七十歳死亡法案、可決

著者 :
  • 幻冬舎
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レビュー : 154
  • Amazon.co.jp ・本 (310ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344021259

作品紹介・あらすじ

2020年、高齢者が国民の3割を超え、社会保障費は過去最高を更新。破綻寸前の日本政府は「七十歳死亡法」を強行採決する。2年後に施行を控え、宝田東洋子(55)は「やっと自由になれる」と喜びを感じながらも、自らの人生の残り時間に焦燥感を隠せずにいた。我侭放題の義母(84)の介護に追われた15年間、懸命に家族に尽くしてきた。なのに妻任せの能天気な夫(58)、働かない引きこもりの息子(29)、実家に寄りつかない娘(30)とみな勝手ばかり。「家族なんてろくなもんじゃない」、東洋子の心に黒いさざ波が立ち始めて…。すぐそこに迫る現実を生々しく描く。注目作家、渾身の書き下ろし小説。

感想・レビュー・書評

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  • 最近はまっている垣谷さんの作品4冊目。
    本書でも主婦の東洋子さんに大いに感情移入して読んだ。面白かった。
    垣谷さんの作品はたいてい御自身と同年代の平凡な主婦を題材にしているので、男性が読んでも「面白味」はわからないだろうと私は思っている。
    しかし本書は是非とも夫に読んでもらおうと思う。
    東洋子さんに私の気持ちを代弁してもらうために。
    でも読んだところで夫は何も気づかないかもしれない。

  • 70歳になったら安楽死しなくてはいけない。
    義母の介護に疲れ果てていた洋子には、
    ある意味朗報と言っていい法律だった…。

    その法律が可決されてから、家族が抱えている問題が
    さまざまな形であぶりだされていくのですが…。
    たとえこの法律がなくても、遅かれ早かれ壊れてしまったのでは…
    と思うほどのひどい家族で…。

    我慢の限界を超えた洋子が家を出てから急展開。
    後半はあまりに都合良く話がまとまりすぎた感はありましたが、
    希望の持てる終わり方だったので良かったのかなと。

    ただ、物語としてはそれでいいのかもしれませんが、
    少子高齢化が進む日本。
    遠くない未来に本当にこんな法律が可決されてしまうのではないかと思ってしまいました。
    いずれにしてもいろいろ考えさせられるお話でした。

  • 70歳で死亡することが決まったら、残りの人生、指折り数えてしまいそう。先が見えると数えちゃうよね。先が短いと「もうどうでもいいや」と投げやりになりそうだし。
    いつ終わりがきても悔いが残らないように、日々やりたいことをやる! という生活にしておかないとね。

  • 年を取ったら姥捨山ツアーを企画してもらって身辺整理や面倒な申請も済ませた後、一泊二日で温泉に入って、ご馳走食べて、カラオケでもやって眠ったら向こうの世界というのがいいな。

  • レビューが余り良くなかったので、読む前は期待してなかったのですが、私はとても面白く読み終えました。
    自分の今後を考えたり、今どうしたらいいのかを考えたり、家族のことなども考えたりと、自問自答しながら読みました。
    読みながら自分のことしか考えない人を批判する気持ちになるのですが、それが自分だったらと思うと批判できないなーと思ったり。
    最後の話の終わり方が私は好きなので、読み終えてスッキリしました。
    どの年代の人にも面白く読めると思います。

  • 七十歳死亡法案が可決された。
    日本国籍を持つ者は、七十歳の誕生日から30日以内に死ななければならない。施行は2年後。
    果たして、世の中はどうなるのか。

    相変わらず、突拍子もない発想で、現代の問題を切り込んで行く著者。
    今回も、有り得ないと思いながらも、興味深く読みました。
    老人介護は、どこの家庭でも切実な問題。
    こんな法案が決まったら、もしかしたら様々な問題が解決するかもと思わされたりもしました。

    結局は、家族が力を合わせて取り組む必要があるんだと言うところに落ち着いた感はありましたが、まだまだ問題は山積みな様子。

    東洋子さんが帰って来て、初めてこの家族の介護問題に先が見えるのかなと思います。

  • 70歳を迎えたら30日以内に死ななければならない、七十歳死亡法案が可決された日本。施行まであと二年。余命が決まったことで何もかもやる気をなくし嫁に当たり散らす姑、姑の介護に疲れ果てた母親、家族を顧みず青春を謳歌しようとする父親、完全に引きこもりの息子、そんな家族から独立して生きていこうとする娘。余命が完全に決まった世界は、家族に、人々に、どんな影響をもたらすのか……。

    タイトル借り。七十歳死亡法案っていう発想は面白かった。しかし、もっといやあな話になるかと思いきや、わりとこぢんまりと、ハッピーなラストで、それはそれで拍子抜けした。
    嫁姑戦争に引きこもりの息子、ダメダメな父親などのよくある話に七十歳死亡法案をうまく絡めていて、説得力があって、よかった。ただ登場人物がみんな人の話は聞かないし自分のことしか考えてないし、っていうシーンが長くてちょっと疲れる。母親がいなくなったあとの苦労から解決までがあまりにもあっさりしすぎていて、カタルシスが足らず、もっと母親の苦労を思い知ってほしかったなあ。いなくなった途端に何もかもうまくいくなんて、わたしだったらもう好きにして!って見放してしまうかも。息子くんのキャラがぶれぶれだったのもちょっと残念。
    この法案自体はあり得ないだろうけど、これが可決されてしまい得る未来が今の日本にあるかもしれないと思うと、なんだかじわじわ怖くなってきた。

  • 母親が読み終わったので読んでみた。
    タイトルはインパクトあったけど、軽かったな。
    東洋子さんの置かれている状況の大変さはひしひしと伝わってきた。きっと日本にいっぱいいるんだろうな、と。
    ちょっと考えさせられた。

  • 「七十歳死亡法案」という奇抜なアイデアに惹かれて手に取った。作中でいろんな人にこの法案への賛否を語らせており、それがこの本の大きな読みどころになっている。ただ、最後の部分ですべてがうまく解決しすぎてやや拍子抜け。日本がこれから直面する現実は、もっと過酷だろう。

  • +++
    2年後、お義母さんが死んでくれる。
    「家族」の本音を、生々しくリアルに描く新・家族小説。

    ≪家族って一体なんだろう?≫2020年、65歳以上の高齢者が国民の3割を超えた日本。社会保障費は過去最高を更新し続け、国家財政は破綻寸前まで追い詰められていた。そこでついに政府は大きな決断を下す。「日本国籍を有する七十歳以上の国民は誕生日から30日以内に死ななければならない」という七十歳死亡法案を可決したのだ。2年後に法律の施行を控えたある日、ごくありふれた家庭の宝田家にも小さな変化が起こり始めていた。義母の介護から解放されようとしている妻、家のことはすべて妻に任せきりの能天気な夫、超一流大学を卒業しながら就職に失敗し引きこもっている息子、ひび割れかけた家族から逃げ出した娘、寝たきりでわがまま放題の祖母。一番身近で誰よりも分かってほしい家族なのに、どうして誰もこの痛みを分かってくれないんだろう。究極の法律が、浮びあがらせた本当の「家族」とは?大注目の作家が、生々しくリアルに描き出す、新・家族小説。
    +++

    なんとも衝撃的なタイトルである。そして、第一印象の衝撃のままに物語は進んでいく。仕事にかこつけて実母の介護はもちろん家庭を顧みようとしない夫、自分のことばかり考えて家を出て行った娘、プライドばかり高く打たれ弱くて引き篭もっている息子。家事も介護も妻である東洋子の肩にすべてかかっている。そして家族は何の疑問も持たずに当然のこととしている。介護されている姑も、感謝の言葉ひとつなく居丈高な態度である。そんな時に出てきた七十歳死亡法案である。「あと二年でお義母さんが死んでくれる」と東洋子が思ってしまうのをだれが責められるだろう。それぞれの年代、それぞれの立場や思惑によって賛否両論が世間を賑わせ、さまざまな反応を生む中、二年を待てずに東洋子の忍耐は限界を超え、家を出ることを選ぶ。それによって宝田家は変わらざるを得なくなる。七十歳死亡法案の日本全国に及ぼす影響を宝田家に集約した物語だが、結末は悲惨なものではなく、救われる。現実的には過激すぎると思うが、これくらいの爆弾施策でしか対応できないところまで来ているのではないかという危惧もある。我が身に引き比べていろいろと考えさせられる一冊だった。

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著者プロフィール

垣谷 美雨(かきや みう)
1959年生まれの小説家。兵庫県豊岡市出身、明治大学文学部文学科(フランス文学専攻)卒業。
ソフトウェア会社勤務を経て、2005年『竜巻ガール』で小説推理新人賞を受賞し、デビュー。代表作としてテレビドラマ化された『リセット』『夫のカノジョ』の他に、文庫化されてベストセラーとなった『老後の資金がありません』、『ニュータウンは黄昏れて』『子育てはもう卒業します』『避難所』『農ガール、農ライフ』『あなたのゼイ肉、落とします』『嫁をやめる日』『後悔病棟』『女たちの避難所』など著作多数。
『結婚相手は抽選で』が2018年10月に野村周平主演でドラマ化される。

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