グッバイ艶

  • 幻冬舎 (2011年5月25日発売)
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感想 : 6
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  • 本 ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344019898

感想・レビュー・書評

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  • 童貞心で艶さんを凄く魅力的な女性と想像して読みました。
    途中ムツゴロウ・田原総一郎・ドキュメントなどのワードが
    出てきてからは艶さんの描写がムツゴロウ王国の一動物の印象を
    受けました。俯瞰で観察しているような。作者自身相当辛くて
    客観的にしか見れなかったのかもしれません。
    夫婦の馴れ初めや生活の描写が楽しめました。

  • 女性の心理は、やはり深いもんだろう。一生私も男性には、未知の秘めたるモノだろう。
    しかし、この艷は、強烈にインパクトが強い女性だし、ここまで酒を浴びるまで飲む人はいるのだろうか?自分を労わる?守る、思考は無くなってしまうのか?こんな夫婦は、意味があるのか、愛情の表現なら怖いし恐ろしい。

  • 自伝的なモチーフを使った恋愛小説です。彼と奥様の艶の愛と憎しみにあふれる生々しい描写に、圧倒されました。これは一気に読むべきだと思います。少し大田光・光代夫妻と被る所があるかもしれません。

    この小説は自分と自分の奥様を題材に二人の軌跡を愛憎をこめてつづった恋愛小説といえるもので、僕は一気に読み終えてしまいました。主人公と艶との出会いは、 一九六八年冬。25歳で童貞だった僕は、女流作家の『ウィスキー一本でだれとでも寝る女』という紹介で彼女の『子分』という女性にあって見ないかと言う誘いを受けて、彼女の住んでいるアパートに行き、そこで彼女と出会い、男と女の関係になってしまいます。

    そこからが25年にわたっての愛憎をこめた二人の物語の馴れ初めとなります。酒を飲んでは意味不明の言動を繰り返し、作者の目の前で自殺未遂などのエキセントリックな行動に出るかと思えば、盲目的なまでに愛を求め、それが差し出されると、今度はそれを全否定して関係を壊しにかかる。
    そんな艶がにくくもあり、また愛おしくもある。作者と同じように彼女の魅力と危うさに振り回されたまま、最後まで連れて行かれた、という感じでした。

    主人公である作者も劇団をを運営したり、放送作家としてものすごい量の仕事をこなす中で劇団の女優に手をつけたりなんだりで、その辺はすごくムチャクチャな中盤になっていくのですが、艶が酒で体を壊し始めたあたりから物語は急展開を迎えます。彼女が残した日記の中に記されてある文章から、彼の知らないもうひとりの彼女の存在が浮かび上がってきて、自分と彼女との25年間は一体なんだったのだろうか?そう自問自答する筆者。その姿がたまりませんでした。

    そして、日記の中に破り捨てられたページがある箇所があって、物語の最後のほうでそれがわかるのですが、彼女を形作ったある『できごと』がそこには記されていて…。そうか…。こういうことがあったのかと作者と同じようにショックを受けてしまいました。また、破った箇所を隠している箇所がなんとも彼女らしくて、少し噴き出してしまいました。ここに書かれてある男と女の姿はなんともむき出しで生々しいんですけれど。ある程度年のいった人にこそ、読んでほしいなと、切に願っております。

  • プライドが高いのにアルコール漬けの自己嫌悪、そんな年上女の魅力に圧倒され、結婚した男のモノローグ。
    破滅型の妻は、すさまじい迫力で嫉妬心を燃やす。54歳でなくなっての実感は「解放」ってか・・。
    愛の形はいろいろです。猛妻レクイエム。

  • アルコール中毒の人に対応を誤るとこうなる、という見本みたいな話。読み始めてすぐ「強制入院させれば?」と思い、その問いを上書きするような何かがあるのだろうと期待して読み進んだけれど、最後までそういうものはなかった。

  • 夫婦は夫婦の数だけそれぞれに形があるのかなぁ。

    一人の女性との出会い。
    その女性がアル中のようにお酒を飲む人だったら、
    結婚をして、子供が産まれてもお酒を飲み続ける人だったら、
    別れることはせず、多少の不満を抱えつつ暮すのだろうか。
    やはり、彼は艶さんのことを心から愛していたのでしょう。
    素直に自分を表現できない艶さんがかわいそうにも思えた。

    田原総一郎さんが彼に言った
    『彼女を奥さんにしていること、彼女と一緒に暮らしていること、それが南川泰三のすべてだ』その言葉に尽きる様な気がした。

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