海に降る

著者 :
  • 幻冬舎
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感想 : 73
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  • Amazon.co.jp ・本 (330ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344021174

作品紹介・あらすじ

女性初の有人潜水調査船パイロットを目指す天谷深雪。深海に棲む未確認巨大生物を追い求める高峰浩二。目的は違えど、想いはひとつ。爽快深海エンターテインメント。

感想・レビュー・書評

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  • 出てくる深海魚を調べながら読んでいたから、なかなか進まなかったけど、楽しかった!

    父親が開発に携わった潜水艦のパイロットになる夢を持ち頑張ってきた深雪
    父親が深海で見たという未確認生物「白い糸」に惑わされ家族間に軋轢が生まれ、亡くなってしまった父親に変わり「白い糸」を探すため深海に行きたいという高峰
    この2人の夢を追う物語。

    ♪このーのろいからーとけーるー日はくるのー
    脳内BGMでした。
    追いかけていた夢はいつしか呪いにかわり、また夢へと昇華していく。

  • 深海開発の組織や世界という素材の質量を作者が消化しきれなかった気がする。私定時~などの登場人物が勝手にはじける感じがない。登場人物の皆川理事は動いている感じだが、ほかの登場人物の個性がなかなか読み取れなかった。賞受賞後の第一作で力みすぎかな。深海に注目はこれからの有望分野。
    しんかい6500」の写真や構造図を付けてほしかった。

  • 潜水艦開発者の父の影を追うように、潜水艦初の女性パイロットを目指す深雪。
    異母兄弟の登場や、深海で謎の生物を見たことにより、正道からドロップアウトした研究者を父に持つ浩二とのライバル関係。そして深海の謎の生物と盛り沢山ですが、しっかりした骨組みの話で脱線も迷子になる事も無くすんなりとした読み味です。大分取材しただろうにその成果を書き過ぎない所も好印象です。
    深海へのロマンも掻き立てられ、びっくりするような大冒険も準備されて役満に近い位の出来だと思います。
    映像にしやすそうなので数年後に映画になっていても全く驚きません。
    最新の役者さんさっぱりわからないのでなんなんですが、下記のようなイメージで読みました。

    深雪⇒上野樹里
    浩二⇒向井理

    あまり新しい俳優分からないので恐縮ですが外してはいないはず!!

  • 15年10月にWOWOWでドラマ化の原作。
    結構ややこしい主人公だが、後半はとても盛り上がりました。文章も読み易くて良かった。
    ドラマでは深海の世界がどのくらい映像で描かれるかが楽しみ。

  • 昨年のダイオウイカから続く(世間は続いているのか?)深海探査熱はさめやらず、こんな本を見つけてしまった。

    有人深海探査船「しんかい6500」のパイロット志望の天谷深雪を中心とし、JAMSTECの業務と苦労も織り交ぜて描かれるという現代的なフィクション。

    思い入れもほどほどに深海探査をテーマに描かれているところが好印象。個人的にはすこし軽めにまとめられすぎて物足りない印象ではありますが・・・深海探査船のパイロットの話つながりでは、伝説化しているアルヴィン号の女性パイロット、ドーヴァーが著した「深海の庭園」が迫力満点。

    海中は情報が少ない分、迫真的に描かれることが少ない場所のひとつなのでしょう。なにせ、深海探査船のパイロットは宇宙飛行飛行士の1割にも満たない数。でも、世界有数の海洋国である日本なのですから、こういう物語で魅力をどんどん紹介してほしいものです。

    あっ、真保裕一氏の小役人物でもいいです。こういうニッチな職場でのサスペンス&スペクタクルな物語出してくれないかなぁ・・・

  • 夜にページをめくり始めたら、朝になってしまった。
    ここ最近で読んだ小説の中で、いちばんに面白い。

    有人潜水調査船の女性パイロット候補生、という主人公の葛藤と成長を通じて、マニアックになりがちな有人潜水調査の世界が、いきいきと胸に迫ってくる。
    何よりもこの小説が素晴らしいのは、日本を囲む海の謎と可能性にスポットライトを当てている事。

    「全海洋のわずか一割にも満たない日本近海が、生物のホットスポット。日本列島はあらゆるタイプの海に囲まれている。そういう希有な環境が世界有数の生物多様性をもたらしたんだ」

    このエピソードを知って、わくわくしない人なんているんだろうか。
    深海が宇宙よりも謎に満ち、しかも日本人が、その謎にいちばん近いところにいるなんて。
    一人でも多くの人に読んでほしい。この小説に、そして深海という存在に、胸を躍らせてほしい。

  • 良かった
    凄く良かった!
    知らない世界の事だったし
    ノンフィクションだけど・・・凄い
    この人、凄いと思う

  • 海底に潜む「白い糸」とは何なのか。そして深海に彼らは向かう事ができるのか。
    淡々としつつも盛り上げるところはしっかり盛り上げるエンターテインメント小説と言っていいだろう。
    人々の深海に賭ける熱い想いが詰まっており、頁をめくる度にワクワクした。まだ見た事のない深海はどんな世界なのだろうか。なかなかに熱い一冊だ。

  • 一生を賭ける夢を持って、、、揺るぎない信念を持って、、、仕事に従事してる熱い 心を持った登場人物が多くて、胸が熱くなった。
    主人公の深雪も高峰も多岐指令・研究者の目山も各々揺るぎない夢を持っていて、それぞれを応援するような気持ちで読んだ。
    また、途中、菊屋議員のように国や人を動かすひとたちは、夢だけでなく、全体(日本)を見据えて、よりよい未来を作ることをしなければならないというのも意識させられた。マクロとミクロ、一見両立が困難でも、常に両方を意識していかなければいけないんだなぁと。
    菊池議員は最初、ヒールのような感じだが、無人潜水艇操縦士を目指す息子と和解したのも良かった。
    自分自身もなにか情熱を注ぐなにかを持ちたいな、と思わずにはいられなかった。
    ストーリーはややフィクションが最後強くなってり無理やり恋愛要素がなければ…かなとは思ったが、仕事への熱意が印象的な作品だった。

  • 朱野帰子さんのお仕事小説にはまる。

    以下、本文より
    入ったばかりの新人が改善点を指摘したりして、反感を持たれないだろうかと私は思ったが、高峰はそのあたりのバランス感覚にも優れているらしい。先輩たちに意見を請い、素直に聞きいれる姿に、好感を覚えこそすれ、反感を持つ人などいないようだった。即戦力で、完璧主義で、謙虚だというイメージをあっという間に植えつけてしまったようだ。

    「深海はいつも食糧難ですからね」

    深海生物は、かつて浅海での競争に敗れ、暗い海の底へ追われたものたちだとも言われている。

    「深海生物がこんな奇形をしているのはね、極限環境に適応するためなんだよ」
    「大事な部位は最大に、要らないものは切り捨てて、徹底的に効率化をはかってるんだ」

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著者プロフィール

東京都中野区生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。2009年、『マタタビ潔子の猫魂』(「ゴボウ潔子の猫魂」を改題)でメディアファクトリーが主催する第4回ダ・ヴィンチ文学賞大賞を受賞し、作家デビュー。13年、『駅物語』が大ヒットに。15年、『海に降る』が連続ドラマ化された。現代の働く女性、子育て中の女性たちの支持をうける。主な作品に『賢者の石、売ります』『超聴覚者 七川小春 真実への潜入』『真壁家の相続』『わたし、定時で帰ります。』など。

「2022年 『くらやみガールズトーク』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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