- Amazon.co.jp ・本 (265ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344018839
感想・レビュー・書評
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1年後の連絡網なかったんですけど、本によって違うんですか…?
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手紙のやり取りだけで構成される3話。
・あずみは悦子との手紙の中で、静香と浩一の結婚式に参加したが高校時代の彼女千秋との別れに疑問がある事を
伝えた。思い出の場所に行って転び顔に傷を負い仕事をやめて行方知れずなのは静香のせい?と。実際は千秋が
自分で転んだのであり、悦子に成りすまして結婚式に参加、あずみとの手紙交換がされていたのだった。
・引退した教師から教え子大場に依頼があった。過去に夫と教え子6人が遊びに行った際に川で夫が溺れ死んだ。
その6人のその後の生活についての調査。6人目は大場の彼女であった。大場が彼女がまだ不幸ごっこにより
過去を引きずっているとぶつけたが、彼女は大場を選ぶ決意をしていた。理解しあえたのか、結末は?曖昧。
・2年の海外ボランティアに向かった純一と日本の万里子とのやり取り。万里子は母を馬鹿にされた一樹と
その母と不倫の父を持つ康孝との喧嘩の仲裁の中で、一樹と倉庫に閉じ込められ強姦されそうになり一樹を
撲殺、気絶。純一はそれを隠そうとタバコの不始末に偽装し放火、外から覗いていた康孝に不始末として
詰め寄り自殺させた。万里子が記憶を思い出すまでに嘘のやり取りの手紙だった。 -
手紙のやり取りのみで構成された、書簡体形式のミステリです。
三編に後日談的な掌編を加えた、四編からなる連作短編集となっています。
スマホやパソコンが全盛の今、あえて手紙を取り上げているのが新鮮でした。
手紙が届くのを待ち遠しく思ったり、封を切る時にドキドキしたりと、様々な思いが読み進めていく度によみがえってきます。
何より手書きの手紙には、温かみを感じますよね。
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元々、一人称での独白形式の作品を、数多く発表されているだけに、書簡体というスタイルも違和感なく読ませます。
以前の作品で見られた悪意、敵意、嫉妬などのドロドロした感情の発露は控えめな印象で、イヤミスを期待していると物足りなさを感じてしまうかもしれません。
この作品集は読後感が悪くなく、このような作品も書かれていたんだなぁと、今更ながらに感心しました。
イヤミスではない湊さんも良いですね。 -
もう一捻りの展開と肉付けが欲しい気がしますが、割と好印象です。手紙のやり取り機微を、また、人の情を絡めて物語を紡ぐのは良い手法だと思います
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高校の放送部の仲間が、卒業から10年ぶりに仲間の結婚式で再会した。一人だけ出席しなかった千秋は、5年前に大怪我をし、その後行方不明になっているという。千秋の大怪我は事故だったのか?事件なのか?女性4人の間で交わされる往復書簡。
定年退職した小学校教師が教え子に依頼したのは、6人の教え子たちに会って暮らしぶりを見てきてほしいということ。その6人は、小学校時代に、とある事故に深く関わっていた。依頼された教え子と教師の往復書簡。
結婚しようと思っている彼が、海外青年協力隊の隊員として海外に赴任した。二人は、中学時代のとある事件から深く結びつくことになったのだが、彼女にとって辛い事件であったことから、そのことを語ることはタブーとなっていた。事件の核心は彼女の記憶の奥深くに沈み込み、思い出すことができないでいた。手書きの文通で、お互いの心の深い部分を語り合うことになっていく。ある日、彼女の記憶が突然蘇る。そんな彼と彼女の往復書簡。
『告白』もそれぞれの登場人物の独白というちょっと変わった構成だったけれど、今回も交わされる手紙をつなぎ合わせて構成されている。手書きの手紙というものは、心の深い部分を吐露してしまう、やっかいなもの。 -
放送部の同級生の結婚式。
女子四人のうち一人だけが行方不明だという。
「十年後の卒業文集」
溺れた児童を救うために亡くなった旦那。
そこに居合わせた六人の児童は今、どうしているのかを昔の教え子に調べてほしいと頼む定年を迎えた教師。
「二十年後の宿題」
過去の事件の記憶を失っている彼女と遠い国に国際ボランティアとして派遣された彼。
文通をしていくうちに彼女の記憶が。
「十五年後の補習」
の三編があり、どれも登場人物の手紙のやり取りだけで物語は進んでいき、
過去に起こった事件の真相が明らかになっていきます。
どの物語も初っ端から不穏な空気を醸し出しながら手紙のやり取りが行われていきますが、今までの湊さんの作品のような「読後感は最悪。でも面白い。」というような終わり方ではないかな。とくに「十五年後の補習」なんかは。
でもこれはこれで面白かった。 -
往復書簡
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手紙のやり取りのみでストーリーが進行するお話
3編それぞれのつながりはほぼない?
どの話も最初はあたりさわりのない内容から、過去の事件の話題を入れつつ、過去に何があったんだー!と読者に興味をもたせる流れが秀逸
「湊かなえだしなぁ~。読後感は微妙なんだろうなぁ」と思って読んでいたけど、一つ目、二つ目の話の読後感は悪くはない
二つ目なんんてむしろ心温まるような気すらしてくる
ただ、やはりイヤミスの女王らしく、3つ目は読み終わると微妙な気持ち
完全にハッピーエンドとは言えないまでも未来に希望が持てつつ、でもやはり過去の罪はお互いに消えないよ?
という将になんとなくイヤァ~な気持ち
宮部みゆきなんかはいつもこんな感じの読後感なので、ある程度の慣れはある
手紙の形でストーリーを進めていく小説といえば、森見登美彦の「恋文の技術」もそうだった
あっちは両方の手紙ではなくて自分の方からのみだけどね
やはり作家さんってすごいなぁと思うのは、手紙を手紙としてよめるところ
多分、素人が同じ発想で小説を書こうとしても、手紙としては不自然な内容や冗長なところが出てきそうなもの
手紙として不自然ではなく、それでいて小説として成立するやりとりを考え出す能力はすごいと思う
ただまぁ、普通の人同士の手紙のやり取りが小説として成立するのは極めて不自然というところが、唯一の不自然なところか?(笑) -
久々の湊かなえ作品。「十年後の卒業文集」「二十年後の宿題」「十五年後の補習」の独立三編からなる全編手紙のやり取りで進行する物語。避けられない思い違い、すれ違い、誤解、そういうものを抱えながら生きているのがある意味普通なのだが改めてその重さを突きつけられる。いつもの後味の悪さは薄い。