バブル獄中記

著者 :
  • 幻冬舎
3.00
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本棚登録 : 27
レビュー : 5
  • Amazon.co.jp ・本 (213ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344020405

感想・レビュー・書評

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  • 文字通りの獄中「日記」。やれ、ゴキブリや蚊退治が大変だとか、麦飯は口に合わないから一回も食わなかったとか、どうでもいい話ばかりがだらだら続き、バブルの来し方に関する考察、著者自身の波瀾万丈に満ちた人生に関する記述は皆無に等しい。清水一行「頭取室」のモデルと言われる著者個人への興味から手に取ったが、結果として一読の価値はありません。

  • 『<a href="http://www.honzuki.jp/" target="_blank">本がすき</a>』献本御礼。

    獄中記が面白いと自分に教えてくれたのは佐藤優と堀江隆文の本だった。

    奇しくもそれぞれ「国策捜査」で獄中の人となっている人物だ。

    あらゆる自由が奪われる檻の中の生活と言うのは人を思慮深く、哲学的にするのだろう。
    だからこそ、獄中記というものはどんな人物によるものであっても深い思考の産物となるのだと思う。
    まして「国策捜査」の標的となるような一角の人物なら尚更。綴られた言葉はより深みをまし、塀に隔てられた世界から社会を鋭く見つめる洞察力に溢れた文になるというものである。

    この本の著者である長田庄一もまた国策捜査で収監された。

    無学・無一文、裸一貫で戦後の焼け野原から貸金業屋を立ち上げ、一代で"長田帝国"とも評されるほどの力を持った東京相和銀行を築き上げた人物であるから、なかなか強かであるし(檻の中の辛い生活も「戦時中の軍隊生活に比べればまし」、「戦時下の中国の方が辛かった」と言われてはこちらとしては何も返す言葉がない)、老眼で小さい活字の本を読むのに苦労はしても社会を見つめる鋭い目は衰えを知らない。


     <blockquote> <blockquote>「人の一生は、幻覚こそ生甲斐である。人はその幻覚で
        生きている」 (司馬遼太郎)</blockquote>
       
       そうかもしれない。このごろ、私もそんなことをよく考える。
       自分の生を、その人生まで含めてつき放し、客観視して
       省みると、それは今、まさしく幻覚そのもの、そんなことが
       分かってくる。
        歳をとったせいなのか。
    </blockquote>

    こういった達観は齢近くとなる人生経験の賜物か、それともその波乱の人生の中で培ってきた胆力のなせる業か。


    収監生活の中で綴られた日記だから平易な表現で読みやすい。反面、主観的な記述が中心となってしまい収監された事件そのものの概要はこの本だけでは掴み難い。

    せめてこの事件が起きた当時の新聞記事の抜粋でも掲載してくれたのなら、もっと全体が見渡せたと思う。

    長田庄一という人物の獄中記としては申し分ないが、経営破綻した東京相和銀行の不正増資疑惑の真相を知ると言う欲求は満たしてはくれない。

  • 「バブル獄中記」
    戦後、焼け野原となった東京で貸金業屋を立ち上げ、一代で東京相和銀行を築き上げた男・長田庄一。


    長田庄一。無学無一文と戦争を乗り越え東京相和銀行(東相銀)を日本の第2地方銀行のトップクラスに成長させた。しかし東相銀は01年に米国投資ファンド、ローンスターに営業を譲渡して東京スター銀行になっている(知らなかった)。


    そうなった最初のきっかけは「99年6月東相銀が1000億を超す債務超過の為破綻に追い込まれたことによる長田氏ら銀行トップの経営責任退任」。最初は普通の責任退任であるはずだった。だが、破綻から1年ほどたった2000年5月、金融整理管財人の告発を受けて、長田氏ら旧経営陣6人が見せかけ増資の疑いで逮捕された・・・。そこから長田氏の拘置所旅行110日間が始まった・・・。


    この「バブル獄中記」は日本バブル時代に道なき道を突き進んで一代で銀行を築き、そしてバブルの泡に飲まれた一人の男の110日間の日記です。


    内容自体は本当に普通の獄中記です。なので例えば長田氏が逮捕された事件について詳細な記述があるとかうらみつらみばかりとかはありません。本当に普通に長田氏が拘置所で日記を書き綴ったという形になっています。潔く様々なことについて向き合っていたようにこの本からは感じました。拘置所での生活のこと、刑事や検事、拘置所の看守達との対決や交流、戦争のこと、政治のこと、バブル日本のこと、家族のこと、弁護士のこと、自分の人生の終わり方のこと、そして銀行への思い・・・。


    この本を読んで、少なくとも私は彼が罪に問われることは正しいのかと感じました。人生の大半をかけた銀行への思いや一緒に捕まった同僚への配慮や、弁護士の台詞などからは見せ掛け増資を本当に長田氏が支持したのか疑問でした。


    私は長田氏は名前だけ知っていました。裁判になったことも知っていました。ですがそれ以上は知らず今も知りません。なのでこれから調べていこうと思っています。やはり正当な証拠が無い状態でただ判を押すように強引に同じような繰り返し供述強要は悪です。正直長田氏の話で出てくる検事や刑事は正義の名の元であるのか疑問でもありました。またこの長田氏の一件以外にも気になった事件はリクルート事件。名前と事件概要は知っていますが、深い知識はなし・・・。ここに政治家が関わっているとなると知らないといけないと痛感しました。


    以上私の書き方から分かるかもしれないですが、私はこの本を獄中日記というよりは時代本(なんと言えばいいか分からないw)という感じで捕らえています。私にとって長田氏が有罪なのかどうかも大切ですが、彼の周りや彼の生きた日本で何が起きたのかも大変大切でした。また先に述べたように結果私は長田氏が有罪とは思えません。



    最後に気になった文章を。


    本日は終戦記念日なり。日本人は素直ではない。この日をなぜ敗戦記念日としないのか。こんな分かりきったことを言葉で飾る日本人の非合理的な考え方が、「神風」や「玉砕」、そして今でも国民生活や政治の心理面で日本人を合理性の無い2流の民族に陥れて、日本が欧米に遅れをとる最大の理由となっている。いくらこちらから申し出た終戦であっても、負けた戦争は敗戦記念日だ。つまり、日本人の社会は村で、人々はお百姓さん育ちだから、伝統や情緒だけで生きているようなものだ。

    中略

    第2次世界大戦も今度のバブルも、またそのバブルの崩壊も、これに続く不況と金融危機、それに経済大崩壊も、これらみんな、そこから出発した非合理の、日本人の弱点で、ここにすべての原因がある。この農民的な情緒主義が格好良く言えば山本七平の和、つまり、空気につながり、その空気が村八分の原因にもなる。

    中略

    この面から言うと、日本人はおろかで、救われない、懲りない、つまらない短所を持った民族と言えなくもない。


    ここは考えさせられる箇所です。


    長田氏の獄中生活で考えた様々なことが書かれています。獄中でのつらさを感じる部分もあったけど、それ以外の部分で感じることの方が多かったです。


    戦争を生き抜いた人はやはり本当に強い。だからこそ、戦争終了後日本が立ち直り平和になった今を生きている私達が頑張らないといけない。

  • 筆者は裸一貫から一代で銀行を築き、バブル崩壊とともに経営が破綻し2000年に「見せかけ増資」などの疑いで逮捕されたという経歴を持ち、本書は拘置所で110日間交流された時の手記になります。凄い人生です。

    僕はこの人のことをこの手記を読むまでまったく知らなくて、おそらくは『国家の罠』を呼んでいただけると理解が早いかと思われるんですが、おそらく、佐藤優さんや鈴木宗男さんと同じ時期に『小菅ヒルズ』こと東京拘置所に収監されていたのではないのだろうかと読みながら考えてしまいました。ですので、できましたら『国家の罠』を先に読んでおくと検察官がどういう考えて取調べを行うのか?『国策捜査』というものがどういうものなのかということがわかると思います。

    筆者の経歴を簡単に記すと、焼け跡となった東京で貸金業者を立ち上げ、魑魅魍魎が蠢く中で一代で東京相和銀行を築き上げ、バブルに乗って経営拡大をするも、バブル崩壊とともに経営が破綻し、逮捕の経緯は詳しく知りませんが、『みせかけ融資』の疑いで2000年に逮捕。110日間の獄中での記録をつづった手記がこの本になります。

    どうもここ何年か、獄中で過ごしたことのある人間の手記をここで取り上げていますが、どれひとつとして同じ内容はなく、『別荘』が『社会人の大学』という異名をとることがなんとなくわかるような気がいたしました。女性検事とのやり取りはお互いに真剣であればあるほどどこか滑稽になっていて、裁く側の検事と『なぜ逮捕されたのか』がどこかで腑に落ちないまま取調べに応じる筆者。

    自分の娘ほどに都市の離れた女性に怒鳴られながらも理性を保ち続けた姿は『僕がこの場におかれたら、こういうことができるだろうか?』と考えてしまうくらいに、戦争を経験した人間の凄み、というものを感じます。そして、合間合間に綴られる文芸評論家の江藤淳やフランスのシラク・元大統領、森喜朗・元総理ら政財界人との思い出も語られており、筆者をめぐる人間の多彩さを感じました。特に江藤淳さんの最期を『自裁』という表現で示しており、この言葉に出会うことができただけでも、これを読んだ甲斐があるというものでした。

    繰り返すようですが、できましたら佐藤優さんの『国家の罠』という本を読み終えてから読んでいただけたほうが、より理解が早いかと思われます。

  • やるね・・・幻冬舎(^^ゞ
    こんなマイナーな方の手記を本に・・・・・^^;

    昔の東京相和銀行(10年前に破綻をし、その後外資に買収され現「東京スター銀行」)の創業者の長田氏の手記です。

    戦後裸一貫で貸金業を起こし、その後無尽講~(昔の)相互銀行と発展をさせていった方。昔の第二地銀ですから、三重県だと第三銀行みたいな位置づけですね。

    ダーティーな噂に事欠かない方でしたね~。

    小佐野賢治氏のつきあいだったり、武富士の武井氏とのつきあいだったり。
    嘘か誠か、、、「武富士を育てたのは俺だ」とも豪語していたそうな・・・(^^ゞ


    本の内容ですが、戦後のダーティーな裏話を期待していたのですが、表題のとおり単なる「獄中の手記」でした(>_<)
    やや肩透かし・・・・・・。

    ま、でもやはり一筋縄ではいかん人やな~、肝がすわっているよな~というのはよくわかります。。。

    私は楽しく読めました。
    でも多くの方には全く興味がない世界でしょうね(^^ゞ

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