない現実や時間、世界もきっとあるのだろうと少し堪能できた気分の読後。

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著者プロフィール

1976年神奈川県生まれ。2006年『花宵道中』で女による女のためのR-18文学賞の大賞と読者賞をW受賞しデビュー。『白蝶花』『雨の塔』『セレモニー黒真珠』『野良女』『校閲ガール』シリーズ等著書多数。

「2023年 『百合小説コレクション wiz』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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