瓦礫の中の幸福論 わたしが体験した戦後

  • 幻冬舎 (2012年2月22日発売)
2.65
  • (0)
  • (2)
  • (8)
  • (6)
  • (1)
本棚登録 : 53
感想 : 11
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

本 ・本 (272ページ) / ISBN・EAN: 9784344021389

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • タイムスリップをしつつ、北海道へ旅する時空をさまよう読み物でした。
    さすが小説家!テンポがいい。あっという間に読み切ったが、それでも読み終えた後、残るものがある。一流シェフである。
    たくましく、それでいて素朴に生きた渡辺少年から渡辺医師への成長の過程がつつみかくさず出ていてうれしい。もちろん脚色もあるのだろうが、途中から何か小説でも読んでいるかのようだった。
    スピード感ある運びで終わってしまい、これでは終われない。この続きが読みたくなる。

  • 幸福論と言うよりも渡辺さんの戦後からの歩みを書いた本。渡辺さんのことが知りたいなら読んでみてもよいかな。

  • 瓦礫ってちょっとしたはやり言葉になってしまっている?
    著者の半生記・自叙伝でそれが戦後っていう感じ

  • 本書は、著者渡辺淳一の戦後の半生記である。「瓦礫」というと、どうしても東日本大震災が連想される。
    戦後の焼け野原から日本は力強く復興した。本書は2012年2月に発行されているが、この時期に出されたということは、震災復興への願いが込められているように感じた。

  • 日本史のなかでも、もっとも重大な時期を、日本人なら歴史として学ぶべきである 日本人たるもの、現在の日本が形づくられてきた戦後史を知らなくてもいい、などということはありえない 著者が体験した戦後をまとめたもの 和田心臓移植の疑問について触れており、作為的な手術が正しくなかったことを知った

  • 瓦礫…とあったので、震災と戦後の暮しの比較とか…と思ってましたが、半生記でした。医師の内部事情は面白かったです。

  • ・タイトルにつられて近所の市民センター図書館で借りて読んだ。渡辺淳一って作家は「失楽園」の作者だったよな、って言う程度の認識で。
    ・「かき消された戦後史」を知ってほしい、というようなことが冒頭に描かれているけども、内容の殆どは渡辺淳一の自伝。どうやって小説家となったかについて描かれている。前半の小学生までは戦後史的な感じだったけどね。実際この作家の小説を読んだことがないので複雑な気分で自伝を読んだけど、なかなか面白かった。「白い宴」はすぐにでも読もう。
    ・「解剖屍体から小説を」って章があるんだけど、章立てとしては挿入される箇所が凄くおかしい。既に大学院に進んだあとの章で学部の頃の話が出てくるから違和感が大きい。まあいいんだけども。
    ・もうすぐ90になる自分の祖母にももっと戦中戦後の話を聞きたいなと思った。聞いてもあんまり話してくれないんだよね。

  • タイトルと中身にギャップあり。作者の生い立ちエッセーなり。

  • 著者が経験した終戦の日から、小説一本でやっていく決心をし、上京するまでの体験談が綴ったもの。
    タイトルの「瓦礫の中の幸福論」より、サブタイトルの「わたしが体験した戦後」の方が内容を的確に現している。
    ただし、大学入学以降の話は臓器移植の話が主になってくるので、「戦後」という言葉からイメージする内容とは多少のズレを感じてしまう。

    日本が太平洋戦争に負けた後からの事が学校で教えられていない、ということから自分が体験した事のみではあるが、戦後の事を伝えたい、という思いから執筆した、と書かれている。
    たしかに学校では
    「試験に出ない」
    「時間がない」
    とかいう理由で駆け足で駆け抜けてしまう。(時には、そもそも授業で扱わないことも)

    自分の意志で、この頃の事を知りたい、と思って、本や映画などを漁らなければ、知る機会はない。
    ひどい例では「日本がアメリカと戦争して負けた」という事すら知らない人もいたりするのは、本人の不勉強以前にこういう事情があるのかもしれない。

    著者は当時、札幌近郊に住んでいたため、他の都市部のように爆撃で焼け出されるような経験はなく、どこかのんびりしたところがあったという。
    ただ敵機が真上に来ても、迎え撃つことさえできない様子を見て、肌に感じる実感として「この戦争は負ける」と感じていたらしい。

    どんなに言いつくろっても、事実を完全に覆いつくすことは不可能、という事は、お偉いさん達には分からないのだろうか。
    そう言えば最近、同じ事が言えそうなニュースを聞いたような気がする。

    話は変わってしまうが、他に感じたのは「人々のたくましさ」
    当然、と言えば当然だが、「敗戦」という事は横に置いておいて、「生きる」ために使えるものは使おう、とする意思。
    自分にそんなたくましさがあるだろうか、と疑問を覚える。

    美化も卑下も必要ないが、戦後の事をもう少し知っておく必要がありそうだ、と思った。

  • タイトルから受ける期待からすると、
    後半の大学生活~小説家になるまでのお話は、
    いらないようにも思うけど…、

    この世代の方であれば、やっぱり、
    安保闘争までが、戦後のもろもろになるのかな~。
    渡辺さんの場合には、+和田心臓移植事件…。

    タイトルからは重厚な印象も受けますが、
    内容は、軽いエッセイ集なので、サクっと読めます。
    文体も、少年~青年へと微妙に変化していき、いい感じ。

    渡辺さんが小説家になるまでの半生に興味のある方には、
    良著だと思います。
    でも…、タイトルから、また別の期待を持った方には…。

全11件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1933年北海道生まれ。札幌医科大学卒。1970年『光と影』で直木賞。80年『遠き落日』『長崎ロシア遊女館』で吉川英治文学賞受賞。2003年には菊池寛賞を受賞。著書は『失楽園』『鈍感力』など多数。2014年没。

「2021年 『いのちを守る 医療時代小説傑作選』 で使われていた紹介文から引用しています。」

渡辺淳一の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×