- Amazon.co.jp ・本 (357ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344018518
作品紹介・あらすじ
時は明治19年春。政府の密偵・桐生征二は、上司である警部・藤田五郎から、反政府組織である民権派を内偵していた仲間が殺されたことを知らされる。しかも、仲間の遺したダイイングメッセージには、孝明天皇がさる高貴な人物によって毒殺されたという証拠が、思想犯や重罪人を収容する北海道の監獄に存在すると記されていた。桐生は藤田の命を受け、囚人として監獄に潜り込むが、そこにはすでに、民権派の連中が先回りをしていた…。天皇暗殺を裏づける証拠とはいったい何か。民権派VS政府。その熾烈な争奪戦は予想だにしない結末を迎える-。
感想・レビュー・書評
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明治政府を転覆させかねない、孝明天皇毒殺の証拠品が、北海道の監獄にあるかもしれない。
民権派の危険人物を特定し、計画を阻止するべく、桐生征二は監獄に潜入するが……。
思想犯や重犯罪者がおり、囚徒が死ねば口減らしになる、と政府に考えられている、監獄。
北海道という、厳しい自然と相まって、その過酷さが際立つ。
誰が民権派で、誰が裏切者かわからないままの、密偵行為。
自由民権運動と、弾圧しようとする政府。
薩長と、負け組出身の者たち。
精神的に過酷で、立場が入り乱れるため、やや複雑。
元新選組がちらほら出てきて、高度な戦闘シーンも多かった。
つかみどころのない上司の藤田と、主人公の関係性がよかった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
主役じゃないけど藤田警部が大活躍。秋山さんが描く斎藤はずっと間諜ですねー。というか秋山香乃作・斎藤さんのまさに柳に風な飄々とした感じが好きすぎる。若かろうが歳取ろうがとにかく喰えない男・斎藤。そして不死身呼ばわり。
しかし今作一番衝撃的だったのが永倉改め杉村さん。快活に笑いながら人斬りまくってるがすんげー怖いんですけども。 -
“斉藤一”時代のものだと思ってたんで、読み始めてびっくり。まぁ、勝手に思い込んでただけなので自業自得なんですけどね。
時代物としては読みやすい文章で、感情移入しやすく、おもしろい。かごめ歌らへんはもうちょいひねりがあってもよかったかなぁとは思うけど、ひょうひょうとした斉藤一改め藤田五郎はやっぱ好きです。 -
かごめうたで謎ときあたりはありきたりかなぁと思わずにいられませんが、明治で天皇暗殺を絡めて北海道という舞台設定は萌えますね(笑)一ちゃんも新ぱっつあんも、島田さんも他いろいろ登場して楽しかったー。秋山さんは一ちゃんを間者にすること多いですね。ひょうひょうとしている一ちゃんが想像できて笑えます。ええ、大丸でたくさん肌着を買ったとかね(爆)
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映像なら理解できたかもしれない。私には難解でした。
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(陰の)主役は斉藤一。維新後、揺れ動く社会(「蟹工船」もこのころが時代設定なんだろうか)や価値観の中で、生き続けた彼の矜持について、思いをはせる。「生き抜く」ということに重きを置いていた、彼に。この人の作品を読むと、矜持、ということをしみじみと考えさせられる頻度が高い。