吉原十二月

著者 :
  • 幻冬舎
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  • レビュー :52
  • Amazon.co.jp ・本 (326ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344019348

作品紹介・あらすじ

容貌も気性もまるきり違うふたりの妓。妓楼を二分する激しい嫉妬とつば競り合いの先に女の幸せはあるのか?欲望を喰らい、花魁となる。

感想・レビュー・書評

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  • さすが直木賞作家、吉原の遊女たちを華やかに艶っぽく描く。胡蝶と小夜衣、幼い頃より競いながらそれぞれの魅力を磨いてきた2人は晴れて昼三の花魁となる…。

    苦界と言われる廓が舞台だが、月々の行事の優雅さやお大尽たちの豪傑っぷりを中心に語られるので悲壮感は薄い。

  • おもしろかった!
    ふたりの花魁のライバルストーリー。
    女同士のいやらしさ、と同時に、そうだよね!っていう手を組むやりかたとか・・・描かれていた、「女」という性にものすごく納得させられた一冊でした。

    もちろん、吉原のしきたりがどうなっていたのか、という細かい部分も読み応えあり。

  • 吉原の名妓二人を抱えた楼主が彼女たちの吉原に来る最初から年季明けまでを、
    十二ヶ月の暦に沿って語り聞かせる趣向。

    同じ作者の吉原を舞台にした前作にも登場した妓楼が舞台。
    淡々とした筆致でお職を張ったふたりの女の生き方を語る。

    風俗の描写や廓の決まりごとなどが丁寧に描かれ
    前作同様湿った感じの空気感はない。

    読者のほうも膝を乗り出し、美しい絵巻物でも見るように
    どこか遠いお伽噺を聴くようで悲壮感はない。

    決着のつき方も、どちらの花魁もまずまず幸福なところへ
    落ち着くので、終わりまで読むとほっと肩の荷が下りる。

    ただ、花魁側からの心理描写はあえてドライなので
    彼女たちの内心に切り込んだ時、その場面で本当は
    何を考えていたか、本心はわからない。

    つまり、彼女たちが表に向けて見せていた顔しか
    私達読者も見せてもらえない。
    だから、どこかつかみどころがなくて

    「この女は本当は何を考えているんだ。」

    と思いながら、最後まで手が切れない男のように
    どこかもやもやとした、

    「これが全部かな?」

    という感覚が拭えない。
    それさえ除けば、面白い小説であったと思う。
    欠点と言うよりむしろこれは持ち味であると思うので
    決して批判的なコメントではないことを申し添えておく。

    白眉は胡蝶花魁が袖にした、大店の主人が
    彼女に花魁としての心がけを説く場面。

    お定まりの言葉でなく、率直でよかった。
    べたべたしていないが、時代小説の「情」を読む楽しみを
    存分に満足させてくれる。

    他の作品にはちょっと見ないところだと思うので
    これから読む方は注目されたい。

  • やはり吉原物は女性が書くものの方が面白く読める。
    傍からみている者が花魁を語る手法は『吉原手引草』と同様か。
    御職をはるような花魁たちの話なので、
    苦界の厳しさ辛さよりも、衣装の華やかさやお座敷の楽しさの描写の方が多い。

  • 読み応えあり。
    オチもキレイにまとまってます。

  • 吉原の楼主が二人の名妓を追憶の中で語っていく短編綴りのような
    長編…のような…??
    妓楼の中で起こる二人の名妓のそれぞれをさらりさらりと
    語りながら、世の酸い、甘いをしんみり感じさせてくれる
    その切り口が読んでいて小気味よく、一気に楽しませていただきました。
    吉原手引草と何となく似てるけど、語り手が変わるとこうなるのか…って
    感じかな。
    うん、面白かった、オススメです☆

  • 『吉原手引草』で直木賞を受賞した松井今朝子の吉原物。

    大籬の花魁として競い合う小夜衣と胡蝶。二人の身の回りに起こるあれやこれやを、吉原の歳時記を織り込みながら鮮やかに描き出す一作。

    たおやかでありながらしたたかでどこか謎めいた小夜衣と、一本気で勝ち気な胡蝶の対比がおもしろい。個人的には胡蝶に肩入れしつつ読んだが、小夜衣の方が終始、一枚上手な感じ。
    張り合いつつも、幼い頃から同じ苦界で生きるもの同士のある種の「友情」が通い合っているのも味がある。
    艶っぽく徒な美しさの吉原を見事に構築している背後には、おそらく、ものすごい量の調べものがあるのだろう。骨太な揺るぎなさを感じる。

    性格の違う二人が辿り着く先がどこなのか。鮮やかな身の処し方には、異世界の人たちとわかっていても、心地よいカタルシスがある。

    *『吉原手引草』もとても好きで、海外にいる友人にまで送ったくらいだったのに、感想を残していない。きっと読んだのが登録前だったのだろう。こちらもおすすめです。
    *同著者の『仲蔵狂乱』もおもしろかったが、個人的には女性を描いたものの方が爽快感が上だと思う。

  • 面白かった!松井作品2冊目。この方はとかく言葉運びが流れるようで読みやすいし、前回はそれでも実在する人物の伝記のようなおももちの本だったが(星と輝き花と咲き)今回は吉原の二人の花魁の一生について妓楼の主が語るという設定。ちょうど十二の月の移ろいになぞらえて章がまとまっているのも粋。葉月におでましの藤五様のひと幕には涙してしまったし、どちらもほうと唸る胸のすく身の振り方で話を終えて、読後の清涼感もあり。吉原話でめでたしめでたしってのは珍しいよね。まあ、いろいろ辛い思いもあったけどさ。小夜衣と胡蝶かぁ、これいつかだれかの目にとまって映像化されそうだなぁ。花魁の言葉っていいよね、ありんす語。それにこの主人の語り口も、江戸前で清清しい語りっぷりで、とっても好感が持てる。女の世界で生きた男はこうあるべし!いやあ、図書館出会いでたまにこういう掘り出し物に出会うから読書はやめられないね!と思えた1冊♪

  • 幼い頃から競い合って育てられた花魁、小夜衣と胡蝶。

    廓にやって来た時からの仲で、一緒に習い事をして一緒に花魁になり、途中色んな恋をして、足抜け騒ぎを起こしたり、客の子を極秘で産んだりしながら成長していく。

    いくら華やかな花魁の世界といえど、苦界と呼ばれる世界。皆が足を洗いたがる中で、この二人は年季明けの事を考えていないよう。

    主人はやきもきするが、小夜衣は茶屋の主人に、胡蝶はなんと廓の主人の妻になる。あまりにも完璧なハッピーエンドにため息が出そうでした。

    主人と胡蝶の「この先どうするんだ!?」という話が面白かったです。「いっそ、わが女房になれ」なんて売り言葉に買い言葉みたいに言ったけれど、胡蝶は本当にうれしかったんだと思う。

    面白くて大事に大事に読んだので、読んだ後ほんのちょっとだけ寂しかったです。二人には幸せになってほしい。

  • いまいちのめりこめなかった。
    吉原手引草の方が面白かった。

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